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第四十五章 麻里拉致される

ある日、亮太は帰宅後、家族と食事していた。

幸枝が、「陽子さんに紹介して頂いた小川啓子さんは、資産家のお嬢様だけあって躾が行き届いていて、更に、大学も卒業している為に教養もあって、素晴らしい女性を紹介して頂いてありがとうございました。私も色々と教えて頂いています。しばらくすれば、お手伝いさんの取りまとめも任せられると考えています。」と感謝していた。

秋山総理大臣が、「私も新人には興味があり見ていました。確かに姿勢正しく清潔感がありました。さすが陽子さんですね。ありがとう。しかし、啓子さんに何を教わっているのだ?それに、お手伝いの取りまとめを任せれば、お前の仕事がなくなるじゃないのか?」と幸枝の考えを確認した。

幸枝は、「立っている時、手を前で組むのか後ろで組むのかとか、右手が下か左手が下かなどの礼儀作法を色々と教わっています。それと、私は勤務の様子を確認して、今まで一律だった給料の増額などを考えています。優秀なお手伝いさんほど給料が多くなるように考えています。今まで、お手伝いさんから、いつもさぼっているお手伝いさんと同じ給料は納得できない、と苦情があったのですが、なかなか対応できませんでした。啓子さんに来て頂いて、その苦情に対応できそうです。でないと、優秀なお手伝いさんが不満でここを辞めていく可能性があり、それだけは避けようと考えています。」とお手伝いさんも厨房に戻ってここにはいない為に、何をしようとしているのかその理由とともに説明した。

秋山総理大臣は、「それもそうだな。その件は、お前に任せるよ。しかし、立っている時に、手を組むのは、どちらの手が、下でも問題ないのではないのか?」と不思議そうでした。

幸枝は、「啓子さんの説明では、日本人は、殆どが右利きです。その利き手を、左手で押さえる事により、あなたには逆らいません、という意思表示だそうです。ですから、手は相手に見えるように前で組むのが正しく、後ろで組むのは最悪の姿勢らしいです。犯罪者は前で手錠をかけられますが、凶悪犯は後ろで手錠をかけられます。後ろに手を回すのは最悪だそうです。」と説明した。

秋山総理大臣は、「なるほど、そういう意味があったのですか。」と啓子は優秀だと感じていた。

亮太は、啓子が取りまとめになると、啓子のドジも、他のお手伝いさんがカバーしてくれそうね。啓子は、まだオッチョコチョイだとばれてないようなので、ばれる前に早く取り纏めにならないかな、と内心ヒヤヒヤしていた。

    **********

秋山総理大臣は、「話は変わりますが、今、日本全国で多くの若い女性が行方不明になっています。以前も同じような事があり、その時は陽子さんがやくざ絡みの人身売買だと見破って事件を解決しました。今回は海外に拉致されたのか、以前のような人身売買かは不明で、警察も実態はつかめていないようです。マスコミも騒ぎ出したので陽子さん、ただの家出かもしれませんが、調査して大騒ぎになる前に解決して下さい。」と指示した。

亮太は、「了解。任せて下さい。」と返答して、どこから調査しようかと考えていた。

亮太は家族会議終了後、部屋に戻って、昌子なら会社のOLに異変がなかったかとか、何か知っているかもしれないと思い携帯に電話した。

亮太は事情を説明して、会社のOLに何か変わった事がなかったかなど、何か知らないか昌子に聞いた。

昌子は、「今、結城課長から連絡があり、麻里の母親が、麻里が帰ってこないと心配して捜しているそうです。日本全国で若い女性が行方不明になっているって本当なの?」と心配していた。

亮太は、「総理大臣直属の秘書の言葉が信用できないのか?先ほど警察関係者に確認すると、身代金要求など連絡が一切なく若い女性で親と喧嘩が絶えなかった為に、誘拐ではなく家出したと判断されて捜査されてなかったわ。日本全国だと管轄が異なるから、多くの女性が行方不明になっている事に警察も気付いていなかったようです。書置きなどもなかった為に、不信に感じたマスコミが騒ぎだしました。大騒ぎになる前に調査して解決するようにと総理大臣から直接指示された。」と説明した。

昌子は、「親と喧嘩が絶えなかった女性を狙ったとは、犯行グループも考えたものね。この件は陽子さんが動いてくれるの?麻里の母親に、総理大臣直属の秘書が動いてくれると説明して明日総理官邸に行かせるわ。」と総理大臣が動いてくれると母親に伝えれば安心すると考えたようでした。

亮太は逆に、総理大臣が動くような重大事件に巻き込まれたと心配させるのではないかと思いましたが、それを告げるまえに昌子が電話を切った。

    **********

翌日、総理官邸の受付に麻里の両親が亮太を訪ねて来た。

「大川ですが、娘の事で総理大臣直属の第三秘書が相談に乗ってくれると聞いて来ました。」と告げた。

受付嬢が、「はい、聞いています。連絡しますので、しばらくここでお待ち下さい。」と打ち合わせ室に案内して亮太に内線で連絡した。

受付から聞いた亮太は打ち合わせ室に向かった。

亮太は、「お待たせしました。第三秘書の秋山陽子です。」と名刺を渡した。

麻里の父親が、「大川麻里の父親の重蔵です。」と名刺交換した。

亮太は、「昨晩、麻里さんは帰宅しなかったのですか?」と確認した。

重蔵は、「はい、帰宅しませんでした。警察に届けようかと迷っていると、会社の同僚の西垣昌子さんから、総理大臣の秘書が動いてくれると聞きました。麻里は、総理大臣が動くような重大事件に巻き込まれたのでしょうか。」と心配していた。

亮太は、昌子がいらん事をいうから両親を心配させたじゃないかと思い、「大丈夫ですよ。麻里さんとは友達なので私が動くだけです。お母さん、以前私が麻里さんの自宅に遊びに行った時にお会いしましたね。」と安心させた。

母親は、「はい、覚えています。似ているとは思っていましたが、やはりそうでしたか。麻里の事をお願いします。」と母親も覚えていた。

その後、亮太は、ここ数日、麻里に変わった様子がなかったかなど、色々と事情を聞いて両親と別れた。

    **********

早速亮太は昌子に連絡して、麻里が帰宅した時間や途中寄り道するような事を聞いてないか確認した上で、麻里の帰宅ルート上の防犯カメラを確認した。

その結果、自宅から五十メートルほどの場所で、車で拉致された事が判明し、防犯カメラの映像と共に、隆一に事情を説明して捜査依頼した。

隆一は、「法律関連の仕事をしていないのに、よく、防犯カメラの映像が入手できましたね。」と感心していた。

亮太は、「総理大臣の秘書の身分証明証を提示すれば入手できましたよ。」と説明した。

隆一は、「陽子さん、総理大臣の秘書の立場を悪用していませんか?」と確認した。

亮太は、「そんな事はしてない。この件は私が総理大臣から直接指示された。総理大臣の指示だと理解して捜査をお願いします。それとも、警視総監を通したほうが良かったか?」と脅した。

    **********

隆一は、事情を上司に報告して捜査を開始した。

防犯カメラの映像から車両番号を読み取り該当車両について調べると、大手建設会社の秘書が使用している車両でした。

その車両を尾行していると、日本全国に拠点がある事が判明した。

その中でも、京都には人も寄りつかない山奥に数回行っている為に、望遠カメラで何をしているのか確認すると、若い女性の死体を埋めていたので、証拠写真を撮影した。

隆一は、上司に写真とともに報告して京都府警に協力要請した。

事情を聞いた京都府警捜査一課長は、親子なので問題はあるが、総理大臣からの依頼だと聞いて検挙率の高い三係の高木広美係長に担当させる事にした。

数時間後、上司から隆一に連絡があった。

「高木君、お前の母が担当するらしい。総理大臣からの依頼なので、検挙率の高い鬼軍曹に白刃の矢が立ったそうだ。私も京都に向かっている。お前も京都府警の母を訪ねろ。」と指示した。

隆一は、「えっ?マジですか?」と信じられない様子でした。

上司は、「高木君、何かあるのか?母が怖いのか?」と隆一の様子から何かありそうなので確認した。

隆一は、「母だけじゃないです。母の部下も怖いです。以前、母の部下の後藤刑事に、もっとしっかりしろとビンタされた事があるんです。」と京都府警に行きたくない様子でした。

