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異世界転生と奇妙な特典

目を開けるとそこは真っ白い空間だった。

右も左も上も下も、どこを見ても果てしない白が続いていた。


「ようやく目覚めたのね。というかいつまで寝ているのよ!そしていつまでこの私を待たせるのよ!」


きょろきょろと辺りを見回していた顔を元の角度へ戻すと、そこには上はTシャツ下は短パンというラフな格好をした長髪の女の子がいつの間にか居た。

Tシャツには『()()()』と大きく書かれていた。


「私は女神としてやることがたくさんあるの!女神として死んだ人間を導いたり、下界を観察してバランスをとったり。あんたと違って寝る時間が惜しいくらい忙しいの!」


出会って早々文句を言われているが、そんな文句を言われるほどの筋合いも面識もないんだが。

てか誰だこの子?女神とか言ってたけど、見た感じどこにでもいる小学生くらいの背丈なんだが、発言が小学生っぽくない。あれか、これが俗にいうクソガキというやつか。初めて会ったわ。


「クソガキじゃないわよ!失礼ね!私はあんたなんかより全然年上なんだから!」


どうやら見た目以上の年齢らしい。ロリババアか。


「ぶっとばすわよ!?」


その後なんやかんやあって、私は女神アメス、と名乗られた。


「それよりも!あんたの案件を早く済ませないと、私の神聖で貴重な時間が失われていくのよ!」


そんなことよりも彼女の目の前にテレビとゲーム機があることの方が気になるんだけど。


「面倒だけど決まりだし、一応説明しておくわね。」


そこからはこれまでのあらましとこれからのことを聞かされた。

なんでも俺は元の世界で通り魔に刺されて死んだらしい。

なぜかその辺りの記憶が、というより生前の記憶そのものがあやふやになっているけどそこは一旦置いておく。

次に今後のことらしいけど、なんでも別の世界に転生するか、地獄に落ちるかの二択から好きな方を選べと言われた。

なんつー二択だよとツッコんだら救いがあるだけマシだと言われた。

転生先は元の世界よりも過酷で、魔王が君臨しているせいでそこらへんに普通に強いモンスターが日常的にうろついているっていうよくある異世界転生モノの世界らしい。

よくある異世界転生モノの世界ってなんだよ。

とりあえず地獄は嫌だから転生で、とお願いした。

どれだけ過酷でも地獄よりはましだろう。

すると、どこからともなくガチャガチャの機械を取り出した。

普段よく見る普通のサイズだったが、内容物が記載されている紙にでかでかと転生特典ガチャと書かれていた。


「はっきりいって、私この仕事あんまり好きじゃないのよね。」


ぶっちゃけすぎだろ。上司見てたらどうすんだ。


「でもこのガチャの瞬間だけは、この仕事やっててよかったと思えるくらい楽しいわ!」


今までの冷めた態度から一変、ウキウキし始めたロリ神。


「なんたってこのガチャは一度たりとも同じ転生特典を出したことがないの!」


なるほど、絶対にダブらないし、どんな特典があるかを本人も知らないからか。

気持ちはわかるが、はしゃぎっぷりが見た目と相まってより一層幼女らしさに拍車をかけている。


「一人三回まで引けるわ。これは全員共通よ。生前、どんなに良い行い、どんなに悪い行いをしても回せる回数は三回と決まっているの」


中身がどうなっているかふと気になってガチャガチャの中身を紙の隙間から覗いてみるも、特に普通のガチャと変わらず、カプセルに紙が入っているだけの簡素なものだった。


「ささ、早く引いてごらんなさい」


ロリ神はこちらが引くのを今か今かと純真な目をしながら待っている。

特に何も考えず、一個目の特典見てから考えようという軽い気持ちでハンドルを回す。

出てきたのは黒い容器だった。

開けて中の紙を見てみると、大きく『呪』という一文字だけが書かれていた。


は?


