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偏差値70の救世主達  作者: 橋上誠
4/7

魔法使いの恐怖

こういう時に何をしたらいいのか、おれは知っている。そう、情報収集だ。とにかく行動を起こすためには情報がいる。情報が多ければ多いほど正しい判断が下せるし、きっと戦況を有利に進められる。


とくにこういう分けのわからない状況下において、情報収集は必須条件。とにかく、


救世主、魔法、個人スキル


この3つのワードについて詳しく理解する必要がありそうだ。


現実世界ではコミュニケーション能力に乏しいであろう自分に不安を抱えながらも、


バン!

と勢いよく扉を開ける。そこには見たことない風景が広がっていた。布でできた屋台が並び、たくさんの見たこともない服装をした通行人達で賑わっている。奥にはレンガ造りの階段、民家が広がっていた。




しばらくの間感銘を受けていた洋平だったが、キッと表情を改める。


「あ、あのすみません」




一方その頃


おれは本山ケンジ。今おれは、人生で2番目くらいのピンチに直面していた。


数十分前におれたちは地下教会の崩落を恐れて地上へと脱出していた。


「なんだここは!」


大河は面白いほど驚くなあ。絶対ドッキリにかけられたら1番面白いタイプだな。


なんて心の中で小笑いしている梶原もその景色を見て驚きを隠せなかった。



「え!普通にすげえ!」



城があった。草原が広がっていた。確かに驚いても仕方がなかった。だが、おれたちは感銘を受ける前にあの地震の原因について考えるべきだったんだ。



ちゅドン!


500メートル先くらいだろうか、なにかが落ちたような音と爆風が伝わってきた。


「なんだ?」


遠くから馬に乗った鎧を身に付けた騎士らしき集団が迫ってきているのが見える。


「おいおい嘘だろ。」


近づけば近づくほど馬の走る音が大きくなっていく。呆然とする33人の前で、馬にのった騎士団らしき集団は誰1人として列を乱すことなく止まった。


1番先頭で白馬に乗った隊長らしき人物が口を開く。


「なんだ貴様らは!見慣れない格好をしているが、まさかレミリアの一味ではあるまいな!!」



よくは理解できないが、恐らくこの学校制服がまずかったのだろう。それでもなにかの誤解をしているみたいだから解かないわけにもいかない。


「違うんです!ぼくらは、その、救世主で、何をしたら良いのか全然わからなくて」

ビビリなのはいただけないが、

こういう時に1番最初に久保田はすべき事をしてくれる。さすがは委員長なだけある。


「なに!?救世主だと?

(噂には聞いていたが、見慣れない異国人の格好をした救世主が近々現れるというのは本当だったのか)


まあいい、とにかく王都まで来てもらう!事情はそこで説明してもらおう!」

騎士が久保田に手を伸ばしたその時。


「見ぃ〜つけたあ〜」


全員の耳元で女の子の声が聞こえた。


途端、地面が揺れ始める。さっきより強い地震だ。梶原は立っていられなくなりその場に伏せる。


すると前方の地面が、ものすごい轟音とともに割れ始めた。


そこから現れたのは、小柄な体をフード付きの黒コートに包んだ少女であった。あろうことかその少女は浮遊していた。それだけで梶原の脳みそはいっぱいいっぱいだった。




またしてもただ呆然とするだけの33人に対してか独り言か彼女は喋り出した。


「噂はほんとーだったんだねー!ハル様の言う通りだ!さっさとお連れて帰るのが今回のお仕事お仕事!」

光る掌をこちらへ向けてなにかをしようとする彼女を、後ろの騎士団が黙って見ているはずはなかった。


気付くと隊長らしき男は既に空高く舞い上がり、背後から彼女に斬りかかる体制に入っていた。

すると彼女はフフっと笑い、

「単刃騎士の分際で、このボクに勝てると思ってるの?」


と呟いて口を引攣らせ、こちらに向けていた掌を返し、人差し指をスッと立てた。



その直後、梶原は一瞬何が起こったかわからなかった。


梶原は生暖かい何かの感触とともに目の前が真っ赤に染まった。

何かが降ってきた?上を!


空中にいた騎士は地面から生えた土の槍に鎧ごと胸を貫かれ、おびただしい量の血を飛び散らせている。




『冷静さ』はすでに梶原の頭からは騎士の血とともに飛び散っていた。


理解していても思考が停止する。したくない。息遣いが急に自然に出来なくなる。立てない。動けない。逃げなきゃ。逃げなきゃ。逃げなきゃ。



少女は満面の笑みを浮かべ、うつ伏し、震える33人の救世主を見下す。

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