12話 グエン・トリステス②
お読み頂きありがとうございます(_ _)
✣
年々疲弊しつつあったグエンはその申し入れの真相を探るために単身北大陸に何度も潜入を繰り返した。
北大陸の全ての国を周り、各国の宿、食堂、商店、娼館等ありとあらゆる情報を集めてゆく。
そしてハイドランジアが鎖国中に独自に冒険者ギルドを発足し、魔物や魔獣を屠る為の効率的な方法を確立しシステム化をしていることに気がついた。
国を跨いで活躍するギルドの冒険者らは戦闘能力や魔力がべらぼうに高く、国籍に関係なくギルドを介してどの国にも従属することなく魔物や魔獣を殲滅し、各国の軍と協力をし連携をしながら粛々と問題を解決していく。
北大陸の国々は共通の敵である魔族に対して、互いに連携を取ることを否とせずそのやり方を受け入れていたのである。
それまではどの国も自国を守り、他国を排除するやり方しか知らなかったと言える。
だが、一度魔族を自分達の国から完全に追い出すことに成功さえすれば、今後魔族からの蹂躙は無くなるのだという安心を与えたもの――― それが神殿が作った『結界石』である。
✣
ルクス神殿が無償でその結界石を人族の国家に分け与えて設置させ、聖王が結界石を起点にし魔物の侵入を遮断する結界を張るのである。
そうする事で今後結界を維持し続け、人族と相容れない魔族とを分断して住み分けをしようというのが聖王ネイサンの目論見であった。
職滅ではなく住み分けである。
魔族は人族を低位の生き物と位置付けをしており、こちらの言い分には耳を貸さないことは長年のやり取りもあって嫌というほど分かっていた。
それ故に強硬手段として大陸毎に分断し閉じ込めようという事であったのだ。
人族は元々北と南の大陸のみに分布しており、魔族は魔力が強くどの大陸にもいるが数は少なく、比較的西大陸に多く定住していた。
東大陸はエルフや幻獣が住む大陸で、人は住まない土地である。
魔族もエルフや幻獣とは相性が悪いらしく敢えてそこへは行こうとはしないと言われていた。
これを元に東西南北の大陸毎に支配層を区切り、混沌とした時代に終結を打つためにハイドランジアの聖王は準備のために鎖国を強制的に行ったという事らしい。
グエンはこの壮大な計画に乗ることにした。
北の大陸の様に南大陸も平和が訪れるならば、やっと眠れる・・・
理由は其れだけだった。
まあ、その後知り合ったネイサンという聖王は『馬鹿らしい戦いに飽き飽きして面倒くさくなった』というのがその壮大な計画の発端だったらしいので、グエンが良質な睡眠のために計画に乗っても何ら不思議は無い。
偉大な歴史的出来事などというモノのきっかけは、エラく小さかったりするのが相場なのである。
××××××××××
結界石を南大陸の各国に運び込むことをグエンは自国の船を増強し、請け負うことにした。
魔族の特徴として、ある一定期間は戦闘ばかりをして周りを蹂躙するのだが、その期間が過ぎると気持ちが悪くなるほど大人しくなる。
其れが半年ごとに繰り返されるのが魔族の習性である。
魔族が大人しくなる期間を狙い、昼夜を惜しんで南大陸中を移動し様々な国に交渉を持ち掛け結界石を各国に配置させていく。
グエンは帝国の皇城には殆ど帰ることもなく働き続けた。
大人しくなる半年が終わればまた戦闘に明け暮れる半年がやってくる。自国の兵と共にまたもや戦い続ける。
そうしてそれを繰り返し3年後、他国で交渉している時に何故か閨を全く共にしていない筈の皇妃に女児が生まれたと連絡を受けて座っていた椅子から転げ落ちる程驚き、取り急ぎ帝国に戻ったのだった。
パパ、苦労してんだよな。ホントはただの社畜!
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻




