魔法と神の加護
視界の揺らぎが収まってきた。
どうやらここは、民家?なのか?
民家とは言ってもおそらく中世ヨーロッパといったところだろうか。レンガ造りの壁に、暖炉、木の椅子と部屋の隅にベッドがあるな。
周りを見渡し目を擦る。視界の端にまた特徴的な赤みがかった髪が写る。
「秋間!」
倒れ込んでいる秋間を見つけた動揺でつい声を荒らげる。
「ほほう、この段階でもう転移魔法を発動できますか。その子、なかなかの才能をお持ちですよ。まあ、エネルギーを使ってしまって眠っているだけですからご安心を」
顔を上げるとそこには先ほどの神父が立っていた。なるほど、よく見ると眠っているように見えて洋平は少しだけ安堵する。
その様子を見て神父は、ほんの少し口元を緩める。
「この世界では呪文を口にすることで自らの生命エネルギーと引き換えに『魔法』なるものを発動する事ができます。
ですが、発動するためには術式が必要です。当然、先程の呪文にも術式が用いられました。
彼は私の足元にあった術式に気付いたのでしょう。
状況判断力、分析力、魔法の発動能力のどれを取ってみてもあの中の誰よりも優れております。」
いよいよにわかに信じがたい話が現実的になってきた。
秋間が魔法?に気付けたのは納得がいく。でもな
ぜわざわざ危険を冒してあの階段を降りる必要があった?あのまま地上に出ることになんの問題がある?
「それと最後にもう1つだけ、
その魔法とは別に皆様には『個人スキル』が与えられています。
個人スキルは誰もが持っていますが、
皆様の個人スキルは、全員が最上級の神の加護。
そして救世主候補の35人にはそれぞれ違う神の加護がなされています。
おそらくあなた様が今お考えになっていた事と何か関係があるのではと思いまして。」
神父はニッコリと笑い。洋平も引きつりながらも満面の笑みを浮かべると、また神父は透明になって消えていった。
それから部屋にあったベッドに秋間を寝かせて、洋平はしばらくイスに座って考え込んだ。
「はあ。なんか逆にめんどくさい事になったわ。」




