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追憶の転生  作者: チャラン
第3章 カルタリア大陸・青い鳥を求めて(後編)
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第55話 戦女神は色目を嫌がる

 数十年前までは小さな村だったと思われる廃墟の探索には、それほど時間を取られなかった。広めの朽ちかけた廃屋の庭を、ミニデーモンたちが我が巣として思い思いにくつろいでいる。ハルたちが発見したのは5匹、数はちょうど揃っていた。


「こっちに気づいてないみてえだな。どうする? 仕掛けてみるか?」

「はい。イゾウさんとレイラで斬り込んでもらっていいですか? 俺とソフィアが魔法でカバーします」

「私はそれでいいわよ。イゾウさんは?」

「構わねえ。じゃあ行くか」


 幾多の死線をくぐって来たのだろう。今の今までのっそりしていたイゾウは、狼犬のごとき俊敏さで、一つの迷いもなくミニデーモンの群れに斬りかかって行った! あまりのイゾウの変わりように、一瞬、レイラは呆気にとられたが、()ぐに気を戦いに切り替え、彼のあとを追い、速攻をかける!


「ナ、ナンダ!? オマエラ!?」


 突然の虚を突かれた先制攻撃に、5匹のミニデーモンは慌てふためいた。そして緑色の小さな悪魔は態勢を整える間もなく、仲間の2匹をイゾウとレイラの斬撃により、失ってしまう! 勢いに乗り、一気呵成に残りも斬ろうとした剣の達人と天才であったが、


「チョウシニノルナァァー!!!」


 ミニデーモン3匹が魔力で生み出した数個の風の刃が、イゾウとレイラへ高速で飛んでいく! 人間が反応して避けられるような速度ではない! 二人は咄嗟(とっさ)に剣を盾にしてなんとか身を守ろうとする!


「……?」


 切り刻まれているはずのイゾウとレイラを守ったのは、戦女神が作り出した分厚い炎の壁であった。鋭い風の刃は、その壁に飲み込まれて消滅している。イゾウは信じられないという顔で後ろを振り向き、


「こりゃあ確かにべっぴんさんだ」


 左腕をかざし、炎の壁でハルたちを守っている戦女神の美しさに見惚(みと)れていた。妙な目で見られている戦女神は、ちょっと戦いにくそうだ。


「イゾウさん! レイラ! どいてくれ!」


 第2の母のような存在の彼女に、そんな色目が向けられていると気付かず、ハルは戦女神がかざした右手から魔力の増幅を受け、


「フレイムピラー!!」


 数本の火柱を超高速でミニデーモンへぶつけた! レイラは退避し、安全にそれをかわしたが、


「あっぶねえっ!!!」


 イゾウの方は危うく火柱に焼き尽くされるところであった。多少、戦女神が彼の色目を嫌がり、ハルの狙いを調整したのかもしれない。


 爆炎の柱は2匹のミニデーモンを焼き尽くし、残りは、かろうじてかわした1匹だけだ。既に戦意を失っているようだが、慈悲をかけるわけにはいかない。

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