Ep.7 嵐の前の静けさ
トウヤとレイナを部屋に通すとすぐにトウヤは聞いてきた
「イチもこれは自分の部屋と同じ作りなのかい?」
「あぁそうだ壁紙と天井以外は全部僕の部屋まんまだ」
「へぇじゃあイチの部屋って結構綺麗なんだ」
「失礼なこれでも身の回りは清潔にしてるんだ」
その後数分間に及んで僕の掃除術を2人に伝授しようとしたが今はそんな時間はないとトウヤに咎められてしまった。
このゲームから帰れたら絶対に教えるということを条件に僕は仕方なく引っ込んだ。
「それじゃあ…何から話そうか」
「えっトウヤが話あるって言うから集まったんだろ?」
「俺の話からでいいのか?」
「いいよ。わたし達話すこと何も無いもん」
「そうか…じゃあ俺の話から面倒だから手短に話すぞ」
「俺のよく読んでる漫画の話なん__」
「漫画!?漫画って言った?今っ!」
トウヤが話そうとした途端レイナは食いつくように体を前のめりにさせてトウヤに質問した。
「うん。俺漫画読むんだよね結構」
「えー!そうなんだー!わたしも漫画読むんだよねーイチは?何か漫画とか読む?」
「…いいや読んだことない」
「えっないの?あんな面白い文明のものを?」
「へぇ意外だな1番読んでそうなのに」
「いいからその漫画がどうしたんだよ」
トウヤはハッとしてまた真剣な顔に変化させた
「俺ってメジャーな漫画より少しマイナーチックな漫画を読むのが好きなんだよ
それで、その読んでる漫画の中に"School Game"…って漫画があるんだ」
「…っ!それって!?」
「あぁ…招集のされ方もGMの口調、能力の有無までほぼ同じだ。」
「じゃあ…その漫画を真似たのが…今俺らのやってる"School Game"ってことかよ…?」
「恐らくね。あくまで僕の憶測に過ぎないさ」
「ていうことは…トウヤはこの先の展開を分かってるってことか?」
「いいや…漫画では最初のゲームは"かくれんぼ"だった。しかも死人も出ていない。更に言うと能力の内容もまるっきり…とまではいかないけどかなり変わっている。」
「…丸ごとパクってるってわけでもないのか」
「ただね…イチとレイナの能力は漫画にでてきた能力そのまんまなんだ。
イチに至っては主人公と同じ能力を持ってる。」
「えっ…僕が?」
僕は主人公なんかとはかけ離れた存在のはずなのに…なぜ僕がその漫画の主人公と同じなんだ…?
その時僕はGMが言っていたあの言葉を思い出す。
『特殊の能力は出ないこともあるんだそれくらい貴重なんだよ』
もしかしてこのタイプ特殊の能力が"School Game"の主人公と同じだから貴重な能力になってるのか…?
…確かに僕が特殊を手にした時GMは驚いていた。それと関係があるのか…?
…いや、そんなことよりも…
「それって僕が主人公ってこと!?」
「さぁそれはどうだろうか。ただ主人公と同じ能力であるだけでそれ以外の特徴は一切君には当てはまらないんだ」
原作を読んでいないから褒められているのか貶されているのか全くわからないが一先ず僕がこのゲームの主人公でない可能性があることはわかった。
「それで?話ってそれで終わりなの?」
「一応続きがあるんだけど…聞きたい?」
もちろん。と僕とレイナは力強く頷いて答えた。
「…わかった…話すよ。
僕の能力を持つ人物が漫画上では次のゲームで死んでしまうんだ。」
えっ…それって…トウヤが…死ぬってことか?そう心の中で発したが口にすることは出来なかった。
仲間が次で死んでしまうかもしれない__その恐怖心に刈られて、僕は呼吸をすることも出来ない。
そんな時、彼女が口を開いた。
「でも何でもかんでも漫画の通りに進んでる訳じゃないんでしょ?それなら変えればいいじゃない。
わたしたちの手で。わたしたちが…トウヤを生かせばいいのよ。」
彼女の言葉を聞いた僕は突き動かされるように、僕は言葉を発する。
「そ、そうだよ!何も次のゲームで必ずトウヤが死ぬとは限らない!…いや、死なせない。どんなゲームであろうと、どんな仕掛けが施されていても…トウヤを死なせることは絶対にしない!」
僕らの言葉を聞いたトウヤは俯き始めた。
暫く俯いた後、顔を上げ僕らの方を見つめながらこう言った。
「……分かった。君たちを信じることにするよ」
その言葉を聞いた僕とレイナはほっとして胸を撫で下ろす。
そして、僕はふと、次のゲームは何なのだろうと考え始めた。
「なぁトウヤ、その…次のゲームって何なんだ?」
「第二ゲームを漫画と同じにしている場合"人狼ゲーム"…だね。」
"人狼ゲーム"…それなら僕もやった事がある。いつ、どこでやったのかという記憶はないが、確かに僕は"人狼ゲーム"をした事がある。
「人狼か〜わたしやったことないなー」
「まぁ…多分普通の人狼ゲームとは違うものだろうから安心していいんじゃない?」
「あ!確かに!」
「それじゃあ…話も終わったしそろそろ俺は自分の部屋に戻るとするよ。」
「あぁまたな」
「わたしも眠くなってきたから帰る〜」
僕は2人が帰っていくのを見送り、いなくなった所ですぐにベッドにダイブする。
「…トウヤは…絶対に死なせない…」
明日の決意をボソリと枕に向かって呟いて、静かに目を瞑った。
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「ねぇねぇ。明日のゲームって"人狼ゲーム"でいいの?」
「あぁ、問題ない。」
「本当にそれでいいのかしら?もう勘づいてるプレイヤーも出てきたみたいよ?」
「問題ない。」
「そう。それならいいのだけど」
「あはは!明日は"マフ"の日か〜楽しみだな〜!」
「俺は明日の最終調整に向かう。お前らは早く寝ろ。声が耳障りだ。」
「相変わらずムカつくわね…もう慣れたけど。それじゃ"ピィ"寝ましょうか」
「うん!」