悪い予感
「・・・・・・・・何がどうなっているんだ」
次々と消えていく機神兵を警戒しながら、グラハッドは白い盾を握り締める。
つい先ほどまで、押し寄せる機神兵の波を押し留めていた守護隊の壁が、押し寄せる波が無くなったことでズッコケている、まるでドミノ倒しのようだ。
混乱の声はもちろん、騎士の中には敵が去ったことを喜ぶ声もある、当然だ、誰だって好き好んで戦いたくはない、それはアルタイルもシンリも、グラハッドも同じ事だ。
徐々に混乱が歓声に代わり、勝利を喜ぶ者たちは酒も飲み始めている。
だがその中でただ一人、グラハッドだけが、警戒を解かずに辺りを睨みつけていた。
とてつもなく、嫌な予感がするのだ。
この機神兵の波はまだ序章に過ぎず、まだまだ大いなる戦いが待っている、そんな予感がしてならない。
「・・・・・・・当たらないと良いんだがな、そういう訳にもいかないか」
ため息を一つ付くグラハッド、よい予感は当たらない癖に、悪い予感は驚くほど当たる。
呪われた数字を背負った席に座る時は覚悟したが、まさかここまでとは思わなんだ。
「・・・・全く、「円卓の騎士」も大変だな」
胸の前で十字を切り、自らが信じる神に祈る。
神など、人間の創造に過ぎないというのに、だ。