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第17話 尼の妙薬(前編)

 神無月となり、秋も深まり山々が赤く色づき朝晩も冷え込みが次第に強くなってきた。

 朝方、カズは今日も仕事に出ていた。いつものように待ち合わせ場所の弥吉の食堂前に立つ。寒さで手がかじかむので手をすり合わせて摩擦熱を作った。

 仕事の相方、清明晴はすぐに現れた。


「お晴さん、おはよう」


 声をかけるが、お晴からの返事はなかった。顔を下に俯けている。


「あの、お晴さん?」

「お、おはよう……」


 お晴は顔を少し上げた。カズは不安げに彼女を見守っていた。

 しかし、彼女は着物の袖で目をこすっていた。


「お晴さん、どうかしたの?」


 心配になって尋ねる。

 しかし、そのお晴の茶色い瞳は涙で潤んでいた。出てくる涙を青い着物で拭いている。


「カズ、ごめん。私、しばらく急用で仕事を休みたいの……」

「急用? 何かあったの?」


 だが、お晴は何も答えずただ自分の手に持っていた仕事の依頼書をカズに渡した。


「多分、七日後には帰れると思うから」

「え……。帰れるって、どこに?」

「……」


 何も返事をせずにお晴は足早にその場から走り去った。カズは後を追いかけようとしたが、すでにお晴はいなくなっていた。


 とりあえずお晴からもらった依頼書を見て、今日の仕事先に向かった。とはいえ、一人で掃除をするので時間がかかってしまう。そして、カズの頭には今朝のお晴の姿がこびりついて離れなかった。だから、仕事にも力が入らない。

