34話 気付かぬうちに欲張りになるのも恋である
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「だって、あんなに熱烈にアプローチされた事なんて今迄一度もなかったのよ・・・」
そりゃあそうである。引きこもりの王女なんだから・・・ 家族以外の異性と会う機会なんか無いに等しい。
イイとこ護衛騎士か侍従か宰相や大臣、そんなところだろう。
その方々はどう考えてもほぼほぼ恋愛対象圏外である。
「陛下にどう対応すれば良いか分からないうちにどんどん日にちばっかり過ぎちゃってたし・・・」
卒のない対応してたと思うんだが? と思い切りクエスチョンマークを浮かべながら首を捻る聖女ミリアンヌ。
「お返事だってどうしたら良いのか・・・」
更なるクエスチョンマークと戯れるミリア。
「会えなくなってしまうと思ったら帰りたく無くなって・・・」
『!!』
クエスチョンマークがクスクラメーションマークになったミリアンヌ。
「もう逢えないかもしれないと考えただけでも涙が出そうなのよ。それなのに帰れって・・・」
「あ~、それ。ね。ウ~ン」
「ずっと一緒にいても、もっと側に居てほしいって思うくらいなのに。違う大陸だから海を挟んでるのよ? 転移門だって使えなくなっちゃったし・・・ ワタクシが欲張りなのかしら?」
「あああ~・・・」
ふと顔を上げるシンシア王女の目に映ったのは眉根を寄せて顰めっ面になった大聖女ミリアンヌ。
「ミリアちゃん?」
不思議に思い声を掛けるシンシア王女。
「あ~、シンシア様、恋って楽しいかって私に聞いてましたよね」
「ええ」
「さっきから聞いてると、無自覚に恋心を垂れ流してまして・・・ 大変居心地がですね、よくないというか何と云いますか・・・」
✢
若干歯切れの悪い言い方をするミリアに、キョトンとした顔になるシンシア王女。
「え、誰が?」
「シンシア様が、です」
「え、ワタクシが?! いつ?」
「いやいやいやいや、ずっとですよう」
「え?」
「いや、マジで無自覚? シンシア様?!」
「だってこんなの、ただの我儘ばっかりよ?」
腕を組んでウ~ンと言葉を探す大聖女。
「誰でも恋をすると結構な頻度で我儘になると思うんですけど? 私も大概ズレてるらしいんで今ひとつ自信がないですが、さっきから聞いてるとですね、身に覚えがあり過ぎる事ばっかりシンシア様が仰ってるんですよね。なので何だか身につまされるというか、恥ずかしいというか・・・」
ガーンといった表情で固まるシンシア王女。
「シンシア様?」
「ワタクシが恋を・・・」
「シンシア様?」
「・・・・・」
すくっと突然立ち上がるシンシア王女にビクッとする大聖女ミリアンヌ。
「ど、どうされました?」
「ワタクシ。城の図書館に行ってきますわ!」
「へ?」
「恋愛小説なるものを読んでみます!! きっとその中に何かしら対応策があるはずですのよっ」
「ええええぇ~・・・ 対応策って」
「ミリア様、お邪魔しましたですわっ!」
「あ、はい」
応接室から出ていこうと歩きだした途端に毛足の長い絨毯に引っ掛かり転びそうになるが、サッと進む先に侍女が現れ王女を支えて事なきを得た。
『あ、侍女さんってやっぱり王家の蝶辺りかな?』
思わず遠い目になるミリアであった。
✢
「と、まあ、そのような事がミゲル様とメルちゃんがトリステスに行っててお留守の間にあったんですよね~・・・」
更に遠い目になりながら、帰ってきて寛ぐミゲルに一部始終を語るミリアンヌ。
勿論定位置、つまる所ミゲルの膝の上で髪の毛を弄ばれながらの報告・・・ である。
「ちょっと、真面目に聞いてくれてますか? ミゲル様!?」
相変わらずのイチャコラぶりの聖王ミゲルに頬を染めつつ仔猫の威嚇のように怒るミリアンヌ。
「ん~~。聞いてる」
「嘘でしょ絶対聞いてないでしょう?!」
「聞いてるって。お前がアプローチされてもどう対応したら良いのか分からなくて、会えなくなるって思ったら悲しくなって涙が出そうになって、いつの間にかもっと一緒に居たいって我儘になっちゃってたって話だろう?」
形の良い口の端をちょっとだけ意地悪そうに引き上げる満面の笑顔の黒髪の美丈夫。
そのご満悦の表情を見た途端にミリアが
「ああああああぁ~! しまった~~!」
と叫びながら涙目になって真っ赤になり、頭を抱えてしまったのは言うまでもないだろう。
悩むのもまあ、アリでコザル(≧▽≦)そしてミゲル頑張れ〜




