光一とみなもとシラヒメ
「光一くん、後でシラヒメちゃんとの絵を書かせてね」
「俺とシラヒメの? まあ、いいけどな」
「わんわん!」
スケッチブックを手に歩きながらみなもが笑顔で言うと驚きながらも了承する。
足元にはシラヒメがおり、楽しそうに歩いている。
二人と一匹が通り過ぎる度に光一へと男性からの嫉妬の視線が集まる。
みなもが綺麗だからというのもおっとりしているというのもあるから余計に集まるのだろう。
困っているひとがいたらほっとかずにすぐに向かい、手伝いをするということもあり知らぬ人はいない。
まあ、困っているフリをして連れ込もうとする輩もいたりする。
ちなみにその場合は光一が牽制することでその場から逃げているのだ。
「今回こそは普通に絵をかいて終わらせてくれよ」
「そ、そうそうおんなじことしないよ?」
光一の言葉にみなもは宣言しつつも言いよどむ。
こうして一緒に出かける度に困っている人と遭遇することが多くたいていはそれで時間が潰れるのだ。
「どうだかな、前なんて困っている人を助けただけで時間がなくなったじゃないか」
「あうぅ、それはごめんなさいっ」
歩きながら呆れたように光一が言うとしょんぼりしながら謝罪するみなも。
暫くして公園につくと芝生に座り、スケッチブックを取り出して光一とシラヒメの絵を書き出す。
「ほんと、絵をかくの好きだよな」
「私にはそれしか取り柄がないから」
「わんわん!」
光一に言われて困ったように笑うみなもと光一の膝の上にお座りするシラヒメ。
その姿を見ながら絵をかいていくみなも。
それはとても楽しそうに書いているように見える。
「そういえば、コンクールに入賞したんだって?」
「あ、はい。 他にもいろんな素敵な絵があったのにわたしのを選ばれるなんて驚きました」
光一がシラヒメの頭を撫でながら、思い出したように聞くとみなもは笑みを見せて笑顔で答える。
シラヒメは気持ちよさそうに目をほそめている。
「いや、当然の入賞だったと思うぞ?」
「そ、そうれしょうか? 私よりも素敵な絵があったと思ったんでしゅけど」
光一はそう言いながらみなもを見つめるとみなもは照れながら言う。
そんな会話をして絵を書き上げるみなも。
「絵、できたのか?」
「はい、上手にかけれました!」
「わん♪」
光一が立ち上がり、問いかけるとみなもは笑顔で頷いて見せる。
シラヒメは絵をみて嬉しそうに尾を振りながら鳴く。
みなものスケッチブックにはいろんな絵が書かれている。
風景だったり人物画だったりと、色々だ。
「じゃあ、散歩の続きとするか」
「はい、そうしましょう!」
「わんわんわうーん!」
二人と一匹は再び歩き出した。




