はじまりの出会い
サリバース紀777年。
カノアール星タリス共和国には平和な時が流れていた。
反して、タリス共和国の裏側にあるヴァイラス帝国では皇帝暗殺事件により、覇権争いが勃発。
帝国は皇帝の弟50歳のアガシ副皇帝派と皇帝の長男22歳のタイラス皇子派に別れ、内戦状態となっていた。
内戦のさなか、ヴァイラス帝国の元老院は20歳の皇女ナーシャこそ正当な後継者であると表明。
内戦は三つ巴と化した。
アガシとタイラスとは異なり、ナーシャは担ぎだされたものの、本人の意志ではなかったので、戸惑うばかりだった。
しかし、ナーシャはその美貌と生まれつき持っている魔力による癒やしの力を帝国民のためにおしげなく使ってきたことによる帝国民の支持が強く、元老院は自分達の保身のためにそれを利用し帝国の実権を我がものにしようと画策しことを勝手にすすめていった。
ナーシャは争いをおさめる方法を必死に探した。
叔父のアガシにも、兄のタイラスにも話し合いの親書を送ったが、使者の遺体が帰ってくるという悲惨な結果だった。
そんな中、厳重な警備を容易くかいくぐりナーシャが唯一1人になれる寝室に、帝国の静かなる村の大長老からの手紙を持った20歳のダンという青年がやってきた。
ナーシャは驚いたものの、大長老のことは尊敬していたので、ダンから素直に手紙を受け取った。