四日前 その二
〜回想〜
俺は学校に馴染めていなかった。
今年から通いはじめた公立高校は、決して雰囲気の悪い場所ではない。
この学区内では、最も学力の高い学校だ。そのため、この学区では、
数多くの学生がここを目指して日夜努力している。
そんな誰もが憧れる学校に入った俺は、本来なら喜ぶべきだろう。
少なくとも、中学卒業前までなら、俺は大喜びしていたはずだ。
中学時代の俺は、生徒会に所属し、学校行事にも積極的に参加する、
『お祭り男』だった。
そんな俺が変わったのは、両親の一言だった。
【公立に落ちたら働け、お前にかける金はない】
その言葉を聞いた時、俺は愕然とした。
そして、恨んだ。俺を認めなかった両親ではなく、全てを奪った兄を・・・。
その言葉を聞いてから、俺は自分の存在価値を探し始めた。
そんなことを考えながら入学したら、暗い雰囲気がでていたのだろうか、
誰も寄り付かなかった。
さらに追い討ちをかけるように、雪華と兄貴が付き合っていると知って、
兄貴への憎悪は増大し、そんなことを考える自分が嫌になっていった。
〜回想終了〜
兄貴が出て行くと、思わずため息が出た。
ここ数ヶ月、俺と兄貴の関係はボロボロだった。
何をしても認めてもらえない。全てを兄貴は上回っていた。