Ep.4 鬼ごっこPart2
「まずい!【鬼】に気づかれた!」
「えっ嘘でしょ?」
「とにかく校舎棟まで走ろう!」
「わかった」
幸いなことに僕たちと【鬼】の速さは互角なようで差が縮まることはなかった
校舎棟はさっきまでいた体育館から真っ直ぐ行けば着くところだ僕の考察通りなら校舎棟の方が逃げるのには最適だと思う
とはいえ今の距離がずっと維持し続けるとも考えにくい…最短距離で校舎棟に入るには…
そう思いふと校舎棟の上の階へ目をやると三階の窓がひとつ開いていた
「あそこだ…!」
「なにが?」
「僕が合図したら思い切り跳んであの三階の窓に飛び込むんだ」
「なんでよ?」
「あそこから入るのが1番手っ取り早い。このまま【鬼】と距離が取れたままとも限らないだろ?」
「…それもそうねイチの言う通りかも」
「それじゃあ行くよ…」
僕はまた神経を集中させた______
「よし!今だ!」
僕たちは三階の窓に向かい思い切り跳んだ
一応届く距離には調整したが…どうだろうか…
「よっし!入れた!」
その瞬間誰もいない場所から誰かの声が聞こえた
「うおっ!」
確かに声はしたのにそこには誰もいない
僕は訝しんで声が聞こえた方へ近づいた
すると突然何もないところから人が現れた
「なんだよお前ら急に窓から入ってきて!」
「えっ…どこから出てきたんですか?」
その時ゴトゴトと足音が聞こえた【鬼】が入ってきたのだ
突如現れた彼もその足音に反応して
「【鬼】!?連れてきたのか?とにかく事情は後で聞くからとにかく隠れるぞ!」
隠れる…といっても周りにはこれといった隠れられそうなものがないが…
「とりあえず俺の方に寄れ死にたくなきゃな」
足音は段々近づいてきた
とにかく今は彼に頼るしかない
ゴトッゴトッ
1段ずつ【鬼】が近づいてくる音がする
僕たちは何もない空間にただしゃがみこんでいるだけで隠れている様子は一切ない
一体彼は何を考えているんだ?名前もわからないから今能力を調べることも出来ない…何か対抗する手段でもあるのだろうか?
するとその時【鬼】が僕たちの目の前に現れた
「ねぇ…」
「しー…静かに」
彼は何を言っているのだろう?
目の前に【鬼】がいるというのに逃げないなんて…
だがそんな僕の心配をよそに【鬼】はただしゃがみこんでいるだけの僕たちを素通りしてまた上へと登っていってしまった
【鬼】が行ってすぐ僕は彼に聞いてしまった
「どういうこと?」
「俺の能力だよそれ以外何がある?」
「あれが?どういう能力なんです?」
「そうだな…お前らの能力、名前含めて交換だな」
「…わかった僕らの情報も与えよう」
「交渉成立だな…じゃあまずそっちの女からだ」
「私は1年7組のシキミネ レイナ…《あらゆるものに擬態する能力》よ」
「ふーん…なるほどなお前は?」
「1年1組フクノ イチ能力は《能力をコピーする能力》だ」
「じゃあ俺だな…2年6組アカバネ トウヤ《タイプ:防御 空間を隔離して障壁を作る能力》…とでも言っておくかな」
アカバネ…?どこかで聞いたことのある名前だ
そう思い僕はアカバネに聞こえないようレイナに聞いた
「なぁ…アカバネ トウヤってなんか聞いたことないか?」
「は?うちの剣道部で1番強くて1年の内に団体戦で優勝したり個人戦でも優勝。」
「しまいには勝ち抜き戦では1人で5人全員勝ち抜いたこともあるらしいわ」
「しかも顔も良くて成績優秀…文武両道を絵に描いたような人よ」
あぁ…クラスの女子がやたらと騒いでたな
イヤホンしてても聞こえてくるバカみたいに甲高い声で…
それはさておき能力がかなり優秀なアカバネを仲間に引き入れることができれば攻撃も防御もどちらも完璧にすることが出来る…
「あの…アカバネ先輩…」
「今は先輩後輩言ってられねぇだろトウヤって呼べ初対面だしな」