 カズは不安でならなかった。お晴が泣きながらも、急に休みたいなんて……。しかも、行き先も告げずに行ってしまった。

 お晴は人前に自分の弱い所は滅多に見せず、常に気丈に振る舞っているのだ。急用でしかも泣いていた。いったい何があったんだろうか。


 仕事を終えた時はすでに昼を過ぎていた。カズはひさめのお茶屋に向かった。お腹すいたし、何かお腹に落とさないと。


「お、今日は珍しいじゃないか。おまえ一人だなんて」


 ひさめが熱いお茶を持ってやってきた。


「うん。今朝、お晴さんが急用でどこかに行ったから」

「どこかに行った? どこだよ」

「わからない。もう行っちゃったから」


 カズは置かれた熱いお茶を一口飲んだ。


「その時様子がおかしかったんだ。泣いてたんだよ」

「泣いてた? この前の放火事件の時みたいにか?」

「いや、そうじゃなくて」


 放火事件の時はカズの身を案じて泣いていたのだ。多分、彼女の様子から察するに、別の理由だろう。


「ひさめさんは近頃お晴さんが変わった様子見せるとか知らない?」

「おれは知らないな……。でも、あいつ悩み事とかなかったか?」


 悩み事か……。そういえば放火事件の時も、春先彼女と出会ったときもお晴が口にしていたことがあった。


 ――私には身寄りがない


 お晴が漏らしていた言葉だ。その話になるといつもお晴は話題を変えていた。


「ひさめさん、お晴さんって確か前任の雇い主が育ての親だったんだよね」

「ああ。ばあちゃんから聞いたけどお晴は孤児だったところをその雇い主が引き取ったらしいんだ」

「孤児って……、両親はいないの?」

「詳しいことはわかんねえけど、物心ついたときからその雇い主と一緒だったらしい」


 そして、その雇い主は現在病気で実家に戻っていると聞く。

 突然厨房の方から声がした。


「ひさめ! いい加減に注文を持って来な!」

「ごめん! 今もって行くから!」


 カズは思わず後頭部を掻いて頭を下げた。


「ごめんひさめさん。手を止めちゃって」

「いいって、いいって! で、注文は何にするんだ?」

「三食団子で」

「いいぜ。じゃあ、ちょっと待ってな」

「ありがと」


 ひさめが注文を取りに行ったあともカズはお晴のことを考えていた。前任の雇い主は今病気だという。おばあちゃんならお晴の急用の理由がわかるかもしれない。

 ひさめが団子を持ってやってきた。


「ほら」


 カズが座る床几の隣に三食団子が置かれた。


「ひさめさん、悪いんだけどおばあちゃん今忙しい?」

「まあ、いつ客来るかわからないしな」

「お晴さんのことで聞きたいんだけど……」

「少しくらいなら大丈夫だと思うぜ。ちょっと待っててくれ」


 ひさめはすぐにおばあちゃんを連れてきた。


「カズちゃんから話なんて、珍しいねえ」

「その、お晴さんのことなんだけど――」


 今朝、お晴が仕事をしばらく休みたいこと。その時に泣きながら、行き先を告げずにどこかに行ったことを話した。


「多分、先代の雇い主の人が病気だからっていうのが関係してると思うんだけど」

「間違いじゃないと思うよ。この前ばあちゃんとこにもその人から手紙が来たんだ」

「手紙?」


 ことみばあちゃんはお晴の育ての親と仲が良かった。おばあちゃん宛の手紙にはお晴の前の雇い主である椿原つばきはらひなの病状が重く、余命いくばくもない。そのため、仕事に余裕ができたら西野津まで来てほしい、とあった。


「お晴ちゃんにも似たような知らせが来たのかもねえ」

「もう時間がなかったんだね……」


 だからお晴は何も言わずに走り去った。少しでも早く親の元に行きたかったのだ。お晴は今、とてもつらい状況なのだろう。


「お晴ちゃんにとっては本当の親のようなものだからね。でも、ちゃんと生みの親もいたんだ」

「でも、その両親は……」


 おばあちゃんは首を左右に振った。


「もう亡くなってるよ」

「何があったの?」


 しかし、おばあちゃんは目を閉じて口も閉じた。

 そして、


「カズ、おばあちゃんはすぐに話す気はないよ。本当につらい出来事だし、むしろ立ち入らないほうがいいかもしれない」

「……」


 カズは押し黙った。

 だけど、彼は何とかしてお晴の力になりたかった。今のお晴は一人でとてもつらい状況なのだ。お晴の叫びがカズの頭でこだました。


 ――一人にしないで!


 カズは、心に決めた。


「おばあちゃん、お晴さんにいったい何があったの?」

「聞く気になったのかい」

「うん。少しでも、お晴さんの気持ちに寄り添いたいし」

「わかった」


 おばあちゃんはもう一度目を閉じるとゆっくり話し始めた。


「これは手紙を書いた雇い主から聞いたことさ。お晴ちゃんはね、家族を殺されてるんだよ。盗賊たちに」

「え……!」


 その言葉に衝撃を受けた。一瞬時間が止まったような感覚に襲われた。カズはしばらく何も言えなかった。


 お晴は手紙にあった西野津の近くで住んでいた。当時は両親や兄弟、村の人に囲まれて幸せな生活を送っていたという。

 しかし、ある年の秋事態は一変した。夜に盗賊が押し掛け、ありとあらゆるものを村から奪っていった。村人たちは抵抗するがなすすべがなかったという。盗賊たちは最期に村に火を放った。

