表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球防衛少女  作者: まさひろ
博多防衛少女
25/46

戦鬼襲来(改定)

 舞鶴公園まであと少しと言ったところで、八正空間に外部からの干渉があった。今の俺はこの空間そのものであるため、突然背後から肩を叩かれたような、いきなり手を掴まれたような妙な感覚だ。

 物理的には牛若の左手首に腕輪として収まっているので、肩も手も無いのだが、兎に角外部から強烈な力が加えられたことは感じ取れた。

 腕輪であるが、半径10kmの世界でもある俺に、芯まで響く干渉を一撃で食らわすと言うのはどれだけテンション高いんだと少し訝しく思いもしたが、八正空間内に援軍を途中参戦させるときの肌感覚が通常ではどんなものとか知らないし、知っている人なんかいるはずがないので、まぁそんなものかと思うしかなかった。

 けどまぁ、時間的にも方角的にも干渉したのは継信さんに違いが無い。と言うか継信さん以外だと佐世保に残した伊勢さんしか、この世界には干渉する術を持った人間はいない。





『おい!牛若!援軍だ!合図が来た』

「ええ、その様で、これで少しは楽にケリを付けられます」


 勿論、俺を装着している牛若にも、肌感覚と言う訳ではないがその反応は送られている。

 俺のデータを完璧に利用し、背後から襲い来る触手を、前を向きながらひょいひょいとかわし続ける天才少女は、ほんの少し安堵の表情を浮かべながらそう答えた。


 ビキリと、世界の片隅が崩壊する。ここまでされてようやく俺は異常に気が付く。円滑に回っていた歯車せかい、に焼けた鉄杭が撃ち込まれたような感覚、あるいは掴まれた手を骨ごと握りつぶされたような感覚。

 違った、違っていた、間違っていた。最初の干渉はただ、この世界を確かめるために手を添えただけだ。

 世界に対し、これ程の影響を与える個体が居るはずはない、居て良いはずがない。だがしかし、それは確かに存在し、俺の全力ささやかな抵抗など全く意に返さず、ごく自然に侵入してきた。


「主殿!主殿!お気を確か……に」


 牛若の声が遠くなる、破綻しかけた世界じぶんを気合で取り繕う。

 歯を食いしばりながら、侵入者に意識を向ける。そこに立つのは身の丈2mを超える大男だった。縦にもデカイが厚みも凄い。その男に比べれば、継信さんですら貧弱な青二才に見えてしまう。蓬髪からは野獣の気配、眼光からは死の焔、微かな笑みは悪鬼の愉悦、一体の戦鬼がそこにいた。

 そして、その鬼は左手に持った、鉄板を胸前に構える。いや違う、それは鉄板じゃない。一見では、歪んだレールやH鋼に見えるそれは弓だった。どれだけの重量があるのか想像もつかないそれに矢をつがえ、鬼は軽々とそれを引き絞る。


『うしわ……よ、け……』

「っ!」


 鬼から放たれた矢は、音の壁を易々と突き破り、衝撃波により軌道上のものを無差別に食い破り――俺たちが散々手をこまねいていたGENの巨人を一撃で容易く殺しつくした。

 真一の言葉受けて、真横に跳び逃げた牛若にも着弾の余波が襲い掛かり、枯葉の様に吹き飛ばされる。

 舞い上がった土埃が薄れゆくころには、鬼の姿はこの世界から消えていた。


 体に刻まれた、鬼気と言う灼熱の傷みに悶えつつも、真一は牛若にあの鬼の正体について尋ねた。牛若が知っているかは分からないが、あんな生物はこの世界にいない以上、牛若の世界から来たに違いないからだ、いやもしかしたら牛若の世界にもいないかもしれない、牛若を基準としてもあまりにも存在が規格外すぎたからだ。

 その問いに、埃を払い立ち上がった牛若は、こう答えた――





 門を潜り暫く、整備された林道を走り抜けた黒塗りの高級車は静かに停車した。助手席から降りたアンドロイドは、後部座席のドアを開け静かに一例をし、そこに座る男に声をかける。

 のそりと、広々とした車内から、背をかがめて降りた男は。そのアンドロイドのことなど一瞥もせずに、ゆっくりと歩き出す。


 広大な庭園だった。そこは一つの完成された世界だった。滝があり、小川があり、池がある。木々は青々と生い茂り、花々は色鮮やかに咲き乱れる。計算されつくした起伏は、庭園を広く複雑に見せ、どこまででも探索したくなるような、何時までも眺めていたくなるような、そんな庭園だった。

 男はちらりと一瞥する、巧妙に隠された監視の目、木々や岩等に偽装した、過剰とも言える防衛装置。普段からこうなのか、今日と言う日だからこうなのか。自分を少しでも知るものならば、こうしてもおかしくないし、こうしたとしても意味は無い事は知っているだろう。


 視線を感じる、残念ながらカメラの向うからだったが、心地よい殺気だった。

 敵などとうに居なくなり、そんなものを感じられなくなって久しいが、探せば出てくるものだったのか。もっとも、今回は彼方から招待された誘いだが。

 複雑な通路を、案内役のアンドロイドを背後に従え歩く。殺気が濃くなった、招待主はこの門の向こうらしい。

 門が開く、さらに少し歩いた先の東屋に、従者と1人の老人が待っていた。





 薄暗い管制室、壁面に設置された多数のモニターは、1人の男を追っていた。また、追っているのは監視カメラだけでない、普段は内外全周囲をカバーしている防衛装置の照準も全て男に合わせて動いていた。

 管制室の最上部に2人の男が座っていた。短髪の男は平教経と言い、長髪の男は平知盛と言った。

 教経は、椅子に深く腰掛け腕を組み、重く、煮えたぎる様な視線を男に捧げ。知盛は、椅子に浅く腰掛け腕を組み、静かに、凍るような視線を男に向けていた。


 議論は散々と交わした、教経は積極的反対、知盛は消極的反対だった。だが結果としてこの会合は実行された。自分の命より大切な人に頭を下げられたのだ、今更語る言葉は持たない、2人とも会合の様子をじっと眺めるだけだった。

 ただ、言葉には出さなかったが、2人の気持ちは同じだった。その人を害するようなことがあれば、死をもって償わせる、と。

 ポツリと、どちらかがその男の名を呟いた。



源為朝みなもとの ためとも


 


平安時代のリーサルウェポン登場です。

源平合戦と言うか、義経とは直接は絡みがないのですが、

天下無敵の叔父上には登場して頂きました。


どうしたものか、このバーサーカー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