表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球防衛少女  作者: まさひろ
博多防衛少女
31/46

訪問者(改定)

 牛若達の罵り合い(はなしあい)を、戦意が落ちないのは何よりだと前向きに解釈していると、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴響いた。別に通販とか頼んだ覚えはないので、もしかすると美綴たちが来たのかと思い、最近、後ろめたい事には事欠かない俺は、おっかなびっくり玄関に向かった。そしておずおずと覗いた覗き穴の先には見知らぬ男女が立っていた。


 清潔だが個性の無いスマートカジュアルの二人組に、一瞬宗教の勧誘とかかなと思い、弁慶さんの改造により、防音性等が超増し増しとなった元ボロアパートの特性を利用し、居留守を決め込もうかと思ったが、その男の糸目は明らかに俺の存在を射抜いている様に感じだった。まぁ、万が一の事があっても黒スーツの連中が使う不思議光線で簡易の記憶操作を行う様な過剰な防衛力が備わっていることも鑑み、大人しくドアを開けてみた。



「あの、何か御用ですか」


 と、恐る恐る声を掛けてみると。その男の口からは以外と言うか、必然と言うか、こんな言葉が返って来た。


「どうも、僕の主と兄がお世話になっております。僕は佐藤忠信と申します」


「「今まで何処をほっつき歩いていた(んだ)のだ!!」」


 俺は、弁慶さんの改造により、耐久性等が増し増しとなった元ボロアパートの壁面に顔面を叩きつけられながら(おそらく、俺を押しのけたのは牛若だ)消えゆく意識の果てで同じような事を考えていた。





「あっ真ちゃん起きたー?」

「んぁ?屋島さん?」


 目覚めた俺は、屋島さんに膝車をされていた。周囲がやけに静かだと思ったら、部屋の片隅で4人が眠っていた、話によるとどうやら挨拶代りに例の無理ゲーシミュレーション10本セットをやっているらしい。


「んー、で、結局何があったの?」


 俺が疑問を投げかけると、知らない声がそれに答えた。そっちに目を向けると、先ほど忠信さんの隣にいた女性だった。艶のある長い黒髪をたらし、ニコニコと笑みを絶やさないおっとりとした優しそうな女性だ。


「先ほどは失礼いたしました。忠信様の補佐をさせて頂いております、情報支援型アンドロイド吉野と申します」


 そう言って彼女は静かに首を垂れた。





「はぁ東京ですか」


 彼女の話によると、忠信さん達が、こちらの世界に現れたのは博多駅事件の翌日の東京。そこで、事務方として裏方仕事の一切を任されて、国会に出張中の伊勢さんに発見され、今までの流れ等の説明を受けていたそうだ。

 その後、彼自身事務処理に長けている、忠信さんと、その名の通り情報処理に特化している吉野さんは、伊勢さんの補助や、内閣危機管理室GEN特別対策室との顔つなぎ等を行い、今朝のこちらについたと言うことだ。

 ちなみに、連絡が無かったのは、煮詰まっている俺達を和ませようとした、伊勢さんのサプライズとのこと。まったくあの人は、妙にお茶目な中年だ。


「あっ!あの日の翌日ってことは!」

「はい、隠蔽工作に多少のお力添えをさせて頂きました」


 最後まで話を聞き終わってようやくそこに気付くとは、我ながら頭に血が巡っていない。そう言えば、吉野さんの情報処理能力については何かと話に上がっていた。俺にしては弁慶さん達の情報処理能力ですら想像の範囲外なのだが、その専門職である吉野さんは弁慶さん達とは桁が違うらしい。凡人の俺としては最早天文学やインドレベルな数字の世界なので、『はー凄いんですねぇ』と間抜け面を晒すしかないのだが、吉野さんにすれば、あれだけ多数の一般人がいた博多駅事件の隠ぺいすらお茶の子さいさいと言う訳なのだろう。


