表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タロット  作者: キリン
4/25

守護隊

「押し返せ!、戦わなくていいとにかく押せ!」

うぉおぉぉぉぉおっ!、と、力強い掛け声が響く。

まるで綱引きのように、全員で同時に前に進み、開いた隙間に新しく盾を持った騎士が入る。

たくさんの騎士が集まって形成された陣形は、それが一つの盾のように連合国を守っていた。

この集団の名を守護隊、連合国三大軍隊の一つである。

短期決戦が得意な特攻隊とは違い、籠城戦や耐久戦を得意とする守りのスペシャリスト集団だ。

そして、その守護隊をまとめ上げるのが、この青年だ。

「第三陣形後退!、第五陣形前へ!、疲れたなら休め、頑張らなくていい、その代わり守り抜け!」

黄金色の整った髪型に外国人特有の白い肌、透き通る緑色の目は宝石のように輝き、着ている装備は特別なわけではなく、他の騎士と同じデザインの鎧だ。

華奢な体で白く清い盾を持ち、その身の丈には会わない気迫で指揮を執っていた。

名をグラハッド、かの「円卓の騎士」の一員であり、同時に連合国第12代目守護隊長である。

歳は十七だが、その力量は歴戦の騎士とも渡り合えるという。

整えられた陣形を目で追い、確認しながらグラハッドは隣の男に尋ねる。

「そんなところでぼさっとしてる暇があるなら、このうざったいスクラップを何とかしてもらいたいな」

「命令すんな三下、円卓だろうが食卓だろうが俺には関係ない」

そこら辺の椅子に座りながら、アルタイルはグラハッドに言う。

あくびをしながらボーっとしているその姿にイラっと来たグラハッドは、眉間にしわを寄せる。

「・・・・・イギリスを敵に回したいようだな」

「そっちがケンカ売るなら買うぜ?、国ごとぶっ潰してやるよ」

アルタイルはグリゲィスをくるくると回し、グラハッドに中指を立てる。

しばらく拳を握ったグラハッドだが、ここで戦ってもメリットが無いので大人しく指揮に戻った。

アルタイルはそれを横目で見ながら、耳を澄ませる。

聞こえるのは、騎士たちの鎧が軋む音。

機神兵の駆動音。

だが、アルタイルにはまだ聞こえている物があった。

たっぷり5秒、ゆっくりと目を開けたアルタイルは立ち上がり、歩く。

グラハッドがこちらを睨むが、アルタイルはそれを無視する。

適当にグラハッドの肩に手を置き、守護隊の陣形の隙間の中に入る。

「はいはい、分かった分かった」

ため息をつくと同時に、アルタイルは棒を構える。

肩に担ぎこむように、力強く。

そのまま助走を付け、アルタイルは一気に機神兵が群がる戦場へと突っ込んでいった。

ドォォォン!、と、まるで電車にでも引かれたかのように、次々と機神兵が空に打ち上げられ、落ちて、他の機神兵を潰していった。

一通り機神兵を打ち上げたアルタイルはその場で立ち止まり、勢い良く回転する。

回転するコマの如く回ったアルタイルのグリゲィスは、機神兵を次々と薙ぎ払って行った。

だが、それでは終わらない。

打ち上げられた機神兵を、回転によって生み出された竜巻が包む。

目視できるほど巨大な竜巻は、戦場の機神兵を一掃していった。

アルタイルは空を舞う機神兵を踏み台にしながら、地上のグラハッドに言う。

「後は任せた、俺は行くところがある」

そう言って、アルタイルは唖然とするグラハッド達を置いて、跳んでいった。

まだ兵士も騎士も、一人もいないはずの西へ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