湖の主
ダンは、サーシャの訓練をしながら、森を進んでいった。
先を急ぎたいダンは、湖をボートで渡ることにした。
サーシャを乗せ、湖に漕ぎ出すと、辺りの空気が張りつめるのを感じた。
湖面に波紋が広がり、ボートが大きく揺れたあと、
轟音と水しぶきとともに、湖の主、アクアビーストが姿を現した。
ダンは、オリオンをかざし、
「鎮まりたまえ!我が名はダン=シュトラール。先を急ぎたい。湖をわたらせたまえ。」
しかし、アクアビーストは主であるがためにヴァイラス帝国の不穏な空気にあたり、正気を失って、魔物に成り下がっていた。
ダンは、対話を諦め、討伐を選んだ。
アクアビーストはボートに突進してきた。サーシャを守るためにボートを沈められるわけにはいかない。
ダンは、湖に飛び込み、オリオンに気をため、アクアビーストに一気に放った。
アクアビーストの動きが止まり、ダンは、迷わずアクアビーストに破壊魔法を唱えながらオリオンを振りおろした。
アクアビーストは消滅し、光る魔石が残された。
ダンが、光る魔石を手にとると、聖獣の力がダンに宿り、聖獣アクエリアスを召喚できるようになった。
サーシャが待つボートまで泳ぎ、湖を渡りきった。
サーシャは金髪だったダンが銀髪にかわっていることに驚いた。
ダンは、
「聖獣の影響だ。」
と短く答えた。
聖獣の宿りし者、その命、聖獣のものなり、、、
古い言い伝えはあえて語らずに。
「さあ、この道を行けば、エアシューターが待っている。もうすぐだ。」