24話 黒の塔
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本日のロザリア皇女は王城の中を縦横無尽? に動き回っていた。
「あれ? ここも塞がって無いじゃん・・・」
実は他国の間諜に漏れたと言われている隠し通路の確認をしているのだ。
隠し通路は小さな子供の頃から教え込まれる為、ほぼ完璧に覚えている。マナーやダンスなんかよりずっとワクワクするからすぐに覚えた。
『女の子の行儀作法よりこっちのほうが覚えがいいとはなぁ・・・』
教えてくれる父である皇帝がそう言ってため息をついたのを覚えている。
彼女はダンスやマナー、刺繍など所謂淑女の教育と呼ばれるお稽古事は幼い頃から全て嫌いだった。
兄達の真似をして木刀を振る方がずっとワクワクしたものだ。
『単純に勝ち負けが決まって結果が出せる』モノは今だにワクワクする。
彼女にとってはゴールがハッキリ決まっていて、ワクワクするものでないと全て無意味なのだろう。
皇城内を素早く移動していくロザリア皇女自身、気が付いてはいないが以前と比べて格段に体力が付いているのは間違いない。後ろを隠密のように付いてまわる女性護衛騎士リンダがニンマリしながら『良いですね。この感じだとまだまだ鍛え甲斐がありそうですね』と笑顔になるくらいには・・・
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ロザリアは自身の私室に戻ると、早速城の見取り図をポケットから取り出し、塞がっていた通路をチェックする。
「ウ~ン、これって外から来た人の覚える通路だわね」
つまり皇族に婿入りする、もしくは嫁いで来たもの者で、子を成す必要性のある地位の者が覚える為の通路だということに気がついたロザリア皇女。
存外賢いのかも・・・
「何でバレたのかしら・・・」
首を捻りながら考え始めるのだが・・・
「ヨシ。次行こう!」
飽きたらしい。
彼女は両手をポンと打ち鳴らし窓を全開にしたと思うと、あっという間に窓から外へ飛び出し猿のように窓から壁を伝いスルスルと降りていく・・・
因みに皇女の私室は3階。天晴である。
地面に降りた途端、赤い騎士服を翻して黒い塔に向けてダッシュした。
女性とは思えないくらいの足の速さでグングン走っていく様は、まるでスプリンターである。
「あ、しまった! 逃げられた!」
王女の部屋の窓から、顔を出したリンダが悔しそうに叫んだがロザリアの耳には届かなかった。
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黒の塔の前に立つ歩哨に向かって皇族の権威をひけらかし無理矢理塔の中へ入ったものの、どこへ行っていいのか分からずウロウロする。
どうやらドアが開いているところは無人らしいと気がついた。
玄関フロアをそっと通り過ぎて、閉まっているドアの中心にガッシリと取り付けられた鉄格子から内側を覗くと、ビンゴ。
『いるじゃない。間諜かしら?』
部屋は質素ではあるが清潔感があり、ソファーやテーブル、ベッドといった家具もある。
『へー意外に小綺麗なのね』
ふと、ソファーに座っている女性が顔を上げた。
年の頃は父と同じだろうか? 自分と似たような濃い紫色の髪の毛と青い瞳の色で白い肌に上品そうな仕草の女性だ。
『どこかで見た顔だわ・・・?』
グリーンの天鵞絨のドレスがよく似合っている。
「誰かいるの?」
女性がロザリアのいる方をぱっと向いたので慌てて隠れる皇女。
「誰かドアの外にいるような気がしたんだけど・・・歩哨かしら?」
ドアにくっつき隠れているロザリアの耳に女性の声が反響して聞き取れる。
建物自体がそういう造りなのかもしれない。
彼女はどうして自分が思わず隠れてしまったのか自分でもわからなかった。
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ロザリアは他の独房を覗くのは止めて、そのまま自室へと戻ると今日の予定であった歴史の教科書を大人しく開く。何やらモヤモヤとした気持ちはするが、午後の訓練までの間に課題は済ませておこうと思ったからだ。
ふと本を開く自身の手を見て自室に戻った折に手を洗っていないことを思い出し自室の浴室に備え付けてある洗面台へと向かう。その上に備え付けてある小さな丸い鏡に自分の顔が映るのを目に入れて、彼女の思考が停止した。
流れる水音が浴室に響いていた。
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