秘密の通路1
ナーシャが支度をはじめると、ダンは
「これに着替えてくれ。大長老の魔力が宿っている。ご加護があるだろう。」
渡されたのは白の羽根付き帽子と白の鎧と白のブーツだった。
ナーシャは皇帝から授かった癒やしの繭から作られたブラウスとボトムの上から、それらを身に着けた。
胸には帝国皇女の印の魔石のネックレスが輝いている。
ダンは
「来た通路は警戒が厳しくなっている。宮殿の秘密の通路をつかうが、その通路の扉までは強行突破しかない。覚悟はいいか?」
ナーシャは
「はい。ただ、この寝室には私の剣がありません。その剣は向かい側の客間の壁に飾ってあるんです。私が剣術を学びはじめた時、大長老から頂いた剣なのです。」
ダンは
「その剣は俺が回収してくる。それまで魔法陣の中で待っていてくれ。」
ダンは魔法陣を魔法剣で床に描き、その真ん中にナーシャを立たせた。
するとナーシャの姿が消えた。
ダンはそれを確認すると、ダンの魔法剣オリオンをぬき、向かい側の客間に向かった。
扉を開け、通路に出た瞬間、警備犬が襲ってきた。
ダンは落ち着いて、サイレスを唱えながらオリオンで警備犬を倒し、客間に入った。
ナーシャの剣を手にとると、ダンは剣に魔力を感じた。
どうやら魔力が解放されていないようだ。
ダンはオリオンをかざし、魔力解放の呪文を唱えた。
すると鉄の剣がクリスタルの剣にかわった。
ダンはナーシャのもとに戻り、クリスタルの剣を渡した。
ナーシャは、
「きれいな剣、、、。魔力ね。ありがとう。これで戦える。」
ダンとナーシャは秘密の通路に向かった。
秘密の通路は宝物庫の奥の隠し扉から入る。
宝物庫まで行くには大階段を降りなければいけない。
ダンが先になり、進んでいくと、警備犬と戦闘になった。
吠える前にサイレスを唱え、倒していく。ナーシャは必死にダンについていく。
幸い、警備兵に出会うことなく、宝物庫に着いた。
ダンは秘密の通路の扉を開けた。
むっとする重苦しい空気が漂う。
ナーシャは不安げに、
「ここ、大丈夫なの?なにかを感じるんだけど、、、」
ダンは
「古い通路だ。魔物たちの気配がする。俺から離れるな!」
ナーシャは緊張を隠せなかった。