生きる
250文字。
生きるとは?
退院できた。
どうしようもできないって言われたけど、最後の最後、奇跡のようなタイミングでドナーが見つかった。
間に合うか合わないかの瀬戸際、私の心臓は動き続け……臓器が届いた。
胸の縫い目を撫でる。そこには十代の男の子が入っているそうだ。
まだ、働いたこともない、若い若い、命。
感謝は、しない。そんなことしても、偽善者だって言われるだけだから。
だから、かわりにごめんって言う。それでも偽善者だって言われそうだけど、それでも……。
私は生きる。
彼の命を踏みにじって。彼にひたすら謝って。この罪悪感をずっと抱えて。
読んでいただき、ありがとうございました。