14話 そして今の想いと・・・
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その後ミゲル自身は王弟ではなくなり、新聖王という立場になったのだが、まぁ国自体に立入禁止なので2度と会えないことは確定した。
聖王や聖女はハイドランジア王国の首都フリージアにあるルクス大神殿に住むからだ。
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昨年の外遊後、ハイドランジア王国で問題を起こしたロザリア皇女の帰国を機に、鬼のような家庭教師であり女性護衛騎士でもあるリンダは、教育の方向性を完全に変えることにしたらしく最近の皇女はえらく大人しくなった。
どうやら教育方針を淑女では無く女性騎士にチェンジしたらしい。
因みに騎士職は全て第2皇子であるゲオルグが統括している為、ロザリアは現在兄の部下見習いで彼とリンダの完全監視下に置かれている。
ちょっとだけ不憫な気もするが、そのほうがロザリアには良いのではないかとグエンも最近は気がついた。
何よりも『諦めない根性』が彼女に向いている気がするなと思うのである。
騎士は最後まで守る事を諦めないという粘り強さがどうしても必要な仕事だとグエンは思うからだ。
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ただ、こうやって改めて振り返ってみると、グエンは彼女を羨ましい、というか、凄いなと思うことが1つだけある。
ロザリアは確かに諦めが悪く手に入れられなかったが、自分が欲しいと思うモノを自分で見つけ、堂々と欲しいと宣言したことだ。
それは恋というより執着だったかもしれないが。
第1王子であり皇太子でもあるカイルも同じように諦めは悪かったが、結局望んだ相手を手に入れた。
ロザリアとカイルは何が違ったのだろうとグエンは思う。
カイルは9年ロザリアは7年間、1人の相手を思い続け片方は他国の王太子妃候補にまでなった娘を妻にした。片方は国際的なストーカー認定をされて一切会うことはできなくなった・・・
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「恐いな」
過去を思い出しながら、自室で水色の硝子がはまった伊達眼鏡を外し執務机に置く。
ソファーに腰掛け、一緒に出かけた工房で目をキラキラと少女の様に輝かせ尋問官並に職人たちを問い詰めていた黒髪の女性を思い出す。
どうして自分は出会ってすぐに王女に向かって、惚れたとか好きだとか何もかもをすっ飛ばしてプロポーズをしたのかはグエン自身でもよくわからないのだ。
ただ、その瞳がこちらを向いたときに自分にはこの女性が必要だと瞬時に感じたのだと思う。
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戦場で、強敵に出逢ったときに絶対に倒さなければ自分が殺られると感じるのとほぼ同じだったが、もっと甘くて情熱が湧き上がるとでも云うのだろうか。
どうしても彼女が欲しいと思ったのだ。
生まれてはじめて。
睡眠以外に初めて執着したのかもしれないなと苦笑いがこみ上げる。
そうか、自分はロザリアやカイルが羨ましかったのかも知れない。
だからこそ好きにさせすぎたのだろう。
その行き着く先が見たかったのかもしれないが。
自分には決して許されない事であり、出来るはずの無いことだったから。
誰かに恋い焦がれるという衝動や何かを欲しがるという欲求を何処かに置き忘れたように自分が生きてきたから。
いま自分が望むものを手に入れたいと願うことが出来るようになったのは、ひょっとすると我儘と言われて兄の手を焼かせているロザリアや、部下にヘタレと言われ続けても思い続けたカイルが自分に教えてくれたのかもしれないな、と。
嫁を大切にしすぎて周りから呆れられる視線を嬉しげに受ける皇太子や、女性騎士のお仕着せを着て文句を兄に向かって叫んでいる娘の姿を思い出して、感謝する。
自分が失っていた『人を好きになる』事を教えてくれた2人は、演習場で兄に今日も蹴りを入れ、船の上で嫁に愛を囁いているんだろうなと思いながらグエンは一人で楽しくなり笑った。




