会議①
連合国襲撃から、三日が経った。
町では釘を打つ槌の音、休憩時間の間に歌う大工の声が聞こえている。
その勢いはすさまじく、半壊していた連合国の三分の一を既に修復していた。
「‥‥‥とまぁ、これが今の連合国の現状ですな」
大きな窓に映る景色を指差しながら、眼鏡の中年男は言う。
窓の真正面には連合国の隊長が二人、そして「金獅子」と言われた金髪の女が一人。
特攻隊隊長のアルタイルは机の上に足を乗せ、対照的にグラハッドは腕を組んで座っていた。
連合国の方針への会議、暗殺隊隊長が不在のため、残った守護隊と特攻隊の隊長、そしてゲストとしてシンリが来ているのだ。
「修復まではあと一週間ほど、金銭的な問題は貴方達の給料で賄えますのでギリギリってところですかね」
アルタイルの眉間にしわが寄る。
「ほんの少しの給料が雀の涙になるってことか?それだったら給料を統一しろ、上も下も関係なく、統一だ」
気迫によって空気が張り詰める、以前にもこの男は同じことを言い、却下された事があるにもかかわらず、また同じことを言った。
「口を慎め、足を降ろせ特攻隊長、立場が違うとはいえ礼儀というものがあるだろう、それに給料の差は意欲を持たせる有効なルールだ、変えるわけにはいかない」
「はっ、飼い主に持っていく骨は多い方がいいってか?円卓ってのは随分とご忠誠を誓ってるんだな」
グラハッドの目が開き、腰の剣に手を伸ばそうとするが、シンリが片手でそれを止めた。
「守護隊長殿、我が息子アルタイルのご無礼をお詫びいたします、私の顔に免じて剣を納めください」
「‥‥‥ふん。親が親なら、息子も息子だな」
捨て台詞に怒りを覚えたアルタイルだが、シンリの一睨みによってそれは抑えられた。
「‥‥‥話はまとまりましたかな?」
中年の男が恐る恐る言う。
「ええ、続けてくださいな」
甘い声とポーズで言うシンリに鼻の下を伸ばす中年、アルタイルは思わず舌打ちをした。
「それでは今回の本題に入りましょう、そのためにはまず、アルタイル特攻隊長、説明を」