 貧富の差が激しいこの国の農村ではよく見られる光景だ。特に秋の農産物の収穫期がよく狙われていた。


 あまりの凄惨さに、カズは下を向いた。


「お晴さん……、そんなことが……」


 それ以上言葉が出ない。お晴は幼少期に家族や近しい人を皆殺しにされた。彼らに会ったことはないけれど、カズ自身の家族や村の人と重ね合わせると想像したくもなかった。


「でも、お晴ちゃんは奇跡的に生き残った。そこを雇い主に拾われたってわけさ」

「育ての親であると同時に、命の恩人でもあったんだね」


 しかし、そんな彼女が危篤状態なのだ。さっきおばあちゃんが前の雇い主が西野津にいると言っていた。多分、お晴もそこに行ったんだろう。

 カズは自分も行くべきかどうか考えていた。これはお晴の身内の問題でもあったから。だけど、カズとしてはお晴を支えたいのだ。

 そういえば、おばあちゃんのところに見舞いに来てほしいという手紙が来ていた。


「おばあちゃん、僕もお晴さんのところに行きたいんだ。一緒にいいかな」

「あんたがかい?」

「一お晴さんの仕事仲間だし……」


 おばあちゃんは微笑んだ。


「行ってやりな。あんたがいけばお晴ちゃんも喜ぶだろ」

「ありがとう、おばあちゃん!」


 思わずカズの声が高くなった。とにかくうれしかったのだ。あらためておばあちゃんに顔を下げる。


「ならおれも行くぜ。カズ一人だけだと盗賊が出てきたら心配だしな」

「それはありがたいよ。ひさめさん」


 ひさめも行動を共にすることにした。


 カズとひさめは名目上、おばあちゃんの代役で椿原ひなの見舞いに行くことにした。おばあちゃんは年老いているため、西野津までは大変だったからだ。そのため、返しの手紙を書いてもらい、前の雇い主に渡すことにした。

 とりあえずカズはたまっていた依頼を全て断った。

 西野津は都から二十里ほど離れた地域にある北の海沿岸の寒漁村で、霜月の末頃から雪が降り始める。とはいえ、まだ神無月。雪は降らないし、紅葉も盛りだから今西野津に行くには何の問題もない。


 カズはその日のうちに準備を進めた。風呂敷に旅に必要なもの一式をそろえ、さらに武器である木刀も確認する。

 今日は早めに寝よう。明日朝に都を出れば、翌日の夕暮までに西野津に辿り着ける。そして、お晴が都を出たのが今朝であればまだ半分ほどしか進んでいないはずだ。

 カズたちはできる限り西野津に着くまでにお晴と会いたかった。


 翌朝。カズは下京の正門にもたれかかっていた。ここでひさめと待ち合わせだ。

 やはり神無月、朝は寒い。冷たい空気が鼻を刺激して、時折くしゃみが出る。周囲は霧が立ち込めていた。

 なかなかひさめが現れない。普通なら寝坊してるんじゃないかと思うかもしれないが、ひさめは忍びだ。きっとどこかにいるだろう。

 カズは周囲を警戒していた。絶対ひさめはどこかにいる。なぜか、そんな気がしていた。

 日の出とともに霧が次第に晴れてきた。


「カズ。やっぱり遅かったな」


 どこからか女の声がする。しかも、聞き慣れた声。周囲を見渡すが、どこにもいない。ならば、隠れているということだ。


「ひさめさん、出てきてよ」

「わりぃわりぃ」


 カズの右隣の壁がめくれ、忍び装束の女が現れた。

 ひさめは後ろで束ねた髪を掻いていた。

 思わずため息が出てしまう。


「普通に出て来てよ。僕忍びじゃないんだから」

「ははは。とりあえず、行こうぜ」


 とにかく、今は先を急がないと。カズたちは西野津へと続く街道をひたすら走って進んだ。

 秋晴れの空の下、秋も深まり街道筋は紅葉の盛りを迎えていた。あたり一面モミジの色づきで真っ赤に燃えているようだ。青く澄んだ空によく映えている。

 途中のお茶屋で休憩を入れながら進んで行く。この街道は北の海の周辺域にすむ人々が都に出稼ぎや特産品の海産物を届ける際によく使われている。日中は人通りはそこまで多いわけでもなく、都に近い地域は盗賊が現れる心配もないので、問題なく先に進めた。


