第71話 忘却の文明に導かれて
修行により、以前と比べ物にならないくらいの強さを得たレイラを、ハルとソフィアは無事迎え入れる。青い鳥ライセイのエムブレムが何であるか、その謎も確証を持って解けた。あとは支度を整え、忘却の文明の遺跡がある森へ向かうのみだ。その準備に丸一日要る。ハルたちは、ワイズとフラットの2人と一旦別れ、クライムランド城下町の宿で一日休息を取りつつ、旅支度を十分作り上げた。ワイズたちも、家でテキパキと用意をしていたようで、翌日の早朝、城下町の正門で再び彼らは合流し、いよいよ青い鳥ライセイの森へ向かっている。
(夢の通りだ! とうとうここまで来たんだ!)
レイラとソフィアは、ハルが取り憑かれたように、何度も繰り返し言葉にしてきた青い鳥ライセイが、森を飛び交い見せる、その美しい深い青と、声高いさえずりを目と耳で実際に感じ取り、しばらく立ち止まって驚愕している。ハルもそうなのだが、心に内在する戦女神が、彼をここまで呼び寄せた運命的な経緯をその上に思い、興奮が隠しきれず、武者震いをしていた。
森での道をよく知っているワイズとフラットを先頭に、ハルたち一行は1時間弱ほど歩き続ける。
「あれがそうだ。こうしてみると、調べた通り、忘却の文明の遺跡としてしか説明がつかんな」
それはテラのテクノロジーでは到底作ることが出来ない、壮大な威容であった。何千年前からあるのか分からないが、決して錆びることがない頑強な合金の壁が、高く幅広く続いている。壁により造られている建築物はドーム状で、丁度、森の高い針葉樹と同等な高さがある。簡単に発見されないように、計算して造られたのかもしれない。
「す、すごいけど……入り口がどう見てもないよ?」
「うん、まあそれで前回は諦めたわけだが、こっちに来てみろ」
全て調査通りと確信を持っているワイズが、ソフィアに手を振りつつゆっくり歩き、指し示した物は、腰くらいの高さがある金属の台座であった。ハルが持つライセイのエムブレムそのままの形が精巧にそこへ彫られている。
「もしかして、このエムブレムが!?」
「そういうことだ。型に合わせてみろ。鍵になっているんだ」
緊張の生唾をゴクリと飲み込み、ハルはライセイのエムブレムを台座の型に入れた。すると遺跡全体に、青白い光りが伝わっていき、台座の前の壁面が突如として自動扉に変化すると、大きく左右に開く。何が起こったのかと考えるような気に、ワイズを除いてなるはずもなく、青い鳥に導かれる形で、遺跡内部へハルたちは入っていった。




