第81話 魔王ルシフェル・悲しき最後の戦いその2
(こやつ!? これ程とは!! わしは何という者を育てたのか!?)
魔力の差がありすぎ、このまま戦ったとしても攻撃が通らない。笑みを浮かべて全てを解放しているルシフェルと対峙し、セトはいち早くそれを悟った。絶望感に苛まれながらも何か方法はないか、仲間たちを見て知恵を絞り出そうとしていたが、魔力を機体に集中させたカレンが、神々しい青に、まばゆく光り輝いている!
その青く輝く光りへ、意思とは関係なく応えるかのように、ルシフェルの黒き瘴気のオーラは減衰していき、魔力は半減、いや、それ以下まで抑制されてしまった! カレンが持つ相対する力により、魔王の力の多くが封じられる! だが、力の封印に全てを投じているカレンからは、それ以上の支援を受けることはできない。
「セトさん、ハル、みんな、今よ!!」
「ありがとうカレンさん。これならば、あるいは……」
素早く黄金のロッドを構えたセトは、
「わしがあやつの力を探ってみる。ハルよ、わしのあとに続け!」
「はい!」
そう指示を出すと、老翁とは思えぬ速さでルシフェルに向かって駆け走った! ハルはそれに遅れず後を駆ける!
「イレイサー!!」
全体を見て、最後の戦いにおける自分の役割は何であるか、ソフィアは十二分以上に分かっていた。魔力消去の魔法を唱え、仲間全員に自然法則を無視した空間の盾をつける!
「カレンさんの代わりに、私がみんなを守る!」
身を賭したソフィアの思いと支援に意気を得たセトは、凄まじい勢いで空中へ飛び上がり、
「ハッ!!!」
ルシフェル目掛けて黄金のロッドを振りかざすと、一直線に巨岩ほどもある太さの白く輝く光線が発現し、光速そのもので向かって行く!
「クッ!!」
常闇のワンドを盾として使い、魔力と瘴気を集中させ、魔王は全てを消し去る光の柱を受けきった。彼の周りの足場は非常に固い岩なのだが、体の狙いを外れた部分の光線の威力により、えぐり取られている。魔人セトの凄絶な攻撃であった。
「いけるぞ! ハル! 撃て!!」
「フレイムピラー!!!」
攻撃が通用する。確信を持てたセトは、間髪入れずハルに号令した! 魔人のワンドと『潜意識の解』によって、極限まで高められた魔法力は、巨大な炎の柱となり、態勢を崩しているルシフェル目掛け、高速で飛んでいく!
「こっちか!?」
右手一本で魔力の障壁を作り、爆炎の柱を受けきった魔王は、不敵な笑みを浮かべた。しかし、彼の右肩は少し焼けただれている。ダメージはゼロではない。しかし、ほとんど最大の攻撃を繰り出したセトとハルの消耗は激しく、二人とも肩で息をしている。