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為せば成る、為さねば成らぬ。

何事も行動を起こさねば始まらない。とある若手の会社はその言葉をモットーに、とあるゲームを生み出した。

───────新しい世界を見たくて。そう言ったのは製作者。

ドリーム・ムーヴ・オンライン。その会社が生み出した最高傑作。他のVRの追随は許さない。

幾つものVRをゲーマー達はプレイしたが、やはり質が低くある程度の期間を過ぎれば過疎化する。どのゲームにも同じことが言えるが。

そのドリーム・ムーヴ・オンラインのβテスター達は今までのVRの中で一番現実との差がないものだと言いきった。勿論舞台感的なもので完全に現実と同じ、ということはなかったが。



とうとう手を出してしまった、というのが本音である。

様々な会社が販売したVR。気にはなっていたものの、これだというゲームがなかったのだが、ドリーム・ムーヴ・オンラインには心惹かれた。

心惹かれたのはそのVRの自由度の高さ。現実とさして差のない風景。唯一の難点と言えば、いちいち会社に自身の証明書を送らないといけないという手間くらいであった。その分成人済みの人間には十八禁開放、というのが情報として解禁されている。


なにはともあれ、手元に来たのでさっそくプレイしようと思う。



VR内で自分が使用するアバターの外見は殆ど弄れなかった。せいぜい髪色、髪の長さ、目の色、肌の色の変更程度でその他は現実の姿と大差のない見かけのものだった。完全な現実の顔でなくデフォルトはされていたが。詐欺の防止の為に致し方なく、と制作会社は伝えていた。

名前は『クラメア』。なんとなくで決めたので名前については意味とかはない。因みにスマホで確認したら予測変換で暗めアッシュと出てきた。解せん。

職業はずらりと一覧が並んでおり、そこから選べる仕様だった。私的にいちいちあるもの一つずつ吟味するのは面倒に感じた為、ランダムにした。ステータス、スキル等々については、はじめは自身では選べずランダムで10個セットされる仕様らしい。楽だな。

ふむ、必要な選択は完了した。名前と職の選択だけだったが。

キャラ作成完了後は、チュートリアルの空間へと飛ばされた。頬を撫でる風にVRのクオリティの高さを感じつつ表示された文字を読む。どうやら念じれば大体の事ができるらしい。はじめに表示されるのはメニューだが。

それじゃあと自身のステータスを見ることにする。メニューを開いてステータス、装備、ストレージ、掲示板、メール、フレンド、図鑑、ログ、GMコール、設定の中からステータスを選択。



クラメア Lv1 下位召喚魔法師

【ステータス】

功    3

魔    9

体    5

心    6

器    7

速    7

(ジョブ)スキル】

召喚魔法Lv1

【攻撃スキル】

刀術Lv1

【魔法スキル】

氷魔法Lv1

空魔法Lv1

【補助スキル】

回避力上昇Lv1

鑑定Lv1

再生強化Lv1

気配感知Lv1

忍び足Lv1

【特殊スキル】

幸運

直感

【称号】

堺の旅人


残スキルポイント:20



中々の性能だと思う。攻撃力が少ないといえば少ないが技術でカバー出来るだろう。

職はサモナー。今召喚可能なのかとチェックしたが、どうやら無理らしい。成る程、βプレイヤーがサモナー不遇説を説いていたのは育てる手間が必要以上にかかるからか。



【召喚魔法】

モンスターを召喚する魔法。

レベルはプレイヤーのレベルに依存。一体目召喚必要レベル5。

召喚されたモンスターの初期レベルは1です。



説明はこれだけだった。それにしても、一体目の召喚がLv5とは少しばかり難しい。その分大器晩成型の職なんだろうが。

そして他のスキルだが……とりあえずツッコませてくれ。何故初期段階から派生魔法があたる?氷魔法は水と風の派生、空魔法は光と闇の派生なんだが?

