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003

西門から外に出ると、少し開けた草原があって、その数メートル向こうに森があった。

きょろきょろとまわりを見回したが、どうやら西門付近の草原にはモンスターは居ないようだ。

そのまま森へと直進してもいいが、折角なのでスキルの鑑定を使ってみる。



[ショトレ西門]

素材:石

耐久値:残80%

はじまりの街ショトレ西門。数百年前、石を愛したドワーフによって作られた。



[モーブ]

種族:人間

レベル:???

職:ショトレ西門高台弓兵

スキル:???

ショトレ西門高台の弓兵。



[野草]

素材:草

耐久値:???

そこら辺に生えている草。鑑定のレベルにより内容の変化有り。



えーと、なにからツッコめばいいかな?

石を愛したドワーフて、鍛冶のスペシャリストのイメージがあるドワーフからズレてる感じがするし、住人(NPC)の職は特殊だし野草にしても素材:草て。

あ、鑑定に気付いてたのか凄い顔でモーブさんに睨まれてる。とりあえず謝っておく。次はねぇぞと怒られた。はい、しません。

なんともいえない気分になりつつ歩き始める。


森の中に入ればどこか爽やかな気分になる。現実とは違い、すっきりとした森の様子に多少の違和感を感じつつも進む。

木の上にちらちらと鳥がいるが敵のモンスターではないようで、鑑定しても鳥、モンスターではないと出る。ふむ?モンスターばかりではないのか。



「?」



落ちてきた葉っぱ。鳥が飛んでいった弾みで落ちてきたのか。……鯖落ちしたりしない?どんなソフトで処理してんだ?

どうでもいいことを考えつつ、敵にあまりにも遭遇しないせいで散歩気分になっていた。まぁ、油断大敵というか、元々その気の緩みで出現する様になっていたのか欠伸をした瞬間モンスターが出てきたんだが。



「おっと」



飛び出してきたモンスターを叩き斬ろうとしたが思わず手を止める。……おい、どうして初遭遇モンスターがチワワなんだよ。鑑定したら名前はミルチワーだったけど。北といいここ(西)といい可愛いモンスターで攻撃の手を緩めさせる様にしてないか?

プルプルしながら襲いかかってくるのを見てゲンナリしつつも首に一閃。シャン!という音が鳴ってから数秒後、目の前に小さなメニュー画面が表示された。[取得 ミルチワタゲ×1]だと。なんに使うんだこれ……

森の中を暫く散策してみる。出現するのはミルチワーの一択。動物愛護団体に叩かれるぞこのゲーム。罪悪感が酷い。これ子供出来ないだろ。



「あ、広場?」



散策を続ければ拓けた広場のようなフィールドが出てきた。そこに鎮座するのは一つの石の台座。更にその上には草臥れたように寝転がる犬の石像。これは、ミルチワー……犬が出てくるからだろうか。出現モンスターにちなんで?まぁ、良いんだが。ここからがもう一つのラインの様だ。

ここから出現モンスターのレベルが上がる。ミルチワーは1から5のどれかだったが、遠目に見えたウルフはレベルが6であった。……さて、進むか、引き返すか。装備を確認。体力も魔力も武器の耐久値も問題ない。時間も特に問題なし。進むか。



木の本数が増えたのか薄暗くなってきたフィールド。目の前に現れたのはさっき見かけたウルフ。その場でフンフンとこちらの臭いをかんでから飛び掛かる体勢をとる。ミルチワーのような奇襲をしないのだろうかと少し遠い目をする。目の前で解りやすい行動されると難易度下がるんだが。

勿論それは自分の感覚の話であって他の人は違うけども。わおんと一つ吠えたウルフはミルチワーより数段速いスピードで突っ込んでくる。が、そんな単純な行動に殺られるハズもなく、多少の余裕を持って避け、ぐるりと回転しながら首元を撥ねる。

