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11話 35歳おっさん、黒鷲を仕留めてしまう

すいません、サブタイが間違っておりました・・・

 イソルティを出て半月。俺たちは帝国領にいた。


 地理的には、あと一日二日で帝都に着くといった感じだ。帝都に近いせいか、畑や農村が多く見えるようになってきた。

 

 隣を歩くレイナが俺にいう。


「なんだか賑やかになってきましたね!」

「ああ。通行人も結構いるしな」


 ここまでの旅は順調すぎるほど順調だった。魔物とも遭遇しなかったし、何も問題はなかった。大変だったのは、朝と夜にレイナの指導をするぐらいだろうか。


 ここまで快適に旅ができるのも、俺の後ろを歩くリビングアーマー、リヴィルのおかげだ。


 このリヴィルには、食料、テントや寝袋も持たせている。

 本来これらを持って歩きで旅するのは、とても過酷だ。

 だが、こいつのおかげで、俺たちは自分の武器を持つだけでいい。


 しかもリヴィル自身は、疲れて歩く速度が落ちることもない。


 霊力、意外に使えそうだな……ん?


 何やら、周囲が暗くなってきた。雨でも降るのだろうか?


 ……いや、違う!


 俺はばさばさという大きな音に気が付き、とっさに空を見上げた。


 するとそこには、巨大な鳥が翼を広げ、鳴き声をあげていた。


 レイナはその鳥を見て、声を上げる。


「あれは……シャドーイーグル!」


 シャドーイーグルは、巨大なたかのような魔物だ。象のような巨体と、人を丸呑みにできるほどの大きなくちばしを持つ。


 それだけでも恐ろしいのだが、こいつはさらに擬態の能力を持っている。周囲の色に溶け込み、見つからないようにできるのだ。


 レイナもこいつを知っているらしい。たしかに、こいつはよく人里に現れる。わりと知られた魔物だろう。


 しかし、その素早さで人や家畜を咥えると、さっさと逃げてしまうのだ。もちろん戦えば強いが。


 弱点としては、わりと気が短いので怒らせると執拗に攻撃してくることだろうか。


 周囲を見渡すだけでも、農民や旅人が二十人程見える。

 このままだと、誰かが襲われてしまうだろう。


「まずいな……レイナ、こっちに惹きつける。気を付けろ!」

「はい!」


 俺はレイナが刀を抜くのを見て、炎の魔法をシャドーイーグルに放った。


 しかし、それはやつの翼の一部をかすめ、空中へと消えていく。


 外したのはわざとだ。ただこっちに気を惹くため。


 何故倒さなかったのかといえば、周囲に人が多すぎるからだ。落とした先に人がいたら、あの巨体の前ではひとたまりもない。もちろん、今の俺の魔法なら消し炭にできるとは思うが、安全第一だ。


 それにできれば、消し炭にはしたくない。


 シャドーイーグルは俺の狙い通り、こちらにその顔を向けた。そしてすぐに姿を消す。


「アトス様! やつが消えました!」

「大丈夫だ。俺にはやつの場所が分かる」


 感知魔法を使わずとも、魔素の動きを捉えれば今どこにいるかは分かる。もっといえば、ウォーウルフの嗅覚探知のおかげか、特に意識しなくても奴の場所が把握できるのだ。


 シャドーイーグルは狩りに慣れているのか、こちらにまっすぐではなく、ジグザグと進路を変え向かってきている。


「……レイナ。俺はやつの姿を露にする。場所が分かったら、奴を斬れるか?」

「かしこまりました! お任せを!」


 俺はシャドーイーグルが、こちらにまっすぐと飛んでくるのを待つ。


 すると、急に角度を変えたシャドーイーグルは、まるで矢のような速度でこちらに突っ込んでくる。こうなると、奴もすぐには方向を変えられないだろう。


「コールドウェーブ!!」


 俺はシャドーイーグルの翼に氷の魔法を放った。シャドーイーグルは減速する間もなく、一瞬で氷に包まれ、地面へと滑り落ちた。


「レイナ、今だ!」

「はい!」


 レイナは刀を抜くと、シャドーイーグルに向かって駆ける。


「一心閃!!」


 そう唱え、レイナはシャドーイーグルの丸太のような首元へ刀を振り下ろした。


 斬りつけられたシャドーイーグルは、ぴたりと動きを止めるのだった。


 同時に、周囲からおおという声や拍手の音が響く。


「よし、倒したな。よくやった、レイナ」

「いえ! 私はただとどめを刺しただけです! それにしてもシャドーイーグルの擬態を見破るなんて……さすがです、アトス様!」

「いや、レイナこそさっきの剣、とても速かったよ。この十日でだいぶ腕をあげたんじゃないのか?」

「一心閃ですよね! 実は毎日素振りの時、アトス様の動きを意識してたので! あと、声の調子も」

「声は真似しなくてよろしい……とりあえず、シャドーイーグルを解体するか」

「はい!」


 俺たちはシャドーイーグルを羽と肉とに解体していく。運びやすいよう袋に小分けにし、肉はさらに氷魔法で凍らせた。


 そしてシャドーイーグルを霊葬をすると、


 シャドーイーグルを一体、霊葬しました!

 霊力を獲得!

 スキル【擬態】を獲得!

 スキル【飛行】を獲得!


 俺はまた、新たなスキルを得るのであった。



~~~~~


 アトスの所有スキル

 ユニークスキル:【霊験】、【心眼】、【神魔】、【金剛】

 ノーマルスキル:【嗅覚探知】、【擬態】、【飛行】、【憑依】

ここまでお読みくださり、ありがとうございます!


ギルド到着は次回となります!

明日更新です。


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