35話 驚愕の図書館(上)
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『こんなの無理よー!!』
ハイドランジア王国の王宮図書館で心の中で叫び声を盛大に上げるのはハイドランジア王国第2王女シンシア・ハイドランジアである。
先刻、大神殿の応接室にて大聖女ミリアンヌ・ルクスとの謁見という建前の泣き言大会? を終えて早急に宣言通り図書館に籠もり『恋愛小説』なるものを何冊も取り出し貪るように読み漁っている所である・・・・
幼い頃に図書館の蔵書を制覇して以来、王家の秘匿された蔵書ばかり読み漁っていたために最新の庶民に持て囃されているような小説等一切と言ってよいほど読んでいなかったシンシア王女。
勿論、幼少の砌に図書館に足繁く通う王女様のためにさり気なく気を利かせた史書達の手によりR18本! は禁忌文庫に保管されていたため、ごくごくソフトな? R15止まり・・・のものにしか彼女の手には届かない仕様にされていた事も今考えると災いしているのかも知れない。
知らなかったR18の世界を垣間見た才女の心は驚愕の嵐が吹き荒れており、そばに控える侍女や目には見えない城付きの魔導師達が背中に冷や汗を流しながら引き攣り笑いをするほど、その美しい顔を色とりどりに変化させている。主に赤色が優勢のようであるが・・・・()
『どどどど、どうしましょう? こんなの無理ですわっ!』
知らない世界が紙面に繰り広げられるということは、彼女の知的好奇心を満たすのには大いに役立つとはいえ、あまりにもそっち方面の知識がなさすぎで耐性はほぼ0である。
そのため指先まで朱に染まってしまっているのに本人は全く気が付かない。
更に本を閉じたり開いたりを繰り返すためにマトモに読み進んでいるかどうかは謎である。
シンシア・ハイドランジア第2王女。
この後26歳にして知恵熱でぶっ倒れるのに後半刻である・・・
ドンマイ!
××××××××××
顔を赤くしたり青くしたり忙しく過ごした王女シンシアはとうとう情緒的な許容量を大きくオーバーしたのか、図書館から救護室に運ばれてしまった。
「心因性発熱ですね。要は考えすぎです」
救護室のベッドに寝かされた状態で頭を氷嚢で冷やしながら宮廷医の言葉に驚愕するシンシア王女。
「短期間とはいえ、トリステス帝国まで留学されていたのですから多少なりともストレスもあったでしょうし、お疲れなのでしょうな」
白い髭を右手でなぞりながら年配の宮廷医は優しくシンシアとお付の侍女、そして心配でやって来た母である王妃に告げる。
「ゆっくり何も考えずにお休みになれば直ぐに回復しますので」
頭を恭しく下げると宮廷医はドア続きになった診察室へと下がっていった。
「少し無理をしすぎじゃないかしらシンシア?」
王妃は美しい柳眉を下げる。
「いいえ、大丈夫だと思いますわ・・・」
少しばかり居心地が悪いシンシア王女。確かに国外に行ったことも初めてではあったし連日外出続きではあったが、倒れるほど切羽詰ったスケジュールではなかった。寧ろ原因は他の所にあることを自分自身がよく知ってる。
「まあ、良いでしょう。それより貴女に婚姻の打診があるのですよ」
「またですか・・・」
多少うんざりした顔になるシンシア。
「今回は有象無象の国の王族ではないわよ」
扇で口元に広げる王妃。
「トリステス帝国の皇帝グエン・トリステス陛下ですからね。普通の王族とは違うのよ?」
「・・・・」
「シンシア、心当たりがあるようね」
王妃の柳眉が面白がるように上がりその金色の目は弧を描くように弓なりになった。
娘の顔が一瞬で熟れた林檎のように赤くなったのを見たからである。