 その日の夕暮までに朽木の宿場町に到着し、近くの宿屋で一泊する。

 しかし、お晴はもう先に行ってしまったらしく、どこにもいなかった。カズは寝室に食事を持ってきた女将おかみと話していた。

 内容はお晴の行方の話だ。


「そうですか。西野津に」


 女将は御膳を下げた。


「その女の子に会いましたか?」

「ええ。栗色髪のかわいいでしょう」


 お晴はこの宿に泊まったわけではないが、女将はお晴が隣の宿に入っていくのを見かけたらしい。それは昨日のことだ。

 そうであればもうお晴は西野津に着いている頃だろう。ここから西野津まではほぼ一日かかる。

 そして、女将は気になる話をしてくれた。


「聞いた話なんですけど、西野津ではこんな噂があるらしいんです。伝説の妙薬が見つかったって」

「妙薬?」


 西野津にはその地に伝わる伝承として〈人魚の尼の伝説〉があった。北の海の寒村にたいそう美しい娘がいた。彼女はある日浜辺に打ち上げられた何かわからない魚の肉を食べた。実はその魚の肉は、人魚のものであった。

 娘は超長寿の体を手に入れ、娘は気味悪がられた村人らから疎外され、娘は村を飛び出した。そして剃髪して尼となり全国を巡礼、慈善に尽くして回った。八百年という考えられないような長寿を全うしたとされるものだ。

 妙薬はその尼が作ったとされる薬で人魚の肉から生成されたものらしい。


「何でも村の人は気味悪がって近づかないらしいんですけどね」


 その妙薬は尼が入定したとされる洞穴にあるらしい。


「まあ、本物かどうかはわかりませんけどね。でも南蛮医に頼めば話は別でしょう」


 なかなか興味深い話だった。カズは思わず聞き入っていた。



 翌朝、カズたちは早朝に宿を出て、保坂の峠にさしかかる。

 この峠を越えれば西野津は目と鼻の先だ。

 保坂の峠の頂上までやってきた。ここから西野津までの東西に細長い平地を見渡せる。

 最奥に見える〈北の海〉はまだ冬でないので荒れておらず、むしろ朝日を浴びて輝いていた。


 だが、カズは妙に嫌な予感がしていた。


「ひさめさん、誰かに見られてる気がするんだけど……」


 先行するひさめに告げる。この峠に来てからずっとそうだ。西野津に近いこともあって盗賊たちが潜んでいるのか。


「確かにするな。しかもこっちに近づいてる。一旦近くの茂みに隠れてやり過ごそう」


 ひさめに言われたように木の陰や茂みが生い茂る場所に隠れる。


 思った通り、盗賊と思しき軽く武装した男たちが現れた。男たちは短刀や槍、弓等を装備している。肩に担がれている袋に野菜や金品が大量に入っている。どうやら村を襲った後のようだ。


 カズたちの前を男たちは通り過ぎて行く。男たちの会話が聞こえてきた。


「久々の獲物だったな」

「ああ。近頃は農村も自警しているところが多いからな」

「そういえば、西野津で人魚の薬が手に入るらしいぜ」

「でも噂だろ」

「そうじゃないんだよ。後で行ってみようぜ」


 盗賊の姿は見えなくなった。カズたちは茂みを出て、その盗賊の消えた後を眺めていた。


「ひさめさん、あいつらも目を付けてるようだね」

「ああ。まあ、おれらには関係ないだろう。さっさと行くぞ」


 西野津まで道は続く。周囲には田んぼや畑が広がる。稲は既にかられていたが、農作物は収穫時だった。農民が老若男女問わず農作業にいそしんでいる。

 田んぼには赤とんぼが飛び、ススキは風に揺れていた。

 予定通り夕暮れには西野津に辿り着けた。西野津は漁村で浜辺には獲れたばかりの海産物が並んでいた。掘立の民家で休んでいる漁夫に椿原ひなの家がどこにあるか尋ねた。


「ひなさんの屋敷は村の外を少し北に行ったところにあるよ。この村じゃ一番の金持ちだから見ればわかるはずだ」


 漁夫に言われたように漁村の外に出る。すぐにその屋敷は見えた。小高い丘に漁村民の家より大きめの屋敷。しかし、それは上京の殿上人や大商人のそれと比べ、比較にならないほど粗末なものであった。

