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追憶の転生  作者: チャラン
第2章 カルタリア大陸・青い鳥を求めて(前編)
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第47話 シー・サーペント(小型)

 初めて何かを体験する時、人は新鮮な感動をそれに覚える。ハル、レイラ、それにソフィアは、今、船上の人であり、海原を進む船の雄大さにそれぞれ大きな感激を受けていた。


「すごいすごい! どんどん進んでいくよ!」

「はっはっはっ! 速いだろう? 船じゃないと感じられない海の良さがあるんだ。ソフィアちゃんもレイラちゃんも、船に乗るのは初めてだったね」


 ファークリフに向かうため、ハルたちは短い航海をしているわけだが、彼らを送っている船長は、他ならぬハルの父バイロンである。ドックの一角に係留していた自分の船を出し、ハルの旅への餞別を兼ねて、北西の要衝港まで海を越えて行く最中だ。


 海と美少女姉妹の笑顔を見比べながら、ハルは少し引き締まった顔でバイロンとの約束を思い出していた。


(旅の節目節目で、お前とレイラちゃん、ソフィアちゃん、皆無事な姿でアンカーレストに帰ってくること)


 それが父が子を思ってつけた、旅の唯一の条件である。ハルは転移魔法を習得している。定期的に故郷へ帰るだけなら造作もないように思えるが、レイラとソフィア、旅に付いてきてくれる二人の安全にも責任を負わなければいけない。


(父さんが言ったのはそういう意味だ。守らないと)


 何をするべきか分かっている男の良い顔になったハルに、バイロンはそれとなく見て気づいていた。そして一人息子の成長に、人知れず小さくうなずく。




 波頭をかき分け進む航海は順調であると思われた。しかし、テラを覆い始めている不穏さは、この小さな航海にも影響を及ぼす。


「父さん、あそこの海に何か影がない?」

「あるな。しかも大きい。もしかすると……。ハル、戦う構えを作っておけ」


 船員を戦闘配置につかせ、バイロンは面舵を切った。慌てている暇はない、ハルたち3人は、何が起こっても備えられるように最善の態勢を作る。


 嫌な予感というのは総じて当たるものだ。大きな海中の影は、さらに濃く浮かび上がっていき、それは竜の首をもたげた大蛇のモンスターとして、船に迫ってくる!


「シー・サーペントだ! 気をつけろ! ブレスを吐くぞ!」


 船を飲み込むかと思うほどの大きさは、そのシー・サーペントにはなかった。しかし、うっすらと漂う瘴気によるものか、海竜は敵意の目でこちらを窺うと戦いの先を取り、身を震わせ、青炎のブレスを吐き出した!


「避けられない!」


 青い炎の勢いは凄まじく、ハルは自身を犠牲にするつもりで咄嗟(とっさ)にレイラとソフィアの前に立ち、身を投げ出してかばう!

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