Ep.2 個々の能力
『School gameを…始めようか』
"School game"…?なんだそれ
全く聞き慣れない単語…
他の人たちも困惑しているのか言葉を発さない
そんな中1人だけ沈黙を破る人がいた
「School gameって…何?」
『いいねぇいい質問だ』
『じゃあステージのスクリーンを見てね!』
放送の指示に従いステージの方を見た。
全員がステージに向くとスクリーンに文字が映った
それと同時に放送が入る
『それじゃこれから君たちにやってもらうSchool gameのルール説明を始めるよ』
『あ、まず僕の呼び方からかな』
『僕のことはGMって呼んでほしいな!よろしく!』
『さて、まずは一番大事なところから』
『このSchool gameでは君たち一人一人に"能力"を与えるよ』
能力…?なんだそれマンガの世界でもあるまいし…
さすがにこれはみんな信じていないのか辺りがざわつく。
『んーまぁそうだよね信じないよね』
『実際に見せれば…信じるかな?』
見せる?能力を?
GMがしばらく沈黙する
数分経つとまたGMが喋り出した
『さぁさぁ能力の実演だよー!』
『3!2!1!能力行使!』
数秒の静寂の後駐車場近くの山から爆発音が聞こえた
「きゃあぁぁ!」
「えっ、爆発!?」
悲鳴をあげる者、驚く者、動じない者人によってその反応は様々だった
だが一つ言えることはこのGMが言う"能力"とかいうのはどうやら本物らしい
そう思っていると動じなかった1人が口を開いた
「別にこれくらいじゃ能力が実際にあるなんて非現実的な話信じられなくない?爆弾くらいならいくらでも仕掛けられるでしょ」
言われてみれば確かにそうだ
爆弾なら普通に世の中に存在する…
その問いにGMは答えた
『あちゃやっぱこれじゃダメかぁ…それじゃあ君の言う非現実的な力見せるしかないね』
『能力行使』
今度はGMが宣言してすぐに異変が起きた
体育館にいる人全員の体が浮き始めたのだ
「な、なにこれ」
「うわっ…たっけぇ…」
『どう?これで信じてくれた?』
GMがそう話している間にも高度はどんどん上がっていく
この力は認めざるを得なかったのかさっきの女子が言った
「…わかったわよ」
すると静かに僕らの体は沈んだ。
全員が地に足をつけると切り替えるようにGMは話を始めた
『よし。じゃあ話の続きをしよう』
『この話が終わったら君たち21人に能力を与える』
『能力は"攻撃型" "守備型" "補助型" "特殊"の計4つに分類される』
『特殊は一つだけだから当たった人は超ラッキーだね!』
「その能力って当たり外れとかあんのか?」
『うーん…そうだなぁ使い方によるけど一応ないことはないかな』
『まぁそこら辺も運だと思って楽しんでよ』
…能力を貰えることはわかったが能力なんか貰ったところで何に使うんだ?
そう思った僕は思い切ってGMに聞いてみることにした。
「その能力?とかいうの貰って何すんだよ?」
『いい質問だねえそれは次に説明しよう』
『まぁ簡単に説明しちゃうとSchool gameっていうのは君たちで言うところのデスゲームみたいなもんかな』
デス…ゲーム?
それって人が死んだりする…あれか?
また館内がざわつきはじめる
『はいはい!うるさい!』
『君たちはそのデスゲームのプレイヤーに選ばれた人たちだ喜んでいいよ』
「は?喜べるわけねぇだろそんなんで!」
『あれっ人間ってこういうの好きだと思ってたんだけど違うのか』
「自分がやるのとはまた話が違うよ!」
『はぁ…これだから人間は…結局自分が一番可愛いんだねぇ』
またあの声色だ
一体このGMと名乗る奴は何者なんだ…?
人間じゃないのか?僕らでデスゲームなんかして何が楽しいんだ?
『まぁこれからデスゲームを始めるわけなんだけど』
『やるにあたって守ってもらうルールが幾つかあるよ!』
「ふざけんなよ!誰がやるか!」
『……君たちさぁ今置かれてる境遇がわかってないの?』
『逃げても構わないけど命の保証があるとは思わないことだね君たちは僕の手中にあるんだから今君たちを殺すことだって可能なんだよ?』
…顔は見えないがよくわかる
このGMとかいう奴は本気だ…殺ろうと思えばいつでも僕らを殺ることが出来る
全員その空気が伝わったのか静かになり口を開く者はいなくなった。
『そうそう始めから大人しく聞いてくれてればいいんだよ』
『ルールその1、絶対に外へは出ないこと』
『その2、攻撃型能力をプレイヤーに使ってはいけない』
『その3、ゲーム毎のルールには絶対従うこと』
『全体を通したルールはこれだけだよ後はそのゲーム毎にルールを設けるからね』
「そのルール破ったらどうなんだ?」
『即死んでもらう…当然でしょ?ルールは法律だからね』
『ま、あと詳しいことは後々話すからその都度僕の話に耳を傾けてよ』
『それじゃ早速君たちに能力の配布だ』
『一人一人呼ぶから順番に今開けた部屋に来てよ。まずはレイナから』
一番後ろで座ってた女子が立ち上がり
ひとりでに開いた扉の中へと入っていく。
ざわつくかと思ったが意外と静かだった
やはり全員怯えているのだろうか。
7、8分程度で1人目の女子が帰ってきた
特に変わった様子はないようだ。
能力はどうやって与えているのだろうか?
