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タロット  作者: キリン
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青春堪能中少女アイン=ナブル・シンリちゃんの胸触り放題券

アルタイルが向かった先は、城の外にある駐屯地だ。

守備隊は全て機神兵の抑制に走り動けず、暗殺隊はタイミング悪くハワイにサンバ修行中である。

「よって、俺たち特攻隊が機神兵を全部ぶっ壊す、異論はあるか?」

と、アルタイルが低い声で団員に言うが、返事はない。

兵士のほとんどは負傷し、負傷してない兵士は恐怖で体がすくんでいた。

(まずいな、パニックになりかけてる)

アルタイルは舌を打ち、どうすればいいか思考する。

だがそう簡単にこの状況を打開する策は出てこず、時間だけが過ぎていく。

こうなったら自分だけでも、グリゲィスを握る右手と足に力を籠めようとした、その時だった。

ポン、と、力むアルタイルの肩に手が置かれ、金色の髪が隣を横切った。

マイクを握ったその女性は、軽く深呼吸をした後、大きな声を出す。

「ヘイヘイヘイ!、久しぶりだね私の元どうりょーう!」

子どものような元気な声が連合国中に響き渡り、怯え切っていた兵士が立ち上がる。

「シンリさん!?」とか、「ぬわぁぜここにぃ!?」とか、「おっぱい大きい」などの声が上がり、シンリは失言をした約一名の兵士を粛正している兵士共に問いかけた。

「機神兵を倒したいかー!」

シンリの元気な声が、騒がしい兵士たちがいる駐屯地に響く。

しーん、と、駐屯地が一瞬無音になり、次の瞬間兵士たちは一斉に叫んだ。

「「断るっ!、やだ!」」

「いや子供かッ!」

ボケっとしていたアルタイルがグリゲィスでツッコもうとしたが、黒鞘が両手を広げて止めた。

「止めるな黒鞘っ!、こいつらを殴らないと俺の気が済まないっ!」

「気持ちは分かりますけどやめてください!、ここはシンリさんに、あなたのお母さんに任せましょうよ!」

黒鞘の叫びを聞き、グリゲィスを握っていたアルタイルは舌打ちをし、近くの壁に寄り掛かった。

「俺はもう知らん!、失敗したら丸焼きだからな!」

弱い所を突かれ何も言えなくなったアルタイルは、なんかぶつぶつ言ってはいるが、それが一番いいと心のどこかで分かっているのも事実なのだ。

戦う意味で強くても、人を動かす意味では、まだまだ弱いのだ。

プライドを曲げた言葉を聞き、シンリは再び兵士たちの方を向く。

「君たちの気持ちは良ーくわかった!、なら私から素晴らしい提案をさせてもらおうか!」

シンリのその言葉に反応し、兵士たちが少しざわついた。

どんな提案なのか頭をひねる兵士たちを満足そうに眺めながら、シンリは腰に手を当てマイクに大きな声で。

アルタイルが少しだけ、自分の母親凄いだろーと言っている中で。

「今からゲームを始めまーす!」

悪魔のような一言を言い放つ。


「機神兵を1番多くスクラップにした人はなんと!、今ならこの私!「青春堪能中少女アイン=ナブル・シンリちゃんの胸触り放題券」がプレゼントされまーす!」


アルタイルの口がへの字になった。

駐屯地は静まり返り、男性が一斉に顔を上げる。

一人が鼻血を噴き出した。

するとまた一人、二人、三人四人と増えて行き・・・・・・・・。

ついには駐屯地出口から、いや入り口からも兵士が滝のように出てきた。

我先にと武器を手に取り、機神兵を見つけると一目散に壊しにかかる。

先ほどとは状況が逆転しており、機神兵が逃げ、兵士が追いかけている。

残った女性の兵士はと言うと、おっぱい求めて機神兵狩りに行った兵士たちに踏まれまくり、手足をぴくぴくさせて気絶している。

中にはダイイングメッセージの如く、「シンリを許すなおっぱいを許すな」と指先で書き残している者もいた。

とりあえずその状況を垣間見たアルタイルは、一瞬でもこの頭がお花畑の母親を信じた自分を憎み、壁に頭を打ち付けまくった。

黒鞘は自分の胸を隠しながら、問題の悪魔少女シンリから離れる。

一歩二歩と下がり、ついには頭が血まみれのアルタイルの後ろへと隠れてしまった。

とりあえず申し訳ないので黒鞘の頭をくしゃくしゃに撫でた後、アルタイルは低い声で言う。

「・・・・・・・一応俺は思春期だということをお忘れかな色ババア、親なら真面目に教育しろや」

呪いや恨み辛みが言葉となってシンリに向かう。

しかしバカはそういう事にも大勢があるらしく、シンリはアルタイルの言葉を無視して、にやにやした顔で黒鞘に言う。

「小さいな(笑)」

口元を抑えぷぷぷと笑うシンリ、たぶんこの面が一番殴りたい人間TOP3に入るだろうと黒鞘は思い、自爆覚悟で指を鳴らす。

しかしそこはお任せを、アルタイルが血まみれの顔で黒鞘の肩を優しく叩き、目にも止まらない速度の拳をシンリに放ったことで全ては解決した。

アルタイルが反抗期行動をとった所で、シンリは殴られた右頬をさする。

「痛いよ~なんで殴るのよ~」

「自分のその無駄にデカい胸に聞け」

かなりイライラしているのか、戯言を無視してグリゲィスを持って入口に立った。

「俺はこれから外に出て、機神兵を全部ぶっ壊す」

「えっ・・・・あなたも触りたいの・・・・?」

カチン、と、最後のストッパーが外れかかったがそこはガッツで持ちこたえ、アルタイルは暴言で怒りを抑えた。

「ぶっ殺すぞクソババア、ほら、お前も行くだろ?どうせ後から暇になって来るんだし」

「あなたは私をなんだと思っているのよ・・・・・・・」

招き猫のようにシンリに「こっちこい」の合図を出したアルタイルは、シンリのちょっとした愚痴に紳士な答えを出した。

「ショタコン未成年戦闘狂ババア」

「うわーん(涙)」

紳士な答えを受け取ったシンリがアルタイルをポカポカ殴り、(萌えのイメージがあるが重傷))アルタイルは逃げるように外に走り、シンリはそれを追いかけた。



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