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地球防衛少女  作者: まさひろ
博多防衛少女
27/46

巫女(改定)

 戸惑いはある。混乱も、怒りも、嘆きも、恐怖も、後悔も、悲哀も、痛みもこの唐突に訪れた理不尽で非現実的な惨劇によってもたらされた苦痛は勿論ある。

 だが、牛若の発した号令により、なんとかそれを脇に置いて避難行動に取り掛かれていた。

 そして、その流れに逆らって、文字通り飛び込んでくる影が一つ。


「ごめん!遅れた!牛ちゃん!」


 アンドロイドなので息を切らしてこそ無いものの、あちこち汚れや擦り傷にまみれた姿だ。何時も余裕綽々としている屋島さんにしては珍しい姿だった。


「良い。それよりも仕事だ屋島。お前の力を見せよ、全力でだ」

「……そうね。りょーかい!それじゃ!ヤバイ人からじゃんじゃん連れて来て!」


 そう言い、屋島さんは外装を予備の者に着替える。


「屋島、援護します」


 ボロボロ具合では、俺達の中でも群を抜く弁慶さんがそう声をかける。


「うわちゃー。まぁ弁ちゃんは後回しってことで。それじゃあお願いね」


 正座した屋島さんを中心に、弁慶さんが力場を使って怪我人を円形に横たえる。

 突然の巫女風コスプレ女の出現と、人体の空中浮遊に周囲の人間からどよめきが上がり、流れが止まるが。


「よい!この者たちは某の配下だ!某らに任せよ!ここから先1人の犠牲者も出さんッ!諸兄らは諸兄らの為すべきことに集中しろッ!」


 滞っていた流れが動き出す。不思議な事に、一般市民からすれば、どこの誰とも知らないだろう、この小柄な少女の号令に皆が従う。これが戦場で兵を率いて勝ち抜いて来た牛若のカリスマと言うものなのだろう。





「準備開始、処置室展開」


 屋島さんの周囲に自動販売機サイズの柱が5本現れ、それを覆うように半透明のドームが展開される。


「接続、展開」


 一旦手を引っ込めた袖口から、多数のコードが伸び柱に接続されると、5本の柱が一斉に動き出す。つるつるとしていた表面に多数の小窓が生じそこからフレキシブルアームが伸び、横たわる患者に向かっていく。


「施術開始」


 全身のスキャン、静脈確保、切開、内視鏡挿入、縫合。こちらの世界でも、ロボットを用いた手術は一般化されてきているが、屋島さんの行っていることは桁が幾つか違う、最大の違いは何といってもその速度だ、怪我の大小はあれど1人当たり長くて数分、短ければ数十秒で施術を終える。

 例えとしては不謹慎だが、まるで椀子蕎麦や回転寿司のように恐るべき速度で、弁慶さんが運んでくる患者たちを次々と治療していく。

 また、治療範囲はドームの中だけではない、ドームの周囲にも例の医療用ナノマシンが散布されているらしく、通り過ぎて行く人たちの小さな擦過傷などもみるみる塞がっていく。


 五芒星の中心で身じろぎもせず正座する屋島は白拍子風の外装も相まって、祈りをささげる巫女にも見えるが、彼女の周囲で踊るのは無数の触手にも見える、医療用フレキシブルアームだ。巫女は巫女でも邪神を奉る巫女にも見えてしまうのが、あまりにもな欠点だが。





「すみません、ちょっとよろしいでしょうか」


 と仁王立ちで作業を監督している、牛若に声が掛かる。ようやくと言うべきか、この異常事態を鑑みれば早かったと言うべきか。声をかけて来たのはキッチリと制服を着こなした、この駅の上層部とみられる人だった。


「了解です。ですが、この者たちの作業は続けさせていただきます。某の言を自ら破る訳にはいきません」

「ええ、本来ならば中止させるべきなのでしょうが、私が責任を持ちます。そのまま続けて頂きたい。それでは事務所の方まで来ていただけますでしょうか」

「了解です。某は牛若、源牛若と申します、こちらは主君である佐藤真一殿でございます」

「ああ、すみません。自己紹介が遅れてしまいました。私は駅長を任されております深沢博と申します」



ちらりと博多駅について調べたら、JR九州、JR西日本、市営地下鉄で駅長が3人いたり

JR九州内でも博多駅長は人事の下のほうに書かれていたり新発見が色々と。

まぁ無駄にごちゃごちゃさせてもしょうがないので駅側は深沢さんメインで行きます。

メインと言っても、この物語はチャンバラメインの話なので、

政治話はさらりと終わらす予定です。

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