隆一の上司は、「鬼軍曹の二代目だな。」と笑っていた。

    **********

隆一が京都府警に母を訪ねると、隆一の上司から事情を聞いた亮太も隆一の上司と来ていた。

隆一の上司は、隆一が来たのでビンタの事を思い出して、「しかし、人は見かけによらないですね。後藤刑事、美人じゃないですか。」と笑っていた。

後藤刑事は、「何ですか?その、見かけによらないとは。」と変な噂が広まっているのか心配していた。

上司は、「うちの高木君が後藤刑事に、もっとしっかりしろとビンタされたと聞きました。」と笑っていた。

後藤刑事は、「えっ?嘘でしょう?そんな事・・・」と思い出していると他の刑事が、「あるよ。ビンタしたほうは忘れても、されたほうはずっと覚えているものだ。いじめと同じだ。後藤刑事の性格がよくわかるよ。さすが、元不良少女だな。」と笑っていた。

    **********

広美が、「その話はそのくらいにして、部下に確認させました。建設会社が政治家に賄賂を渡しているようです。ただ、金銭だと帳簿などから発覚する可能性があり、商売女も発覚すると判断したようです。素人娘を拉致して政治家の御機嫌を取っているようです。」と部下からの報告を伝えた。

隆一が、「拉致や殺人まで犯して御機嫌を取らせるのは、普通の接待とは異なり、男が喜ぶような特別な・・・」と想像していた。

広美が、「隆一!何考えているのよ。後藤刑事にビンタされるわよ。」と睨んだ。

後藤刑事は、「係長までビンタの事を強調しないで下さい。全く覚えていないので。」と変な噂が広まらないか心配している様子でした。

広美は、「母親の前でビンタして、本当に覚えてないの?まあいいわ。後でゆっくりと思い出しなさい。今日はその御機嫌をとる日です。張り込ませていた部下からの報告では、やくざや政治家など大勢集まってきたようです。体制を整えて踏み込むわよ。犯人逮捕も重要だけれども、被害者救出を最優先にして下さい。被害者から事情を聞くのは隆一のようによからぬ事を考える刑事がいるので、後藤刑事、救出後の被害女性の心のケアーと体調チェックを婦人警察官とお願いします。看護師の資格を持っている婦人警察官を指名しています。その後、一旦署に戻ってから被害女性の事情聴取もお願いします。」と指示した。

    **********

広美は、犯人グループの規模から、警官隊だけではなく機動隊にも要請して出動した。

広美は、機動隊を最前線に配置し、銃や日本刀などの刃物で抵抗する犯人グループと対決して、被害女性を救出して、警察車両で心のケアーと体の状態確認を後藤刑事が中心になり、看護師の資格を持っている婦人警察官数名と担当し、不正出血が止まらない数人の少女は、すぐに病院に緊急搬送した。他の刑事達は、警官隊や機動隊と協力して拉致グループを逮捕した。

救出された女性の中に麻里がいて、現場にいた亮太に気付いた。

「陽子さん、ありがとう。助かったわ。」と感謝していた。

「体は大丈夫か?何もされてないのか?被害女性は全員、婦人科で診察を受ける事になっている。何もなければいいな。その後、警察の事情聴取があると思うが、男性には喋りにくいだろうから、恐らく婦人警察官が担当すると思うよ。」と麻里が元気そうなので安心していた。

京都府警に戻って広美は、「被害女性は、心が深く傷ついています。数人は不正出血が止まらないなど体も深く傷付いていて、婦人科に入院しました。微妙な問題なので、被害女性への事情聴取は私と後藤刑事とで行います。その他の、拉致グループの事情聴取と捜査を、西田主任が中心になりお願いします。」と指示した。

翌日の捜査会議で広美は、「被害女性の説明では、先日死亡した女性は殺害されたのではなく自殺だったそうです。つまり、自殺するような扱いをされて、救出された女性も何度も自殺しようとしたらしいです。具体的な事は省略します。その他、不正出血が止まらず、医師の診察も受けられず、その状態で、数人に凌辱され続けて数人が出血多量で死亡しているらしいです。これは殺人事件として捜査します。」と説明した。

マスコミは、「若い女性を食い物にしていた犯罪グループに、今まで各種難事件を解決してきた総理大臣のお嬢様の秋山陽子さんが、総理大臣直属の第三秘書として気付いて、警察と協力して一網打尽にしました。現在、犯罪が行われていた場所を警察が確認中ですが、若い女性の死体が数名埋められていて、その他にも、死体が埋まってないか、警察で殺人事件として捜査中です。」と報道した。

その後、東京に戻った麻里から事情を聞いた麻里の両親からお礼された。


次回投稿予定日は、9月1日を予定しています。

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