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引きこもり王女の恋もよう  作者: hazuki.mikado
episode1 出会い。其れは唐突にやって来る♡
3/97

3話 聖王様にお願い

宜しくお願いします(_ _)


 ここはハイドランジア王国の王都フリージアの中央にあるルクス大神殿の応接室である。



 大神殿には現在『大聖女』と『聖王』と呼ばれる規格外の魔法を使うことのできる者達が住んでおり、そのうちの1人がシンシア王女の叔父に当たるミゲル・ルクスである。


 叔父と言っても彼女より7歳年下で、姉弟同然に育ってきた。が、接する態度は弟の立場のミゲルの方がずっと大人である。


 まあ、叔父だし?



「ねえ、お願いミゲル。トリステスにどうしても行きたいのよ。国益にもなるし・・・」


「・・・シンシアお前、自分の運動能力舐めてるんじゃないか? 脳味噌に能力値全振りなんだぞ。ホントは陛下や王妃殿下に止められてるんじゃないのか?」


「うっ・・・・」


「ほら、どうせそんなこったろうと思ったよ」



 はぁ、とため息をつく『新聖王』ミゲル。


 身体つきはミゲルがガッチリしていて高身長だが叔父と姪の間柄なので、色目も顔の造作も良く似ているため男版シンシアである。


 つまる所、超色っぽい男前・・・


 入口付近で待機している女性神官たちが、ため息をつく聖王様の色気で顔を赤らめてチョットだけオタオタしている。



「廃棄用魔石を再利用するのが、ワタクシの今後のライフワークなのよ。其のための情報を収集するのにも、紡績の最先端技術を取り入れる為にもトリステスに行きたいのよ」



 一生懸命胸の前で手を組みお願いする美女にも一切動じないミゲル。この辺りで大概の人間は彼女に陥落させられるのだが、流石は元家族。


 平気の平左である。



「行かせてやりたいが簡易スクロールじゃあ心許無いんだ。転移門同士の移動なら反対もしないがなぁ。ルクス神殿がトリステスには無いんだよな」



 秀麗な顔の眉根を寄せるミゲルと懇願の体で目をウルウルさせるシンシア王女・・・


 その場に居る女性神官や、王宮から派遣でやって来ている護衛騎士達が2人の美男美女がタレ流す色気に当てられてモジモジし、いたたまれない空間になりつつある・・・そこへやって来たのが



「ミゲル様只今、戻りました! シンシア様がおいでになっているからご挨拶にあがりました!」



 元気一杯の大聖女ミリアンヌ・ルクス。


 この世界唯一の大聖女であり、ハイドランジアのアイドルと言っても差し支えない程王国民に愛されている美少女である。


 プラチナブロンドベースのストロベリー・ブロンドを長い長いポニーテールにしており、容姿は薔薇の妖精か天使のようだが、その服装は白いスタンドカラーのキャソックとトラウザースという男性神官の出で立ちで結構ボーイッシュである。



「ミリー、お前又男物着てるのか? 女官達に文句言われないか?」


「えーだって、コレ凄く動きやすいしカッコいいから~」



 トテトテと歩いてきて、シンシアに向かって美しいカーテシーを披露するミリアンヌ。


 但しスカートではなくキャソックの裾を摘んでいるが・・・



「王女殿下、お久しぶりで御座います」


「まあ、ミリアンヌ様お久しぶりですわ~。いつ見てもホントに可愛くて可愛くてカワイイですわ~」



 うん大事なことだから3回云うんですね・・・白目。



 因みにシンシアはミリアンヌが大好きである。


 主に観賞用としてだが・・・



「そんな! シンシア様こそ、いつお会いしてもお美しくて素敵です!」



 と言いつつ、ミゲルの顔と見比べ



「やっぱり似てますね~・・・」


「「そうか(しら)?」」


「はい・・・似てます」



 そう言いながらシンシアの向かい側のソファーにぽすんと座る。つまりはミゲルの隣。だが距離が遠い。



「ミリー、おいで」



 ニコニコの笑顔で両手を広げるミゲルに『・・・』のミリー。



「いや、だってシンシア様もいるし~・・・」



 ゴニョゴニョ言いつつ顔を赤くしてモジモジする聖女ミリアンヌ。


 部屋のアチコチから



「「「「「くっ! 可愛いかっ!」」」」」



 という声が聞こえて振り返ると全員が鼻を抑えて天井のシミを探すフリをしているのであった・・・



××××××××××



「え、トリステスに行きたいんですか?」



 ミゲルの膝の上で頬を染めつつ驚く妖精のようなミリアンヌ。



「そうなの。魔石の利用方法の最新情報とか、紡績の最新技術とか学びたいのよね」


「トリステス帝国・・・ん?」


 

 膝に乗せた恋人の髪を、嬉しそうに指に絡めて遊ぶミゲルがミリアの顔を覗き込む。



「どうした、ミリー?」


「え~とですね、お爺ちゃんがこの間トリステス帝国の皇城にですね」



 ミゲルの耳にそっと周りに聞こえないようにゴニョゴニョと何かを囁くと、ミゲルの額にピキッと青筋が立つ幻覚が見えた。



「あのジジイめ・・・」


「ね、ですから行けると思うんですよ」


「わかった。おい、シンシア」



 両手を頬に添えてうっとりとミリアを見ていたシンシア王女が呼ばれて首を傾げる。



「俺達神殿が許可したら行っていいのか?」


「ええ。お父様がそうお約束してくれたわ」


「わかった。ジジイにトリステス帝国側と交渉してもらおう」



××××××××××



 そんな訳で今現在進行形で、トリステス帝国の皇帝陛下であるグエン・トリステスから求婚されて目が泳いでいるシンシア王女なのであった・・・




 

今日もお読み頂き感謝です!

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