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夢でみた妄想話

暗い夜更けでただ雨の中を歩く人影が二つ。

一人は少年でもう一人は少女くらいの歳だということがわかる。

感情のかけらがみられないくらい無表情でなにを考えているのかわからない。

よくよく見れば少年と少女は同じ顔立ちをしているので兄妹だと思われる。

服装は黒いローブを着ているくらいしかわからないが手にはなんらかしらの光るものが握られている。

少年と少女の手に握られていたものは日本刀が二つと少女の身長より大きい西洋剣のようなもの。

雨が二人の髪を身体を濡らしていくが、身動きもしていないのがわかる。

二人の視線は真下に向けられているようだ。

だが、そこにはなにもないように見えるが二人にはなにかが見えるらしい。

少年がなにごとかつぶやくと腰を下げて日本刀を片手で持ち、居合抜きで抜き放った。

紅蓮のような炎が日本刀に宿っており、そのままなにもない場所へと振り下ろした。

すると悲鳴のような雄叫びがなにもない場所からあがった気がした。

それでも少年と少女は顔色ひとつ変えずに佇んでおり、興味がなくなったかのように剣と日本刀をしまうと違う方へと踵を返して歩き出した。

二人が去った後にはやはりなにも残っておらず、後から警察が来て周囲を見るがなんら変化もなかった。

その為すぐに警察がパトカーにのり、さってしまう。

雨が降りしきる中、無音がその場に満ちているようである。

そして、二人の少年と少女の姿を目撃する人物もまた、いなかった。

ひとごみの中を歩いているというのに気づかないというのはかなりの異常だといえるだろう。


~~~~☆~~~~


翌朝、宵闇の中を歩いていた兄妹はというと、いまだに夢の中。

目覚まし時計がなっているのに気づいていないようである。

そんな二人を起こす者が玄関から入り、階段をのぼり、まずは兄の部屋が蹴り開けられる。

だが、それでも部屋の主は起きる気配もない。


「おっきろー!!」


そんな彼に気にすることもなく肩を掴み、小刻みに揺さぶる。

手馴れたとはこのことだろうか。


「……後、5分」

「だめ! ご飯冷めちゃうことになるでしょ!」


少年のうめきに似た返答に即答で却下している。

彼の扱いには慣れているようである。

それを聞けば渋々と起き上がる黒髪の短髪の少年。

黒い服が好みでいつも漆黒色の服しか着ないという変わった少年だ。


「いつもいつもご苦労さまだな」

「そう思うんなら早めに起きてよね」


あくびを噛み締めつつ答える少年に水色のセミロングの少女が呆れたように告げつつ、布団をめくる。

そこには少年の妹がしがみついていた。

少年と同じく黒髪だけど長くて腰くらいだと思われる。


「んで、この子もいつもどおり部屋を抜け出しているわけで」

「そのわりには怒らないよな、さやかは」


呆れながらつぶやく少女―――さやかに視線を向ける少年。

いつもどおりという発言からさっするといつものことなのだろう。


「あんたら相手に怒ってたら幼馴染なんて続かないからね」

「そりゃそうだ」


布団から引き剥がしながら話す少年とさやか。

その間に少年の妹が目をこすりながら起きる。


「……おお、ふぁんたじっく。 また兄さんの部屋に転移していた」

「その癖直さないと駄目だと思うな~」

「だよな、まあ治ることがなさそうだけど」


驚いたように言うが表情が動いておらず、そんな少女に呆れるさやか。

少年は同意するが、治ることは難しいだろうとつぶやいている。

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