補助スキルは忍にでもなれと言わんばかりだな。なる予定は無いが。

特殊スキルは幸運と直感、ね。幸運は良いとして直感は自分にはあまりいいものとして認識出来ないな。いうならば料理を作る際適当に作るか計量スプーン等の料理器具を使うかの差だ。俺は料理器具を使う派。正直片付けが怠い。この説明は解りにくいか。

目の前に浮かんでいるチュートリアルを開始しますか?を再びスルーして、掲示板を開いてみる。おお、どうやらもうスレがたっているようだ。……ん?【公式】今だけ解答します【質問コーナー】ね。少し覗いておこう。



長々と掲示板にかじりついていた為か、掲示板を閉じた瞬間チュートリアルが開始された。yes/noの選択がなくなった。……どことなく説明する声が不機嫌だ。謝っておくべきだろうか?



≪───────説明はお聞きになりましたね?ではストレージ内にある、刀を装備して下さい≫



言われた通りに装備する。その後出現するモンスターと戦えとのこと。ん?案山子じゃないのか?

出現したモンスター……ノーマルスネークを見て少し顔を引き攣らせる。明らかにチュートリアル用の相手ではないと思うんだが。

うわー、とドン引きしている間に大口開いて飛びかかってきたノーマルスネークを刀で口を裂くように斬る。何故か星の様なものが斬ったノーマルスネークのまわりに散らばり、シャン!と音がしたうえ、critical!という表示が出た。この星は設定で消せるだろうか?うん、消せた。

なんてウザったいクリティカル表示なんだなんて思ってない。



「おっ、と」



倒したと思っていたが───────いや、新手が出現していた。グルグルと威嚇する明らかな高レベルのフォレストタイガーにどうしたものかと悩みつつ、刀を構えつつ突進してくるのを待つ。今の自分の速さでは普通に死ねそうだからな。

突進してきたフォレストタイガーをギリギリまで引き付けた上で一度前に刀を突き出す。少し怯んだので迷わずフォレストタイガーの側面に回り後ろ足の付け根を斬りつける。

かなり効果的な攻撃だったのか機動力がかなり下がった様でかなり対応が楽になった。反対側の足の付け根も斬りつけて確実に地面に這いつくばらせてからどうしようか悩む。

それにしても、18歳以上で外せる論理コードを解除したから大分グロいな。血が酷い。

刀の血を払えば、インフォが流れる。……チュートリアルだよ、な?



≪只今の戦闘に勝利しました≫

≪クラメアのレベルが上がりました≫

≪【召喚魔法】のレベルが上がりました≫

≪【刀術】のレベルが上がりました≫

≪【回避力上昇】のレベルが上がりました≫

≪クラメアのレベルが上がりました≫

≪【召喚魔法】のレベルが上がりました≫

≪【回避力上昇】のレベルが上がりました≫

≪クラメアのレベルが上がりました≫

≪【召喚魔法】のレベルが上がりました≫

≪スキル【見切り】を覚えました≫

≪ステータスを確認しますか?yes/no≫



yesを選択すればステータスが表示される。



クラメア Lv4 下位召喚魔法師

【ステータス】

功    6

魔   12

体    8

心    9

器   10

速   10

(ジョブ)スキル】

召喚魔法Lv4

【攻撃スキル】

刀術Lv2

【魔法スキル】

氷魔法Lv1

空魔法Lv1

【補助スキル】

回避力上昇Lv3

鑑定Lv1

再生強化Lv1

気配感知Lv1

忍び足Lv1

見切りLv1

【特殊スキル】

幸運

直感

【称号】

堺の旅人


残スキルポイント:23



どうやらスキルポイントはレベルが1上がる毎に1ポイント貰える様だ。ふむ、後で基礎魔法を2つほど選んで覚えておこう。他のプレイヤーにもよるが、なんとなく目立ちそうな気がするんだよな、派生魔法。

