外の世界2
「例えばどんなふうに聞いているんだ?」
「見た目は俺達よりは弱そうだが腹に銃っていう鉛玉飛ばす武器を仕込んでたり怒ると腕を飛ばして殴るロケットパンチっていう油断ならない人体構造だったり口から」
「待て待て待て!それは噓だ!確かに銃を持っている人はいるけど大抵かなりの身分だよっそれに平和そのものの場所だから武器を身につける必要ないだろっ」
「んなこと言ったってわからねぇよっ!ん?そういやお前たちは俺たち鬼の事をどう聞いているんだ?」
「私達人間を食べ、血をすすって、筋肉隆々とした暴力的で人の倍以上の力がある角の生えた化物だな」
「ふぅんまるで徹底的に接触を避けようとしているみてぇだ」
確かに。事実も多少あるかもしれないがそこまでする理由はあるのだろうかと疑問が互いに浮かんできた。
「詳しいことは長老に聞くしかねぇな。じゃ、とっとと身体検査やっちまおうぜ。ほらとっとと脱げ」
「え、ここで?」
「胡散臭さはあるけどやらないとは言ってねぇだろ。武器を隠し持ってる可能性はあるからな。」
「あぁその可能性か。でも本当に武器を仕込んでいるなら逃げるときに使っただろ」
「身内だから手の内バレているしあえて使わなかったんじゃないのか。」
「だからないってば。ほら好きなだけ調べればいい」
衣類を脱ぎ捨てたクレハの身体を無遠慮にイブキは見つめる。
本当に腕や指は外れないか、武器を仕込まていないのか引っ張ってみたり、触ってみたりといじられその度にクレハは短い悲鳴をあげる。
無様な姿だと恥ずかしくなり自分の知り合いがいなくて本当に良かったと思ってしまうクレハであった。
そもそもなぜイブキがドームに近づいたかと聞けば、ドームの中の人間についての危険性は何度も言われてきたが、遠くに見えるドームへの興味は尽きなかった。だから計画を立て最初にイブキが内部に忍び込み中を調べ害がなさそうなら少人数で忍び込む予定だったらしい。
しかし逃亡する事になった今ではその計画は無駄になったようだ。
「なあさっきドームの中は平和って言ったよな。本当にどんな世界なんだ」
「だから平和だよ。争う相手はいないし、災害になるような自然要素はない、動物、虫さえも管理しているんだ。気候は常に暖かくて快適なんだ。」