「ええ。取りあえずは、この星のネットワークには大体根を張りました」

「……はぁ」


 はぁ、と言うしかない。いきなり規模が星単位だ。以前伊勢さんが、『いくら戦力に優れようと少人数では……』とか言っていたが、むしろ余裕で世界征服できてしまうんではないだろうか。

 原発やICBMがどの程度ネットから遮断されているか知らないが、少しでも隙があれば鼻歌まじりで支配下に置く位はやってのけるだろう。そして防衛戦となればネットが使えないのは大きな痛手だ。現代の戦闘で衛星が使えないのは視力を奪われるのと同位だろう。そして運よく牛若達の居場所を見つけられても、こっちは阿保みたいな火力を持っている。艦砲射撃以上の砲撃を人間が超高速移動しながら撃ってくるんだ。今やっている対為朝さん用のシミュレーション以上の難易度だろう。

 まぁ、牛若達がそんな面倒くさい事してなんの意味があるかは別の話になるし、大義名分なしで世界を敵に回しても、死ぬまで追われて戦い続けることは変わらないだろうし。





 吉野さんとの話が終わり、暫くするとシミュレーションが終わったらしく、眠っていた4人が目を覚ました。


「おはよう牛若、調子はどうだった?」

「おや、おはようございます主殿。全く、主殿は毎回毎回よく気を失いますなぁ」


 目覚めて最初にそんな事を抜かし、はははと笑う牛若。こいつの犯行と目撃出来た訳でなく、押された手の感覚から、俺を壁に叩き付けたのはこいつだろうと目星をつけているだけなので、強く言えないのがもどかしい。


「やかましい、そんな事より――」

「ああどうもお邪魔しております佐藤……、紛らわしいですね真一様でよろしいでしょうか」

「様付けはよして下さい、こっちは年下の唯の一般人?ですよ?……一般人なのかな俺は?」


 ふと我に帰る。牛若と出会ってからなんやかんや、こいつらと比べれば唯の一般人のはずなのだが、果たして自分の事を一般人と呼んでいいのだろうか不安になってくる……って今の俺は八正を心臓代わりに生きている、サイボーグゾンビの様な存在だったことを思い出し、大いに凹んでしまう。何だろう、只々真面目に平凡に生きて来たことが自慢だったのに……。


「おや?どうしたのですか主殿?好奇心で下剤を歳の数だけ飲んだスベスベマンジュウガニの様な顔色をしておりますぞ?」

「喧しい!全部手前の性だろうが!」

「はっはっは、それを言うなら全て主殿の選択の結果でございます。ですが良いでしょう主殿が元に戻るまで、某と主殿は一心同体。しっかりと最後まで責任を持ちますよ」


 そう言って、向日葵の様な笑顔を向けてくる牛若。

 ちくしょう、相変わらず卑怯だこいつ。





 そんな訳で、2度も挨拶を邪魔された忠信さんと改めて挨拶を交わした。相棒の吉野さんの評価ばかり取り上げられていたり、どうやら彼は計算づくで影を薄くしている伊勢さんとは違い、天然で影が薄いタイプの人な様だ。

 そんな、忠信さんは、継信さんより細めの体格でミドルヘアをオールバックにまとめており、糸目の優しそうな顔をしている。一目見て誠実さを感じさせる好青年だ。先ほど吉野さんから聞いた通り、戦闘以外にも裏方の事務作業にも通じ、兄である継信さんのブレーキ役を押し付けられることが良くあるそうだ。また戦闘スタイルはスナイパータイプで狙撃精度は弁慶さんに匹敵し、当て感と言うか、敵の思考を読んでの偏差射撃は弁慶さんを上回る化け物だそうだ。うん、あれだ、よく分からないが、兎に角すごい人らしい。

 後、呼び方については協議の結果真一様、忠信さんで落ち着いた。 

サブタイトルに悩む今日この頃、第X話で通していけば良かった!

それでいいなんて知らなかった……。


そんなわけで最後の救助隊、義経四天王最後の一人佐藤忠信&吉野さんの登場です。

当初のプロットでは継信さんの次に登場する予定だったんですが……影が薄いんでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