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追憶の転生  作者: チャラン
第2章 カルタリア大陸・青い鳥を求めて(前編)
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第25話 父バイロンの条件

 テラに蔓延(はびこ)り始めた不穏な空気、ハルに旅の許可を出したものの、彼の父バイロンはそれを非常に心配していた。それもあり、旅立つにあたってこんな条件を示している。


「瞬間転移の魔法を教えてくれる凄いお婆さんがいるって父さんは言ってたけど、本当かなあ?」


 親心というのはありがたいもので、ハルたちの旅が便利に、そして少しでも安全になるように、とても有益な情報を与えてくれていた。半信半疑な様子で、ハルはレイラとソフィアに話しかけているが、その瞬間転移の魔法を習得するのが、バイロンの言う旅立ちの条件なのだ。


「私聞いたことあるよ~。ライムの町に凄い魔法使いのお婆さんがいるって。セトおじいちゃんもそんなこといつか言ってたよ」

「じゃあ間違いなさそうね。でも瞬間転移なんて、簡単に覚えられるものなのかしら?」


 そんな疑問を感じた目で、レイラはハルを見ている。自分の実力を疑われたような気がして、ハルは当然いい気がしない。しかしながら、「絶対に覚えられるさ!」と言い返せるほどの自信は、彼も持てなかった。


「なるようにしてはみるよ。とにかく、転移のお婆さんに会ってみてからだな」


 どの道、瞬間転移が使えるようにならないと、バイロンが提示した条件をクリアできず、旅はそこまでである。逆を言えば、条件をこなして使えるようになれば、ハルたちが思っている以上に、旅がスムーズになるのは確信が持てる。彼らが向かうライムの町は、旅の最序盤から、早くも重要な分水嶺と言えよう。




 アンカーレストから伸びるそれぞれの街道は、主なもので3本ある。北、西、そして今、ハルたちが歩を進めている南の街道の3つだ。青い鳥と戦女神の謎を解くためには、北の街道を行く必要がある。すなわち今は、回り道をしていることになるが、果たしてそうではなく、近道と見なせるかもしれない。


 カルタリア大陸の中でも、アンカーレストは要の交易都市の一つだ。なので、ライムの町へ続く街道の整備状態は良く、旅人の往来も途切れることはない。この日は晴天であり、ハルたちの旅始めにはうってつけでもあった。


「あっ! 見て見て! 車が走ってるよ!」

「本当ね、珍しいわ。お金持ちなのかしらね」


 テラの文明が持つ現在のテクノロジーにおいて、燃料で走る車はとても珍しいものである。そして非常に高価な輸送手段なので、一般の人が旅に使うことなどありえなかった。魔物を避けて移動するのにも便利であり、我が道を行くように、車は街道を北に走る。羨望の目でそれを見送り、ハルたちはまた歩を進め始めたのだが、彼らは車上の人のように、旅の危険を避けられるわけではない。

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