11話 グエン・トリステス①
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グエン・トリステスは、兎にも角にも家族に甘いダメ親父だ、と自分では思っている。
特に末の娘であるロザリア皇女に対し特に甘い。
これは彼の妻であり、ロザリアの母でもあった皇妃が彼女を産んで間もなく失踪したことに端を発する。
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グエンの婚姻は15歳。
お相手はこの国の高位貴族の娘で幼い頃からの許嫁でもあった。
彼女はグエンより10歳年上であったが、後ろ盾としては申し分無いだろうと判断され彼の意志は全く除外され決定された家の女性だった。
彼は生まれ落ちた時に既に皇太子であり、15歳で成人の義を済ませたと同時に皇帝として即位した。
彼が10歳のときにもう既に母である皇后は儚くなり、父親である前皇帝も魔族による戦いにより受けた傷が癒えぬまま生死の境を彷徨っており、出来るだけ早い即位を周りが切望していたからである。
即位と共に婚姻。そして矢継早に跡取りを望まれる彼は自身の幸せなど考える余裕などなかった。
言われるままに閨を妻となった皇妃と共にし、その後妻が懐妊し出産。そして息子の立太子。
2年後には第2皇子も生まれる。
その間も魔族との睨み合いと討伐の繰り返しで休む暇なく戦い続ける様はまさに帝国の軍神であったが、彼自身は自分自身を擦り減らし疲弊して行った。
気位の高い名家の娘であった皇妃は、贅沢と己の地位がありさえすれば良かった女性であったため大して打ち解けることもなく2人の皇子が生まれた後に閨は共にしなかった。
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寧ろ疲れた身体を休めるために眠りたかったため与えられた別室に寝所を構えた。
これがいけなかったのかもしれないが、その頃はとにかく休みたい一心であったのは間違いない。
毎日の様に襲い来る魔族と、夢のなかでも戦う夢を見て彼は眠れなかったからである。
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彼が20歳になった頃、ハイドランジア王国のルクス神殿から魔族の侵入を防ぐための方法が海を隔てた南大陸の大国であるトリステス帝国にもたらされた。
『結界石』である。
ハイドランジア王国のある北大陸の国々はこの結界石を利用することで、魔族や魔獣からの被害が激減したことにより、互いに睨み合いを続けていた関係に終止符を打ったのだという。
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北大陸の中央付近にあるハイドランジアの王国民は何故か魔力が高く生まれつくので有名であった。
其のため周囲の国から常に国民が狙われてきた歴史を持つ国だ。
平民、貴族、王家の一族すら攫われる事が当たり前であったが、其れは魔族に対抗し得る力を得るための略奪行為であった。
それにも関わらず、まるで北大陸では正当性があるように各国が声高に言明していたのである。
しかし之に異を唱えたのが、聖女と呼ばれるルクス神を敬愛する妖精の末裔と言われる乙女達であった。彼女達はハイドランジアの民を守るためにあらゆる方法を模索し、神殿を通し国を強固にしていった。
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そして其の意志を正しく受け継いだと言われる聖王ネイサン・ルクスが画期的な方法で魔族からも他国からもハイドランジア王国に一切手出しができない方法を思いつく。
其れは、己の潤沢な神聖力を駆使して国の周りに強固な結界を配置し、完全に物理攻撃からも魔法からも守るという方法だった。
これにより、ハイドランジア王国は一切の鎖国状態に入る。
その後他国からも魔族からも自国への侵入を一切許すことはないまま、ハイドランジア王国は独自に魔法王国として進化を遂げていく―
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鎖国後約50年経った頃にハイドランジアの周辺国家に変化が訪れ始めた。
北大陸全土が彼の国の手助けにより人族が圧勝し魔族の襲来が無くなりハイドランジア王国の聖王による温情で、劇的に人の溢れる大陸になったのだという。
ただ、南大陸は直ぐ側に魔族が数多く住む西大陸があり、戦いは日常茶飯事で、皆が夢物語だと一笑に付していた。
しかしそのハイドランジア王国、いや正確にはルクス神殿が今度は南大陸に手を差し伸べようと打診してきたのである。
長いので、分割します(_ _)