ステータスは全体的にプラス1。ポイントの表示がないから自分で調整出来ない。運営が極振りは出来ない、させないと言っていたからその対策も含まれているんだろう。

その後もチュートリアルは淡々と続く。施設の使用方法、ギルドについて。ギルドカードも今貰った。クエストを受注するだけでいいらしい。生産系については取得毎にチュートリアルをしますか?と出るらしい。まぁ、そんな感じで一時間程話を聞いた。



≪それでは、クラメア様≫

≪オールフェノーの世界をお楽しみ下さい≫



目の前にそう文字が浮かんだと思えばいつの間にか中々の広さの広場にいた。自分の背後には大きな円柱のオブジェ。なにかが乗りそうなところを見るとストーリーを進めればなんらかの変化が起きるのだろう。

掲示板を見ていた時間が長かったせいかオブジェのまわりに人がほとんど居なくなっていたのでそのままメニューを開く。メールに運営からのお知らせが3件。一つは第一陣の総合人数について。一つはオールフェノーの住人について。最後の一つはβからいるPKへの対処についてだ。これは先程掲示板で聞いた事なのでメールを開いて直ぐに閉じる。個人的な話だがメールにしろラインにせよメッセージが届いている時に表示される数字は消しておかないと気がすまない。


さて、これからどうしようかと一瞬だけ悩んで外へ向かう。歩きながらメニューを表示し、片手間に風と炎の魔法をとる。派生が出るなら雷だろう。いずれ魔法を全て取り揃えたいものである。因みにとるときに必要なスキルポイントは各々5ポイントだった。(残スキルポイント:13)

それにしても街が広いんだが。ログイン、というかチュートリアル終了後に出るオブジェから門まで歩いて十分近くかかるとか。

それなんて時間泥棒?



「おい、そこの」


「?」


「そう、お前だ」



門を通過する前に門番だろうか、厳つく中々の風格の男に引き留められた。掲示板の情報通りならこの人がいるここは西門か。じろじろと不躾に此方を見ながら口を開いた。



「この門の先の適正レベルは5だ。最低でも3になってねぇと……ん?お前もう4か。一人だとちと危ねぇがお前なら大丈夫そうだな。ま、堺の旅人の様だしそのへんは関係ねえか」


「いえ、気遣い感謝します」


「稼いでこいよ若造!」


「了解です」



さて、多少他の人より遅めなレベル上げに勤しむとしよう。西門の先、主なモンスターはウルフ系。自分はどこまで戦えるだろうか。わくわくしながら、一歩踏み出す。






運営ログ

*60606

時刻が6:00になりました

世界が開通しました

堺の旅人が入界を開始しました

チュートリアルを開始しました

チュートリアル無受講者を確認しました

称号【架けるもの】を確認しました

掲示板にスレをたてました

称号【yesロリータ、noタッチ】を確認しました

称号【闇夜に誘う誘蛾盾】を確認しました

称号【yesロリータ、noタッチ】を確認しました

南門が開放されました

堺の旅人が1000人以上入界しました

東門が開放されました

初の死に戻りを確認しました

称号【飛び込む馬鹿】を確認しました

スレ【くたばれ】称号について【運営】を確認しました

PKの存在を確認しました

称号【タイツの申し子】を確認しました

北門が開放されました

西門が開放されました

称号【yesロリータ、noタッチ】を確認しました

第一ゾーンの中ボス(1/2)の発見者が現れました

(初回のみログ)

スレ【特攻せよ!】モンスターウォッチ【特攻せよ!】を確認しました

称号【死に戻りの特攻観察者】を確認しました

運営よりお知らせメールを送信しました

運営よりお知らせメールを送信しました

運営よりお知らせメールを送信しました

住人によるPKKクラン【グレーゾーン】が制裁に赴きました

称号【はじめの薬剤師見習い】を確認しました

称号【はじめの鍛冶職人見習い】を確認しました

ギルドの任務達成者が現れました

(同時に達成されたため称号はロストしました)

称号【男の娘】を確認しました

時刻が12:00になりました


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