エアシューター
ダンは足早にサーシャを抱きかかえたまま、エアシューターへと急いだ。
集落の惨劇の犯人がわからない今、一刻も早く、この地域を離脱する必要があった。
ダンはステルスのスイッチをオフにした。
すると最新鋭のエアシューターが姿を現した。
エアシューターのドアを開けると、コロン族のリーダが出迎えた。
コロン族は見た目はウサギのような容姿をしているが、メカに強くほとんどの物を修理できる能力がある。
リーダはサーシャを見て、
「この人がお姫様コロ?なんで寝てるコロ?」
ダンは、
「ちょっと気絶しているだけだ。リーダ、ザイケンは?気つけ薬が必要だ。」
リーダは、
「ザイケンならコックピットだコロ。呼んでくるコロ。」
ダンは、
「A寝室にこさせてくれ。」
リーダは、急いでコックピットに向かった。
ザイケンはタリス共和国出身の薬師兼副操縦士。まだ18だが技術は天才的だ。
リーダに話を聞き、気つけ薬を持ってA寝室にやってきた。
ダンは、
「ザイケン、頼む。悲惨な光景を見て、気絶した。」
ザイケンは、
「きれいな眠り姫だな。ダンの好みじゃなーい?」
ダンは、
「無駄口はいいから、手当しろ。」
ザイケンは、ハイハイと言いながら、気つけ薬をサーシャに飲ませた。
ダンがサーシャの顔を覗くと、サーシャはパチっと目を開けた。
ダンの顔の近さに驚き、跳ね起きた拍子にダンの胸に飛び込んでしまった。それと同時に、集落の惨劇を思い出し、泣き出した。
ダンは、サーシャをぎゅっと抱きしめた。
それを見てザイケンは部屋を出た。
「いいよねー、色男はー」
ダンは泣き止まないサーシャに、優しく口づけをした。サーシャはダンに身を委ねた。言葉ではない方法で癒しあう2人だった。