『じゃあ次ミオ』
『あ、そうだんっとーマユ、フタバ、ムツ、ナノカ、セン、トウヤ、…………』
急に全員の名前を呼び始めた途中からぼーっとしていて聞いていなかったがおそらく全員呼んだのだろう。
『………………オウ、キュウタ、イチ』
『この順番で並んどいてくれる?』
どうやら僕は1番最後のようだ
しばらく待つこととしよう…
-----1時間後-----
人によってはかなり時間にムラがあるようで僕の番は始めから1時間近く経った。
『最後だねイチくん入っていいよ』
帰ってきても誰一人何も表情に出していなかったからとても気になっていた
この中で一体何が行われているのかが
そして僕は部屋へと入った
そこには誰もいなかったがモニターとスピーカー、そして見慣れない機械が置いてあった
『いやぁ…一番最後が君かー』
「?GMが決めた順番じゃないのか?」
『そうだよまぁさっきのは気にしなくていいよ』
『君の能力は残り2分の1…どっちかだからね』
「え?21個じゃないのか?」
『特殊の能力は出ないこともあるんだそれくらい貴重なんだよ』
なるほどな…まぁ僕みたいなのが特殊だったら驚きだが…
『それじゃあはい。これ』
出てきたのは1つの端末だった
スマートフォンにも似てるような気がするが…少し違うようにも思える
『その端末は持ち主のプレイヤーしか開けられないんだそこに君の能力が書かれてる開いてみな』
「う、うん」
言われた通り僕は端末を開いた
そこに書かれていたのは
《タイプ:特殊 ????????》
「な、なんだこれ?」
『わお…君が特殊を得るのか…』
「これ能力書いてないんだが…」
『それは僕から説明するね』
『特殊の能力には〈決まった能力が存在しない〉んだ』
は…どういうことだ?
決まったのが存在してなかったら何になるんだ?
僕の心を見ていたかのようなタイミングでGMが喋り始めた
『他のプレイヤーの能力をコピーするのさ』
「コピー…?」
『端末見てみてそこに他のプレイヤーの名前と能力があるだろ?』
言われて端末に目を落とすと確かに名前と能力と思わしきものが書かれていた
『好きなのを適当にタップするとその能力がコピーされて君は扱えるようになる。特段弱くなったり強くなったりっていうのはないよ』
「なるほど…」
ふと僕は気になったのがレベルの表示だ
能力名の横に"Lv.1"と表示されている
「このレベル表示はなんだ?」
『全く君はいい質問しかしないね…それは能力の熟練度さ』
「そのまんまだな…」
『あはは!確かにそうかも!ちなみにそのレベルのまま能力コピーするからね』
「俺の能力にもレベルがあるのか?」
『いいや特殊には存在しないよ他の能力のレベルがそのまま引き継がれるからね』
なるほど…かなりクセが強そうだが使いこなしたら強そうな能力をしている
だがプレイヤーに使ってはいけないのなら誰に使うのだろうか?
「もう一個質問いいか?」
『もちろん、いいよ』
「攻撃型の能力は誰に使うんだ?必要ないだろ」
『…これデスゲームだよ?ゲーム内で人を殺し合うゲームがあっても不思議じゃないだろ?』
その言葉を聞いて僕の背筋は凍りついた
殺し合いだと?この能力を使って…?考えられない…ありえない…
『ありえないとか思ってる?ありえるんだなぁこれが』
また心を見透かしているかのようなタイミングで…!なんなんだこいつは…僕の…何を…どこで見ている?辺りを見回してもカメラのようなものも何も見当たらない。不気味すぎる
『時間押してるからさもう終わりでいいかい?』
「…うん…いいよ」
『よしそれじゃ出て出て』
『さぁ!全員終わったところで今日のゲームを発表するよ!』
『記念すべき最初のゲームは…"鬼ごっこ"』
いよいよ次回からデスゲームが始まります、、!