これもクリティカルだったらしくシャン!と音が鳴ってウルフが消滅する。



≪只今の戦闘に勝利しました≫

≪クラメアのレベルが上がりました≫

≪【召喚魔法】のレベルが上がりました≫

≪【刀術】のレベルが上がりました≫

≪【回避上昇】のレベルが上がりました≫

≪【気配感知】のレベルが上がりました≫

≪【見切り】のレベルが上がりました≫

≪クラメアのレベルが上がりました≫

≪【召喚魔法】のレベルが上がりました≫

≪ステータスを確認しますか?yes/no≫



今回もyes、と。



クラメア Lv6 下位召喚魔法師

【ステータス】

功    8

魔    14

体    10

心    11

器    12

速    12

(ジョブ)スキル】

召喚魔法Lv6

【攻撃スキル】

刀術Lv3

【魔法スキル】

風魔法Lv1

炎魔法Lv1

氷魔法Lv1

空魔法Lv1

【補助スキル】

回避力上昇Lv4

鑑定Lv1

再生強化Lv1

気配感知Lv2

忍び足Lv1

見切りLv2

【特殊スキル】

幸運

直感

【称号】

異界の旅人


残スキルポイント:15



スキルのレベルアップの有無はやはり使用頻度だろうか。再生強化とか攻撃あたらなかったら死蔵しそうだな。

というかステータスは本当に反映されてるのか?攻撃たったの8で一撃とか本来は無理だろうに。クリティカル関係だろうか?……まぁ、それは機会があったら運営に聞くとして。


森の中では石像以降ウルフとしか遭遇しない。はぐれ、群れ、はぐれ、はぐれ。

ソロプレイ故の遭遇率だろうか。ウルフが弱いのか、ゲームで言う経験値的な意味のおいしい相手ではないのかレベルが中々上がらないからもっと群れで出てきてほしいんだが。現在のレベルは7。1しか上がっていない。……あ、どうせなら魔法の方も練習しておこう。


魔法の使い方はチュートリアルでやらなかったな。ということで設定を開いてヘルプから使い方の確認。

図鑑を開いてその中にある使用可能魔法からワードを覚えてそのワードを発言すればいい、と。詠唱時間とかも書いてあるらしい。早速開いてみる。


【風魔法】

ウィンドカッター(10秒)


【炎魔法】

ファイアボール(10秒)


【氷魔法】

アイスボール(10秒)


【空魔法】

パラライズ(10秒)




発動待機時間が10秒。そこそこ長いな。多分スキルで短縮するのがあるだろうが取得可能スキルリストにはなかったからなにか条件があるんだろう。

だがこれはこれで時間差攻撃が出来ていい。

ふと気配を感じたので試しにと、ウィンドカッターを唱えてみる。魔法がその場で待機している。成る程、これが飛んでいくのか。魔法が飛ぶ方向だろうか?うっすらと矢印が見える。

向こうも此方に気付いたようでガサガサとスピードを上げて此方へと走ってくる。数は1、2……4か。



「ギャイン!」



飛び出してきたウルフに見事ウィンドカッターがヒット。顔面ど真ん中だったからかこれもクリティカル。だが一撃では倒れなかったようでまたこちらへと向かって来る。

それを刀で捌きつつ魔法を設置。ウルフは一瞬それに反応したがそれ以降は気にせず飛び掛かってくる。それを躱して首元に一閃。設置した魔法を上手く使いつつ4体ウルフの討伐を完了。



ふと気付けばまわりが暗くなっている。現在時刻は午後6時。運営ログを見ると時刻が18:00になりました。只今より夕刻となりす。とある。夕刻は何時までだ?ということでヘルプで検索をかけてみる。

夕刻が一時間だけのことを確認し、進むか戻るか悩む。初日であるし、今回は安全マージンをとろう。ということで来た道を帰ろう。


ウルフを捌きつつ例の石像まで戻れば完全に夜になった。森の中から出られなかったか。



「……?」



石像、犬の顔の前に光った文字が浮かんでいる。英語、といっても単語がただ並んでいるだけだが。なにかのヒントなのだろう。


''day''、''north''、''first''


