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追憶の転生  作者: チャラン
第2章 カルタリア大陸・青い鳥を求めて(前編)
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第29話 来青(ライセイ)

「ハルと言ったかい。お前は面白いねえ。今日見た夢が正夢になるとは思わなかったよ」

「えっ! じゃあ、この青い鳥を夢で見たんですか!?」

「そうさ。私は名前も知っている。来青ライセイという鳥だ。昔、カルタリアの北で見たよ」


 運命づけられた繋がりかもしれない。青い鳥の実在が間違いなく確定し、それはライセイと呼ばれる鳥ということも分かった。これはもはや偶然と言えないだろう。あまりのことに、ハルは喜びを通り越して、薄く冷や汗を滲ませ息を呑んでいる。


「こんなことって、凄いわ……。ウリルさん、このレリーフのことは何かご存知ないですか?」

「いわくがありそうな物だが、それはわからないねえ。ただ、ハルを守っていると言ったかい、その戦女神と関係はあるんだろう。そうじゃなきゃ、お前がそんな夢を見ることはないだろう?」

「確かにそうね~。ありがとうございます、ウリルさん」


 レイラとソフィア、美少女姉妹が顔を見合わせ笑っている。彼女たちも、想い人が追い求める謎の答えがぐっと近づいたことで、とても嬉しそうだ。


「それで本題は転移の魔法だろう。まあいいだろう。教えてやろう。だけど、お前たちを試させてもらうよ。できるかい?」

「はい、教えてもらえるなら頑張ってやります!」


 ウリルは「ふっ」と鼻で笑い、ハルたちがこなさなければならない試練の説明をし始めた。どの道、これをクリアできないなら、転移の魔法を覚える力が不十分ということである。やり遂げるしかない。


(私でも、こんなに機嫌がいいお師匠様を見たことがないわ)


 ベラの今までの記憶によると、大体が、ウリルは人を気に入るということがなかったらしい。それが今朝はどうだろうか。師のあまりの変わりように、ベラはやや顔を呆然とし、驚くばかりだ。




 森の中にあるのがライムの町である。そこから森林につけられた道を東北東の方向に四半日ほど歩くと、『閃緑の塔』と呼ばれる美しい塔が見えてくる。外壁が光に照らされると、深い緑色に透き通って輝く鉱物で作られた、とても神秘的な塔だ。


「さあ着いたぞ。鬼が出るか蛇が出るか。ここまで来たんだ、何でも来い!」

「今日は元気ね~、ハルにいちゃん。あの扉から入れるのよね。入ってみましょ」


 その神秘性から、ライムの町民が内部へ入ることはほとんどない『閃緑の塔』なのだが、魔術師ウリルとその弟子ベラから特別な許可を貰い、ハルたちは塔内部の探索を行おうとしていた。塔の中のどこかにある、転移魔法の習得に必要なアイテムを手に入れること、それがウリルの試練だ。ハル自身が言っているように、塔内部は安全ではない。それ相応の覚悟で、3人のパーティは臨んでいる。

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