脳がフリーズした。『特典』とかいうからてっきり良いものが出るのかと思ったら、なんだこれ。


「あー…」


俺の肩越しに紙の内容を見てあちゃーという顔をしているロリ神。


「言うの忘れてたけど、生前の行いでガチャの内容が変わるの。例えば、生前に自動車に轢かれそうになった子供を身を挺して守った人は、『単発蘇生』っていう特典を当てていたわ。使えるのは一度きりで一人だけだけど、どんな対象者でも瀕死、もしくは死んだ状態からその者の全盛期の状態まで戻すことができるの。これは自分にも使えるわ。ただし、効果を発揮するには死後三日以内という条件があるけどね。」



めっちゃ強いじゃん。

ドン引きだよ、死んだ人間生き返らせるとか、チートかよ。

それに比べて『呪』ってなんだよ。絶対デバフ系の類じゃん。


「逆に生前で人を殺めてしまった人の特典は『幻』。常に殺めた人の幻覚と幻聴に苛まれるらしいわ」


えっぐ、そんなのされたら精神崩壊するだろ。


「それで、あなたの特典なんだけど…、確認してみたら『メインヒロインと恋仲になれない呪い』らしいわ」


どこからか取り出した携帯電話の画面を見ながらそんなことを言ってきた。

どういうことだよ。


「むしろ私がどういうことよ」


やけに具体的なの来たな…。

しかもメインヒロインとかいるのか?漫画の世界じゃあるまいし。


「なんか『呪』っていう文字の大きさによって呪いの強度も上がるらしいわ。見た感じだとこれは最高強度ね」


絶対にメインヒロインとはイチャイチャさせないという鋼の意思を感じる。

うーん、でも困った。まさか初っ端デバフを引くとは思わなかった。

良くわからない効果だし、どれくらい重要なのかもいまいちピンとこない。

ただ、三回あるうちの貴重な一回にこんなよくわからん特典を当ててしまったことがどれだけヤバいかはわかる。


「じゃあ二回目行ってみましょう!」


冷静になれ、焦ったってガチャ結果は変わらない。

そうだ、まだあと二回もあるんだポジティブに考えていこう。

でもよく考えると慎重に行こうとしても結果は変わらないのか。

ならもうなるようになれの精神で、と思いハンドルを回す。

出てきたのはさっきとは違い、色のない透明な容器。

中の紙を見ると、『超器用貧乏』と書かれていた。

器用貧乏というと、なんでもこなせるが中途半端で終わるっていうあれか?

デバフではないだろうが、バフかといわれると…ちょっと微妙だ。


「これは読んで字の如く、『器用貧乏』の上位互換よ。見るだけで大体のことが真似できるし、中途半端よりはもう少しできるようになるわ」


聞いた感じだと器用貧乏の悪いところが多少改善されているように思えるが…。


「ま、これは実際に使って実感してみないとわからないだろうからあまり深く考えなくていいわ。さ、次々!最後よ!」


さらっと流されて最後のガチャへ誘導される。

神にとってはどうでもいいかもしれないが、こっちは今後のことを考えると死活問題なんだが。

急かされるように三回目のハンドルを握り、ゆっくり噛み締めるように回す。

取り出し口に見えるは銀色の容器。

紙には『ランダムバフ・デバフ』と記載されている。


「へー、なかなか運だめしなのを引いたわね。それはバフかデバフが毎日代わる代わる発動するものみたい」


バフはありがたいが、デバフはきついな。

あとどんな効果があるのかと、効果の度合いが気になる。


「発動した効果は一日で消えるみたいだから、そこは気をつけてね。」


どんなに良いバフでも、どんなに悪いデバフでも効果は一日しか続かないらしい。

ラインナップが不明だから喜んだらいいのか、悲しんだらいいのかもわかんないな。


「これも日が経つにつれて良し悪しがわかると思うわ。というわけで転生特典の儀も終わったし、さっそく転生しちゃいましょ!」


そういった瞬間、自分の足元に大きな魔法陣が出現した。

それと同時に体が透けていく。


「向こうの世界に行ったら、まず冒険者ギルドで冒険者になることをオススメするわ。手っ取り早くお金も稼げるし、冒険者カードを作ると自分の今のステータスも確認することができるわ。まあ、詳しいことは現地の人に聞いてちょうだい」


あまり長々と説明するのがめんどくさくなったようだ。

神様ならちゃんと説明してくれと思う。


「さて、朝侍雄馬(あさじゆうま)さん。これから転生する世界でもし魔王を倒した暁には、何でも好きな願いを一つだけ叶えて差し上げましょう。」


別人と見間違えるほどの変わり身。

さっきまでとは違い、女神オーラが全開になっている。

これなら神様とか言われても納得できる。

これもよくあるお約束ってやつね、と言ってさっきの通常のモードに戻った。


「あ、でももう数百年ぐらい倒されてないみたいだし、あなたより前に送り出した転生者たちは魔王に悉く倒されちゃってるから、無理せず頑張ってね」


今なんかとんでもないことさらっと言ったけどそこんとこもっと詳しく教えろy


言い終わる前に身体は完全に消滅した。


3500文字くらいなんですけど、これくらいの文量で大丈夫ですか?

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