ぱっと浮かぶのは日、北、初めだが日が解らない。ただ昼間にこの文字が浮かんでいなかった事を考えるとdayの単語は''昼間''の可能性が高い。

そういえば運営ログに第一ゾーンの中ボス1/2の発見情報があったからそれか?時間的にそれなんだろうな。


今更だがこのドリーム・ムーヴ・オンラインのマップの話をしておく。

マップで使用されているのは街名地名を除けばゾーン、区域とエリアのである。ゾーンは大雑把に言うなら街から街までのフィールドの事である。といっても、ゾーンの1から2へ移動したら直ぐに街があるというわけじゃない。まぁ、正方形を書いて、それのまわりを囲う正方形書いて、みたいな広がり方だ。

区域はゾーンを分割している範囲の事だ。現在解放されているのはゾーン1、第一区域である。

そしてエリアであるが、東西南北の順で1から4と振られている。時計回りに数字を振らなかったのは、なにか理由でもあるんだろうか。見にくい。


とりあえず、明日は単語の情報が考えた通りかの確認をするのが予定として決まったな。

……そして逃避してた現在の状況をしっかり認識しよう。したくないけど。ものすごく強制ログアウトしたいけど。

広場のまわりの森、茂みにみっちりと存在している小豆大のそれ。アズゴッキーなるモンスターに遠い目をする。単体、もしくは一、二匹位なら自分もなんとも思わないがこれはない。何万単位だ?みっちりと密集しているアズゴッキー。油虫もビックリな密度である。



「燃やそう」



行動は一択。ファイアボールで黒い悪魔を殲滅する。燃えると良いさ!とか言ってみる。人いたら恥ずかしいなこれ。いないの確認してるけど。

アズゴッキーに炎魔法はクリティカルだったらしく、一撃で散っていく。なら、とショトレに着くまでは炎魔法を使って突っ切ろうと足を進める。


ショトレにつけば数人のプレイヤーが此方を見て勇者か!と言う。時間が時間なのでそちらを向いて苦笑しながら会釈をしておく。自分もそっち側だったら同じ反応するしな。なんせ黒い悪魔の密集地から帰ってきたのだから。

人の邪魔にならない位置に移動し、一日目の最後だから一応ステータスを確認しておこうとウィンドウを開く。



クラメア Lv9 下位召喚魔法師

【ステータス】

功    11

魔    17

体    13

心    14

器    15

速    15

(ジョブ)スキル】

召喚魔法Lv9

【攻撃スキル】

刀術Lv5

【魔法スキル】

風魔法Lv2

炎魔法Lv3

氷魔法Lv1

空魔法Lv1

【補助スキル】

回避力上昇Lv5

鑑定Lv2

再生強化Lv1

気配感知Lv3

忍び足Lv1

見切りLv3

【特殊スキル】

幸運

直感

【称号】

異界の旅人


残スキルポイント:18



うん、今日はここまで。寝よう。







運営ログ

*60606

時刻が18:00になりました

敵の出現が夜のものへと移行します

称号【yesロリータ、noタッチ】を確認しました

総死に戻り回数が1000回を越えました

スレ【ふあっく】称号について2【運営】を確認しました

称号【なんでもイート野郎】を確認しました

スレ【特攻せよ!】モンスターウォッチ3【特攻せよ!】を確認しました

住人によるPKKクラン【グレーゾーン】が制裁に赴きました

称号【はじめの裁縫師見習い】を確認しました

スレ【ああああ】夜についてのスレ【いやああああ】を確認しました

スレ【ああああ】夜についてのスレ2【いやああああ】を確認しました

スレ【黒い悪魔】夜についてのスレ3【降臨】

スレ【運営は】夜についてのスレ4【鬼畜】

時刻が00:00になりました

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