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追憶の転生  作者: チャラン
第3章 カルタリア大陸・青い鳥を求めて(後編)
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第69話 ボサボサ頭の変人

 青い鳥ライセイとそのエムブレムをギルドの親父に見せたが、小首をひねるだけで、そこまで有用な情報は手に入らないかと思われた。しかし、ポンと手を打ち、強面の親父は何かを思い出したようで、


「城下町内の小高い丘に、一軒小さな家が建っていてな。そこに変わり者のワイズっていう学者が住んでるわけよ。おかしな奴だが、昔、この国に胸斑病という病気が広まりかけてたことがあってな。その感染経路っていうのか、それを突き止めて、そいつが役に立ったんだよ。知識は確かだ。青い鳥のことも、よく知ってるかもしれねえ」


 そう、変わり種の人物の居所を教えてくれた。妙な話にハルとソフィアは顔を見合わせる。だが、内容からすると面白そうな学者であるし、脈もありそうだ。




 クライムランドは高地にある。その中でも一段高い丘の上に、小さな一軒家が確かに建っていた。家というよりは小屋のようにも見え、ハルたちにとってはガラクタにしか見えない物が、その建屋の周りにところ狭しと置かれている。


「ごめんください。ワイズさんはいらっしゃいますか?」


 ハルが戸を叩き、呼びかけたあと中から出てきたのは、意外にこざっぱりとした上下で、髪も清潔に整えた青年であった。


「どちら様ですか?」

「突然失礼しました。俺はハルで、こっちはソフィア。旅をしている者です。ギルドでここを教えてもらったんですが、あなたがワイズさんですか?」

「ああそうなのかい。いや、俺はワイズじゃないよ。俺はフラットっていうんだ。ワイズなら中にいるよ。まあ、狭いところだけど上がんなよ」


 玄関の引き戸をしっかり開き、フラットはハルとソフィアを招き入れる。家の中は、雑多に研究用具などが置かれていて言葉通り狭い。そんなせせこましい居間のテーブルに目をやると、ボサボサ頭の見るからに変人が、古い書物を開き、調べ物に没頭していた。


「おい! ワイズ! お客さんだよ。お前に用があるんだって」


 大きな声でフラットに呼びかけられ、ようやくワイズは来客に気づいたようだ。書物を閉じ、ハルとソフィアの方を向くといきなり、


「おお! お前、面白いものを持ってるな! 見せてみろ!」


 挨拶もなしに、ハルが右手に持っている青い鳥ライセイをモチーフとした、金属のエムブレムを指差した。


(これは聞いたとおり、かなり変な人だぞ)


 そうは思ったものの、エムブレムに興味を強く示しているのは、渡りに船と言える。元々、見せるつもりであったライセイのエムブレムをワイズに渡すと、この妙な学者は一心不乱に鑑定し、納得がいくと、何やらまた違う書物を引っ張り出し、脇目も振らず調べ始めた。

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