朝霧兄妹とみなもの従妹
リクエストにお答えてしておりまする~!
「あれ、みなも姉ちゃん?」
「ん? みなも? ここで出会うなんて用事か?」
「いやいや、私はみなも姉じゃないですっ!……ってもしかして、あなた達がみなも姉がよく話していた方ですか!?」
商店街を歩いていると裕香がみなもに似た人物を見つけて声をかける。
裕樹もそれに気づいて近寄るとみなもに似た人物は慌てたように手を横に振りつつ、ふと思い出したのか二人を見つめる。
そのさい金色の長いツインテールがさらさらと揺れ、アホ毛はぴん、と伸びて驚きを顕にしているように見える。
「話していたって。 それは俺達だけど」
「みなも姉ちゃんの妹さん? なら、似ているのもわかるけど」
「そうですか! いつもみなも姉がお世話になっております! いいえ、私は妹ではなく従妹なのです。
みなも姉の父さんの妹がうちの母でして、似ているのは私にもわからないんですよ
あ、申し遅れました! 涼宮ひなたと言います、よろしくお願いします」
目をパチクリさせる朝霧兄妹を見てみなもに似た少女――ひなたは笑顔で言うと自分のことを説明する。
まず、母のことを述べてから似ていることは不明と答え、自己紹介をした。
「ああ、こちらこそ妹の裕香がよくお世話になっているよ。 俺は朝霧裕樹だ」
「お世話になりました! 妹の朝霧裕香です」
「あなたが裕香ちゃんですか、可愛いですね♪ それであなたが裕樹さん、噂はかねがね聞いております」
裕樹は慌ただしく説明し自己紹介する彼女にくすり、と笑いながら自己紹介を返す。
裕香も続いて自己紹介をしてお辞儀をする。
しゃがんで裕香に視線を合わせてから微笑み、次に立ち上がって裕樹を見上げて言った。
「噂って、聞きたくはないが」
「あ、そんなにひどい内容ではないですよ? みなも姉から聞いていた印象とピッタリでしたし」
噂という言葉に難色をすめすが、苦笑を浮かべてひなたは言う。
「……どんな印象って言われていたんだ」
「きっと良い印象だよ!」
「はい、頼もしくて妹想いの良いお兄さんだって教えてくれましたよ」
裕樹が悩みながら言うとフォローするように笑う裕香。
ひなたはにこにこ笑顔で裕樹を見つめて伝える。
「さすが、みなも姉ちゃん!」
「なんかそう言われると照れくさいな」
「ふふ♪ みなも姉が良い人達と友達になっていてよかったです。
……本当は少し心配でしたから」
裕香は嬉しそうに笑い、裕樹は照れくさそうに頬をかいている。
ひなたがにこにこ笑顔で言ってからぽつりとつぶやいた。
「心配?」
「はい! なんていったって、お人好しなところがありますからね! 困っている人と困っていない人の区別がついていないところが妹分としてはかなり心配だったんですよ!!
でも、お二人がいるなら大丈夫ですね♪」
裕樹の問いにひなたは笑顔でみなものことを話し、語るように言う。
それは本当にみなものことを心配している心からの声であった。
「ああ、そういえば……」
「そんなこともあったね…」
「はい、だから……早く学園都市に行きたかったんですけど、なかなか日付が決まらなくて来るのが遅くなったんですよ」
裕樹と裕香は思い出すように頭の中に浮かんできて遠い目をする。
ひなたは苦笑を浮かべて頷いてそう言った。
「じゃあ、それまで忙しかったんだな」
「はい、母さんも父さんも共働きですからね。 家族揃って話し合う時間がとれなくて」
「それは大変だったね」
裕樹が言うとひなたは頷いて困ったように笑う。
裕香は宥めるように手を握って見上げていた。
「大変でしたよ。 でも、やっと来れたのでこれでお二人とも会えますね♪
実はみなも姉の話を聞いていて会ってみたいな~と思ったのはお二人だったんですよ」
「え、そうなのか?」
「なんか、それはそれで嬉しいかも」
感慨深げに頷いてからにっこりと笑って裕樹と裕香を見つめて言う。
驚いたように目を丸くする裕樹と照れる裕香。
これが朝霧兄妹とひなたの出会いであった。
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