28話 パウダールーム
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時間は前日。
夜会会場の出入り口は複数ありその中の一つ、招待客が数人で使用できる俗に言うドレスルームと呼ばれる個室に通じている。
数人の貴族令嬢たちが各々の侍女を引き連れてドレスの皺や化粧崩れを手直し、場合によったら着替えさえも行う場所である。
夜会の中盤過ぎは、以外に混雑する場所でもある。
現在パウダールームと呼ばれる化粧崩れを治す場所に数人の貴族女性の姿が見られた。
「陛下は、あの御方から一切離れるおつもりがなさそうですわね」
美しい綺羅びやかな姿のまま、優美な猫脚の天鵞絨張りのカウチに座り鏡に向かう女性達。
各々の従者や侍女が己の主人の髪型や化粧の手直しに余念が無い中、彼女達は暇つぶしのように独りごちる。あくまでも会話では無く、お互いの情報交換を互いの言の葉を耳に傾けるだけである。
「一ヶ月程度滞在するそうですわ」
お互いに背を向けたまま複数の鏡に向う女性達。
「何やら紡績関係のお勉强が目的だとか」
「本当かしらね」
また誰かが呟いた。
✳
「あの方のドレスや警護の者たちの纏っていた布の為だとか」
「あれは美しかったわ」
「陛下とのダンスの時に煌めいていましたわ」
「宝石を縫い付けると重くていけませんから、アレは良さそうですわね」
自然と会話は成り立っているが、あくまでも独り言という体は崩さない。
「陛下のご様子では、かなりのご執心のようですわね」
「ええ。このまま・・・などという事になりかねませんわねぇ」
誰かが返事をするように呟く。
「このまま、とは?」
「皇妃の席はずっと空席のまま・・・ ですわ」
誰かが咳払いをする。
あくまでも会話ではなく独り言なのだから。
数名の従者や侍女が静かに退席して行く。
数名が、鏡に映る自分の青い顔を見つめ
『何も無ければ良いのだけれど・・・』
と、不安げに眉根を寄せ溜息をついた。
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