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未完成セカイ  作者: SOKKIA
1/1

新しいセカイで

もう、悪口を聞くのもうんざりで。

奇異の目線に晒されて。

いつでもどこでも後ろ指を指されて。

どんなに恨んでも呪っても、変わらなくて。

こんな絶望の中で生きるくらいなら

  

  『死んだ方がましだ。』


すぐ傍らに居る筈の少女と共に

蒼は 「このセカイ」 での人生を捨てた。


ふわり、と体が宙に舞う感覚が一瞬。

その後、大きくて暖かい「何か」に包まれ、

本当なら地面でぐしゃりと潰れていた筈の体を

一点に集中させ、一筋の光に変える。

その光の筋は、何処かへと消えて居なくなる。

それを見守る、影と共に。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそして、セカイは変わる



「‥は?」

え、いやちょっと待って、あれ?

俺死んだよね?

屋上から飛び降りて16年の短い人生を終えたよね?

じゃあなんで‥

「なんで、こんな賑やかな場所に居るんだよ‥」

‥あ、これ天国か。

うんきっとそうだ。天国って賑やかだ。

「っ!?」

待て、何かがおかしい。

何かが足りない。

一気に多くの情報が入ってきて、フェードアウトしそうになる。

「‥め、い‥?」

そうだ。メイがいない。あいつは、どこだ。

一緒に飛び降りたはず。ということは、この世界のどこかにいる?

「あー、てかまずここどこだ。俺誰。ヘルプミー。」

道を行く人々達は、見たところ目が二つあるし、腕も足もある。

ただ、なんか猫耳っぽいのとかある。

なんかうん。明らかにおかしい。

「は、え、いやちょっと意味わからん。」

ただ、一つの救いとして文字が読めた。

『このセカイは×××様によって創られた。』

「なんだ、これ、読めない‥というか、脳が認識しない?」

なぜか、一番重要な部分が読めない。

同じような看板がいくつもある。

「文字が読めるっつーことは、言葉も通じる‥はず。」

とりあえず先程の疑問は置いておき、この状況をどうにかしなければ。

「ただな、俺には泣きたいほどコミュニケーション能力がないのだが。」

誰に言うでもなくぼそりと呟く。

そう。蒼は、もとの世界で全力でコミュ障だった。

だから人と接し、話すことが苦手なのだ。

「でも、話さないと始まらない…ってか。」

とりあえず、あんま急いでなさそうな通行人に声を掛ける。

「す、すみません、聞きたいことがあるの、ですが…っ。」

これが限界である。故に、人と話すのは嫌いだ。

「あぁ?なんだ?」ー良かった。無視されなかった。

「と、遠くから来たので、土地勘…?がなくて…」

「ここはラウル地方だ。かなりの大都市で人が多い。」

「あ、ありがとうございます。」

ラウル地方、人が多い。ということは、もしかしたらどこかにメイが。

「えっと、人が集まっている施設とかって、ありますか?」

よし、大分話すのもなれてきた。

「大聖堂なら、昼夜関係なく沢山の人がいるはずだが…」

大聖堂…?良い名前のわりにはなんとなく歯切れが悪そうにその人は答えている。

その後、親切な通行人に道を教えてもらい、礼を言い別れた。

「確か、ここだ。」

大聖堂は案外近くにあり、すぐに着いた。

ただ、中に入るとそこは、大聖堂なんて名前からは想像できないほど熾烈な戦が行われていた。

刀と刀、闘志と闘志がぶつかり合う音と、

それを応援しているものたちの熱気に押し潰されそうになる。

「あの通行人の歯切れが悪かったのはこれかよ、フラグ回収高速すぎないか…?」

静かな蒼のツッコミは、誰にも届くことなくかきけされた。


…時は過ぎ、小一時間がたっただろうか。

「これってどうするのが正解なんだ…」

混乱する頭に、鈍い痛みが伴い始める。

「あー、いってぇ、誰か、頭痛薬くれ…」

よろよろと歩いていると、何か超可愛い女の子が近づいてきた。

「あ、あんた大丈夫なの?凄く辛そうじゃない!?」

何この子、口調も可愛い。異世界最高。

そんな風に調子のいい手のひら返しをしていると、その女の子は

「んもぅ…こんなところでよろよろしてると、その辺の人たちに斬られるわよ?」

と言った。

「…は?」

何、今なんていった、『斬られる』?

「何、あんた知らないの?ここがなにする場所か。」

「…何する場所なんすか。」

「ここは、お金がない剣士…?といえるのかしら…」

「?」

「まぁいいわ、その人たちがどんぱちやって、勝った方が負けた方からお金を巻き上げるのよ。」

「どんぱち…?」

可愛い言い回しだがそれ死ぬじゃん、お金もなにもないじゃん。

「あ、ちなみにここはかなりの凄腕の治癒魔法が使える魔法使いがいるから、よっぽどのことがない限り死なないわ!」

お、おぉ、さすが。考えられていた。

あれ、て、ことは…

「君も、お金を求めて?」

「そうよ、なにか悪いかしら。」

いや悪いもなにも、女の子一人で大丈夫なのだろうか。

正直言って、この子は細い。引きこもりがちな俺でも持ち上げられそうだ。

剣もしっかり振れるのか心配になるくらいだ。

見かけもまだ15、6に見える。

するとその女の子は燃えるような赤い髪をふわりとなびかせて言った。

「あんた、私が弱いと思ってんの?」

「え、いや、あの、」

「女の子だから、負けて良いわけじゃない。

 それに、私にはお金が必要なの。」

かっ、かっこいい…

「ち、ちなみにおいくらほど稼いでいらっしゃるんでしょうかね…?」

少し悩み、少女は笑顔で答える。

「えーと、今日は8人くらいぶっとばしたから、15万ウルくらいかせいだかしら!」

今日は少ない方ね、と落ち込む少女を横目に、

「強すぎるだろ…」

と、俺は漏らした。

1万ウルというのがどのくらいの単位なのかは知らないが、もとの世界でいう1万円と同じと考えておこう。

そうだとしたら、相当稼いでるぞ、おい。

「そういえば、あんたって、何て言う名前なの?」

少女が問いかけてくる。

「俺の名前は…『蒼』」

「『ソウ』…いい名前じゃない!」

少女がにっこりと言う。

「わたしの名前はミイア!よろしくね!ソウ!」

少女…もとい、ミイアにそう言われ、俺は内心ほっとしていた。

何故なら、ミイアがこの蒼い髪に何も触れてこなかったからだ。


…俺の過去は、この髪色のせいで、散々だったんだから。

前にも一度途中まで投稿していたものです。

これから連載していこうとおもっているので、

是非これからも読んでいってください!

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