 門の前に番人とみられる男がいた。三十を少しばかし過ぎたヒゲ面の男。しかし、その番人も華の都にいる彼らとは違い、麻と木綿の貧相な服を着用し、武器も携帯していなかった。

 番人というより、使いのようだった。


「ひな様に何か御用ですか」


 男は門を大きく手を広げ、門をふさいだ。


「ここに清明晴さんは来てませんか? 僕たち、お晴さんの知り合いの者で」


 それだけじゃ入れてもらえそうもないので、ここに来た経緯を話した。


「お晴様ですか。いらっしゃいますよ」


 その言葉にカズとひさめは顔を合わせた。やっと会えるという表情を浮かべて。


「しかし、今はダメです。お晴様はひな様の看病をされておられます。彼女は今ひな様と共に居られたいのです」

「え」

「今はどうかお引き取り下さい」

「そうですよね……。ごめんなさい」


 カズは頭を下げて謝った。

 こうなってしまえば引き取るしかなかった。もともとお晴の件に首を突っ込んだ自分が悪かったんだから。後悔の念はあるけど、お晴はそっとしておいたほうがいいのかもしれない。


「ごめん、ひさめさん。一緒に来てもらって悪かったんだけど」

「気にすんなって」


 ひさめはにっこり笑って見せた。

 屋敷に背を向け、漁村に戻ろうとした時だった。


「あなたたち、来てたのね……」


 とても暗いが、聞き覚えのある声。振り向くとそこには栗色の髪の少女。青い着物を着ている。

 それはカズたちが捜していた少女だった。


「お晴さん……」


 門番の前をお晴は通り過ぎようとしている。彼女は顔を下に向けていた。瞳を隠して。


「お晴様、どこに行かれるのです」


 門番が彼女を止めようとしている。だが。


「お薬が切れたので買いに行きます」


 そしてカズたちの前で足を止めた。


「心配、してくれてたの?」

「うん……」

「……」


 お晴は何も言わなかった。そのまま、また歩き出した。

 カズたちの前を通り過ぎる。しかし、彼女は通り過ぎる瞬間にこう言った。


「ありがとう……」


 その時、瞳を隠していた彼女の目が垣間見えた。茶色い目はいつもの彼女のそれとは違っていた。目には強い意志が感じられた。



 お晴の姿が消えた後、カズはひなの容体について尋ねた。


「やっぱり、もう時間は無いんですよね」


 門番は一つ頷いた。


「なんなら、ご覧になっていきますか?お晴様も外出されてますし、一人残されるとひな様に悪いですし」


 カズたちは屋敷の中に通された。


 屋敷の中の庭は荒れ放題だった。あまり手入れがなされていないのか、ツルが生えていたり、ひび割れも激しかった。とはいえ、漁村にある家屋よりははるかに立派だった。

 もともとひなは華の都で仕事をしており、実質この家には誰も住んでおらず、使いの男が掃除に来るだけだった。さらに、盗賊が荒らしに来るようで金銭も慢性的に不足していたという。

 その屋敷の一室。男が戸を開ける。

 奥では四十そこそこ過ぎの短い黒髪の女性が眠っていた。顔は白く、精気は感じられなかった。

 彼女が椿原ひな。お晴の前任の雇い主であると同時に育ての親だ。


 お晴にとってひなは親のような存在。そんな彼女が危篤だった。

 カズとひさめはお晴が帰って来るまでひなの看病を手伝うことにした。手ほどきは門番の男がしてくれた。

 そして、酉の刻(夜六時)。この時間にお晴は帰ってくるはずであった。


 (つづく)


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©ヒロ法師・いろは日誌2018

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