富士也の悩み
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「……おりいって相談があるんだが」
「フジくんに集まる中級精霊たちのことでしょ? かなりの好かれようだよね」
真面目な顔の富士也につぐみは苦笑しながら言った。
まあ、見ているだけで集まっているのがよくわかるのだが。
「ああ、男性型の中級精霊がとりなしてはくれるんだが、見ていないあいだにくるから困るんだよ」
「女性型中級精霊のスキンシップが激しいもんね」
肩をおとしながらぼやく富士也に苦笑を浮かべるつぐみ。
まあ、それだけこのイトコを好いてくれていると思えばいいことなのだが。
このままではあまりにも不憫すぎると思うのだった。
「率直からいえば、富士也が優しすぎるからやない」
「だね、少しはキツメに注意しないともっと激しくなるよ?」
「ぐっ……」
話を聞いていた深紅と響が呆れたように言う。
富士也はそれを言われるとなにも言えない様子だった。
「で、でも、それだけ優しいということじゃ」
「甘い! みなもは甘すぎるよ! だから、わんこが図にのるんだからね!」
苦笑を浮かべたまま言うみなもにあいりは人差し指を向ける。
「そうね、涼宮さんは優しすぎるからね。 しつけくらいしないと」
「しょ、しょんなことないでひゅ!? てか、しつけってヒーくんを犬扱いですか!!?」
霜月もあいりに同意するように頷いて珈琲を飲む。
「まあまあ、本題からかなり離れているから。 とにかくフジくんが距離を縮めすぎないようにするしかないよ」
「距離が近すぎると言われてもな」
つぐみは場を収めて言うと困ったような顔を浮かべる富士也。
「フジーヤ、好きナ人いナいデす? ソの人ノこト考えテみタ方がイいデすヨ」
「好きな……人」
明香が首をかしげて問いかけると富士也は前の学校で出会った女子を思い浮かべるが、首を振る。
自分の勘違いかもしれないという予測があるからだろう。
「なになに、フジくん。 好きな人いるの? だったら応援するよ! そうだよ、その人ことを見せて受け入れさせようよ、おなじ優しさに惹かれた者同士だからわかりあえるかも!」
「せやな、その子がおれば過剰なスキンシップもなくなるやろ」
「元はといえばそんな異性がいないからそうなったんだもんね」
つぐみが笑顔で近寄りながら言うと深紅と響も笑みを浮かべている。
「い、いや……ただ気になるだけっていうか」
「どんな人なの?」
富士也は慌てて手を振りながら言うが、問いかけられてしまう。
興味しんしんの様子で富士也を見ている。
「い、言えるかー!!」
「ちっ、逃げたようやね」
「逃げ足の早いイトコさんだね~」
脱兎のごとく走り出す富士也を見て舌打ちする深紅とにこにこ笑顔の響。
「うーん、聞かないほうがよかったかな?」
「それは当然かと、本人の問題でしゅし」
「キっトいつカわかリまスよ♪」
つぐみは苦笑を浮かべて言うとみなもも苦笑を浮かべる。
明香だけは笑みを浮かべて見送っていた。
今回は富士也の悩みのお話でした☆




