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決断
静かなる村はヴァイラス帝国の最北端にある別名魔力の村という。ダンは大長老の甥で、剣術魔法の達人でもあった。ナーシャのもとに容易くこれたのも魔法の力によるものだった。
手紙には
タリス共和国にて待つ。ダンを護衛にすべし。
とだけ書かれていた。
ナーシャは大長老のことを尊敬していたが、ダンは初対面であり、なにより内戦のさなか、自分が帝国を離れることに抵抗を感じた。
迷うナーシャにダンは言葉をかけた。
「大長老は争いをおさめる方法を見つけたんだ。大長老を信じて俺についてきてくれ。一刻を争う。今夜のうちに出発だ。」
ナーシャはダンの真っ直ぐで澄んだ瞳に対して、素直にうなづいていた。