初対面だからこそ敬語使うんじゃ…まぁいいと言われてるなら別にいいだろう
「それじゃあトウヤ…僕らの仲間にならない?」
「あ?仲間?なんだよそれ」
「そのままの意味だよ個人で生き延びれるとも考えにくいし今後どんなゲームが出てくるわからないとなると今の内仲間を作っておいた方がいい」
「アホか…このSchool gameが何人生き残れるのかわからないんだぞ?いつか必ずこの縁を切る必要が出てくる悪いけど俺はそんなあっさり縁を切れないな」
「確かにそうだけどともかく今のゲームでは手を組んだ方が私はいいと思うけど?」
「…わかった今は手を組んでやろう今後も手を組み続けるかどうかはお前ら次第だ」
よしなんとかトウヤを仲間に引き入れることができたこれならこのゲームが有利に進められる…後は鬼の武器が判別できれば【鬼】は殺れる
「ねぇイチあんた【鬼】殺そうとしてる?」
「あぁ誰も犠牲者を出さないに越したことはない【鬼】を殺した時点でゲームは終わりなんだろ?だったら殺すしかないさ」
「…勝算は?あるの?」
「もちろんだ後は【鬼】の持つ武器さえわかればどうとでもなる」
どがっ!という大きな物音と共に
いやぁぁああぁと悲鳴が聞こえてきた外の方からだ
【鬼】は上に登って行ったのになんで外に…どこから出たんだ?
「とにかく行ってみようレイナ、トウヤ」
下まで降りて外に出ると正面昇降口の目の前に【鬼】と1人の男が見あっていた
「君が【鬼】か…ま、俺のカリスマでひれ伏すけどね!」
「能力行使」
男の方が能力行使を宣言すると【鬼】はその男に惹かれるように急に走り出した
しかしその男は避ける様子もなく【鬼】の攻撃を真に受けたのだ
僕は【鬼】がナイフを持ってるのをしっかりと見ていたそのナイフで【鬼】は男を一刺しした
「それが君の武器かい?…それじゃあこの俺様を倒すことは…」
そう言いながらその男は【鬼】の肩を持ち男よりも一回り以上大きい【鬼】を地面に叩きつけたのだ
「ふんっ俺様のカリスマに跪くことしか出来ないか?なぁ?聞いてんのか?【鬼】さんよぉ?」
男は地面に着いた【鬼】の頭を思い切り踏みつけ地面にめり込ませた人間ではありえないほどの力が出ているあいつの能力はなんだ?
「レイナ…あの男の名前知ってるか?」
「もちろん知ってるよこの学校で一番有名な人気者…3年3組のアカグロ オウよ」
「アカグロ オウ…ね」
僕は端末を開きアカグロ オウの能力を見た
《タイプ:攻撃 王の力を得られる能力》
王の力…?それがあれと関係しているのか?
「それじゃあ…トドメだ」
「"騎士王の威光"…吹き飛んでおやすみ【鬼】さん」
地面がえぐれて【鬼】はいなくなっていた消し飛んだのだろうか…だが終了の合図は聞こえない
「Why?なんで終わらないんだよGM!」
『なんでって…【鬼】も死んでないしプレイヤーも死んでないじゃないか』
「はぁ!?【鬼】はこの通りどこにもいないじゃないか!」
『ほんとうに…そうかな?』
その時後ろに気配を感じた
【鬼】が僕らのすぐ後ろにいて攻撃しようとしていた
今能力行使してコピー、発動までしていたら確実に間に合わない…どうすれば
「能力行使」
トウヤが能力行使して障壁を作りだした
その障壁が【鬼】の攻撃を防いだ。
その後オウの声が後ろからした
「君たち!大丈夫かい?」
オウの問いにトウヤが答える
「あぁ問題ない…なぁお前俺らとこの【鬼】倒さねぇか?」
「…ほんとは俺1人で倒したかったけど…あれで倒せなかったのなら仕方ない協力しよう」
「能力行使」
まずい…これは僕も加勢しなくては…
「能力行使」
「【鬼】の攻撃は全部俺が受ける攻撃はお前らに任せた」
「「了解」」
「一応私も援護として加勢するわね」
これから僕とトウヤ、レイナ、オウの4人で【鬼】を殺す戦闘が始まった