森にて
ダンは、
「この先の説明をする。タリス共和国はヴァイラス帝国の裏側にある。歩いて行ける距離ではない。森を抜けた所に、俺のエアシューターが隠してある。それに乗って、紅の海を越えて、タリス共和国に入る。あの国は平和だから、エアポートが使用できる。エアポートには大長老の使いが待機しているから、その使いに大長老のもとまで案内してもらう。
使いの目印は白く光る杖だ。覚えておいてくれ。
使いはナーシャ様の顔を知らない。もし、俺がいない状態で接触する時は、皇女の印を見せればいい。」
ナーシャは、
「ダンがいない状態って?大長老の所にダンが連れて行ってください。いないなんて、いやです。」
ダンは、
「万一の時のためだ。情報は共用しておいたほうがいいからな。」
ナーシャは、
「はい、そうですね。まずは森を抜けるんですね。」
ダンは、
「この森の魔物は弱いから、ナーシャ様にまかせるよ。クリスタルの剣ならば当てるだけでいい。」
ナーシャは、びっくりして、
「私なんかに倒せません。実戦経験ないんです。」
ダンの後ろに隠れようとするが、ダンに避けられ、そこにスケルトンウルフが現れた。
ナーシャは目の前のスケルトンウルフに足がすくみ、ただクリスタルの剣を向けたところ、偶然かすめ、スケルトンウルフは、砕け散った。
ダンは、
「さすがナーシャ様。強いじゃないか!」
と拍手された。
ナーシャはダンに褒められたことがうれしくて、
思わずダンに飛びついた。
ダンは、しっかりと抱きしめ、
「この調子でがんばれよ。」
と頭をなでて、はなれた。
ナーシャは心臓が飛び出るくらいドキドキした。