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偏差値70の救世主達  作者: 橋上誠
6/7

最初の覚醒者

それは初めての感覚。間違いない事がハッキリと分かる。森の中を疾走しながらも思考を止めない千石は違和感の正体に気付いていた。


あの土の手がねじ曲げられた理由。

誰かに助けられたわけじゃない、自分がやったという感覚がハッキリとあった。


走り続けながら直線上にある木を曲げるイメージをする。


ありえない…。

さっきほどぐにゃぐにゃではないが木は音を立てて曲がり始めたのだ。


走りながら思い返す。最初にこの世界に来た時のこと。

崩れる建物。階段を駆け上がるクラスメイト。その中で目の端で捉えた。2人降りて行くやつらがいた。秋間と、榎田!あいつらはどこへ?強い疑問を抱いた時身体が浮くような感覚を覚えた。


気がつくと中世の民家のような建物の中にいた。


「お前は千石!なんでここにいるんだ?」

榎田の声が左から聞こえ、咄嗟のことに思わず後ろの壁に肘をぶつけてしまう。


「痛って」

千石はしばらくうずくまり痛みを堪えながら夢ではないことを実感する。


「お前こそ、なんでここに。」

うずくまりながら振り絞った声で問いかける。


「それはこいつが…」と言ってベットに横たわる秋間を見る。


秋間はなんだかんだキレるやつだ。そんなイメージを持っていたのは千石だけではないはずだ。

なんとなくで状況を理解した千石も榎田達と別れてからの10分間を大まかに説明する。


「神の加護?あのじいさんがそう言ったのか?」


「お前が言ってたさっきの力が神の加護ってやつなのか?」


「少ない情報ではこれくらいしかたどり着く結論が無い。」


「わかってる、ただ今はあいつらを助けに行かねぇと。」

榎田はこういうやつだったんだ。そんなに長い間いたわけじゃ無いが、初めてクラスメイト本質を見た気がした。


「言いたいことはわかる。だがあいつは…無理だ。」

今になって蘇るあの恐怖、逃げ切れたことの幸運。ヘタレなのかおれは?それでもあの場に戻りたいとは思えない。


「さっき向こうで爆音が聞こえた。そう遠く無い、お前の話では32人を連れ去ろうとしているんだろ?今しかチャンスはないんだ。頼む、協力してくれ。」


今までの恐怖、あれを他のみんなは味わい続ける。助けに行って無駄死に、そんなの真っ平だ。だが、そんな罪悪感を背負って生きるのなんて嫌だ!!そう、一瞬でも思ってしまった。


「わかった。おそらくおれはこの力を使えるようになった。さっき瞬間移動したのももしかしたら再現可能なものかもしれない。」

覚悟を決め、表情を変えた千石を榎田は理解していた。

千石はそのまま扉を開けて外に出る。外に出てもう一度強く念じる。榎田を思い浮かべる。気付くと小屋の中に戻っていた。目の前には榎田が座っていた。

「決まりだな。」

榎田は続ける。

「このちからで今すぐ奴らの元に飛び、あいつらが逃げる時間を稼ぐ。それでどうだ?」


「随分人任せな作戦だな。」


やるしかないことはわかっていた、それはおれにしか出来ない。ヘタレのおれにしか。覚悟を決めれば意外とビビらないもんなんだな。そんなことを考えていると問いかけられる。

「おれも一緒につれて行けるかどうか試せるか?」


「ああ、恐らくな。おれが触れているもの、今の自分の一部だと認識しているものは同時にテレポートできるようだ。その証拠に服やポケットの中身の小銭も置いて来ていない。」


「はやくいくぞ!」そう言って腕を掴んでくる榎田を自分の一部だと認識しなければならない事を億劫に感じながらも思考を研ぎ澄ます。こいつはおれの一部。そして、見慣れた学級委員長の顔を思い出して見る。


また身体が浮くような感覚。

「いくぞ!!」

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