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第三十九章 亮太、愛美を助ける

その夜、広美は亮太に電話して状況説明後、「変装を見抜けないようだと松島さんも探偵として大丈夫なのか疑問ですね。」と伝えた。

亮太は、「そう言えば、調査の依頼を受けた松島と私と二人で調査していた時も、私が調査対象の変装を見抜いたのよ。ちょっと服が変わっただけで同じカバンを持っている事にも気付かないんだから。」と照子の調査の時の事を伝えた。

広美は、「そうね、服は変えてもカバンや靴は変える事は少ないわね。でも陽子さん、確か商社の社員だったのではないの?探偵なの?」と確認した。

亮太は、「会社が休みの週末だけ探偵のアルバイトをしています。」と説明した。

広美は、「そうですか。実は娘の愛美が東京に住んでいます。陽子さんに助けられた事がきっかけになり、陽子さんに憧れて、陽子さんの住んでいる東京で探偵のまねごとをしているのよ。可能であれば、その探偵事務所で愛美を探偵のアルバイトとして雇って頂けませんか?学生だから、探偵の真似事をしているのは週末なのよ。陽子さんも週末に探偵のアルバイトをしているのでしたら、愛美の事をお願いできませんか?」と一人より、相棒がいるほうが安心できると亮太に依頼した。

    **********

亮太は、以前の康夫の時のように、坂下を上手く使って、愛美を探偵事務所でアルバイトとして採用させた。

その夜、友彦から着信があった。

「亮太、お前、新人を二人も採用させて、俺の探偵事務所を破産させる気か!」と苦情を訴えた。

亮太は、「確かに康夫は俺が頼んで、フルタイムの正社員だが、愛美ちゃんは学生だから時間給のアルバイトにすれば、仕事をしてない時は給与を支払う必要はないだろう。」と落ち着いていた。

友彦は、「アルバイトでも、教育など初期投資が必要だろう。」と反論した。

亮太は、「教育は俺が母親から依頼された。変装も見抜けないような探偵の教育では心許ないそうだ。それに、愛美ちゃんが探偵になろうとしているのは俺の影響らしいからな。」と説得した。

友彦は、愛美の事を、亮太から色々と聞いて、「なんだ?それ。単にお前に憧れているだけじゃないか。それだったら、愛美さんの事はお前に任せるよ。」と愛美については氏名の登録のみにした。

そんな話になっているとも知らずに、愛美が探偵の真似事をしている様子を亮太が隠れて見守っていた。

    **********

ある日、愛美が不良に絡まれたので助けた。

しかし、愛美も何人かは柔道で撃退した。

亮太が、「へ~、愛美ちゃんも柔道できるの?」と意外な様子でした。

愛美は、「あっ、陽子さん。助けて頂いてありがとうございました。私、小学校三年生の時から柔道をやっていて、これでも一応黒帯です。」と憧れている亮太に会えて感激していた。

亮太は、「柔道の心得があるのだったら、オリンピック柔道の松木翔子選手の練習風景を見るか?」と母親に頼まれたので、愛美を一人にするのは心配で、今日はこれから翔子の指導なので一緒に連れて行こうと考えていた。

愛美は、「えっ?本当なの?是非お願いします。」と喜んで亮太について行った。

亮太と翔子の練習風景を見て、オリンピック柔道金メダリストが亮太に全く敵わなかったので、自分の目を疑い信じられませんでした。

その後愛美は、「陽子さん、相談があります。」と何かに気付いた様子でした。

亮太は、「愛美ちゃん、改まって一体どうしたのだ?」と愛美が何を考えているのか知りたそうでした。

愛美は、「今の様子から、陽子さんは翔子さんのコーチなのですよね?実は、私の通っている女子大で、翔子さんを陥れて自分がオリンピック選手になろうとしている人がいると、もっぱらの噂なのよ。それで、その人を特定する為に色々と調べていたら先程襲われたのよ。」と自分が襲われた事と関係あると考えている様子でした。

亮太は、「愛美ちゃんが襲われた事を考えると、その噂も満更デマではなさそうね。私の携帯番号を教えるから、ストーカーされたとか何かあったら必ず私に連絡してね。力になるから。」と愛美を守る必要があると考えた。

    **********

その日帰宅した愛美は、松木翔子選手の練習風景を母に電話で説明して、「何故、陽子さん自身がオリンピックに出場しないのかしら?オリンピック金メダリストの松木翔子選手は、身長、体格も、殆ど同じ陽子さんに全く敵わないのよ。陽子さんに直接確認しても、色々とあるのよ。と教えて貰えなかったわ。」と不思議そうでした。

広美は、「その理由は恐らくあれね。」と陽子さんは男性だからかな?と考えていた。

愛美は、「えっ?母ちゃん、その理由を知っているの?教えてよ、」とその秘密を知りたそうでした。

広美は、「捜査上で知った事なので、捜査上の秘密よ。人には喋れないわ。」と拒否した。

愛美は、「守秘義務って事。」と亮太の秘密について、母から聞き出す事は諦めた様子でした。

広美は、「そんな事より、もっと大事な事があるでしょう。先程、陽子さんから電話があったわよ。今日、襲われたらしいじゃないの。陽子さんが隆一に電話して、警察で愛美を護衛するように依頼したそうですが、警察も色々と忙しく愛美に護衛はつけられないそうなのよ。陽子さんが言ったように何かあれば必ず陽子さんに連絡するのよ。」と娘の愛美の事を心配していた。

愛美は、「先ほど、お兄ちゃんから電話があり、警察は暇じゃないから余計な事をせずにお淑やかにしていろ!嫁の貰い手がなくなるぞ。と怒られたわ。でも、いざとなったら陽子さんが助けてくれそうなので、やめるつもりはないわ。松木翔子選手は私達女子大の先輩よ。翔子さんを陥れようとしている選手がいると噂を聞いたので黙っていられないわ。お兄ちゃんにも調べてと頼んだけれども、警察は噂では動けないと断られたので私が調べるしかないでしょう?陽子さんは翔子さんのコーチだから、陽子さんも動いてくれるようなのよ。陽子さんと一緒なら大丈夫よ。」とやめるつもりはない様子でした。

広美は、陽子さんに任せるしかないかと諦めた様子でした。

    **********

翌日、坂下から亮太に着信があった。

「高木愛美さんも探偵のアルバイトとして雇ったので、私とデートして頂けませんか?」と期待している様子でした。

「そうね。坂下さんには色々と協力して頂いたので、デートしましょうか。でも、私、平日は会社員で、週末はあなた方の探偵事務所でアルバイトしていますので、どこかで食事するかスナックなどでアルコールを飲む程度しかできませんが、よろしいですか?」とあまり乗り気ではなさそうでした。

「勿論です。どこかに飲みに行きましょう。どこかいい飲み屋を知っていますか?」と今度はデートできそうだと嬉しそうでした。

「少し変わったスナックでしたら知っています。今晩、飲みに行きますか?」と次郎の経営するスナックに連れて行こうとしていた。

    **********

その夜、坂下は亮太とスナックに行った。

坂下は、「こんな山奥にスナックがあったとは驚きですね。」と本当に変わったスナックだなと思っていた。

照子は、「陽子さん彼氏ですか?付き合っているの?」と亮太の連れて来た男性に興味がある様子でした。

亮太は、「そんなんじゃないよ。ただの知り合いだよ。」と否定した。

坂下は、「これから彼氏になる予定です。」と喜んでいた。

照子は、「早速泉さんに報告しないとね。」と携帯で電話した。

電話で照子から聞いた泉は、「本当に?嘘でしょう?すぐ行くわ。」と照子も知らない男性は会社の社員ではないと判断して、どんな男性を亮太が連れて来たのか知りたくてスナックに急いだ。

    **********

スナックに到着した泉は坂下から素性を聞いて、「あなたが噂の坂下さんですか。陽子の親友の泉です。」と自己紹介した。

坂下は、「あなたが陽子さんと同居している泉さんですか。坂下です。将来は、陽子さんとの結婚も考えています。」と自己紹介した。

亮太は、「俺には一生心に決めた人がいる。そんなつもりだったら帰るぞ。」とスナックを出た。

しばらく沈黙が続き、照子が、「陽子さんに心に決めた人がいただなんて知らなかったわ。泉さん知っていたの?」と泉なら知っていると判断して確認した。

泉は、「知らないと言えば嘘になるわね。でも結婚はしないと思います。」とまさか自分が心に決めた人だとは言えない様子でした。


次回投稿予定日は、8月12日を予定しています。

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