猫に埋もれる二人
休日なので野良猫に会いにきた秀久と秋斗。
二人は親友でもあるのでよくこうやって猫が集まりそうな場所に来ていたりする。
とはいっても最近は寒いのでなかなか見当たらないのが悩みのたねなのだ。
まあ、寒いと思う猫たちの為に猫部屋を二人がある人物に頼んで用意もしているので。
そこがいまでは野良猫たちのすみかになっている。
「今日も、元気いっぱいだな」
「そうだね。 えっと、用意したもので不足分はないね」
そう言いながら二人はエリザが用意してくれた敷地にある猫屋敷へと脚を踏み入れる。
すると、ドドドドドっという音が響いてきた。
言わなくてもわかると思われるが、その音の持ち主は……野良猫たちだ。
もの凄い勢いで走って秋斗と秀久に向かって来ているのがわかる。
「秋斗、猫に好かれすぎだろ」
「いやいや、秀久もでしょ」
大勢の猫たちに囲まれて苦笑を浮かべるが、それでも猫たちは愛らしく鳴いてすりすりと擦り寄っている。
その仕草にきゅん、としない二人ではない。
膝をついて猫達を撫でるのだが、猫が我先にと二人の足にのり、寝転ぼうとしてたり。
足にすりすりと甘えていたりなどをしている。
『にゃ~♪』
『うにゃ~♪』
まるで遊んで遊んでというような甘い鳴き声をあげる猫達。
そんな猫を見て彼らが遊ばないという手段は取らないこと間違いない。
「ほらほら~♪」
「あ、いた! こら!」
猫じゃらしで遊んであげている中、背中に飛び乗る猫もいるので大変ではあるが、二人はいつも楽しそうである。
なぜ、こんなに猫達がいるかというと、昼寝している時に猫達が寒くないようにという気遣いなのか秀久と秋斗が埋もれるほど乗っかっていたことがあってかなり懐いてしまっているのだ。
「秋斗くん、だいじょ……うわ!?」
「ヒーくん、お昼をってうにゃ!?」
そこへつぐみとみなもが猫部屋の扉をあけて中にはいると、これまた猫達に取り囲まれてしまう。
この猫達は秋斗と秀久も好きだが、つぐみとみなもも好きなのである。
だから、音を聞きつけるとすぐさま人数を分けて出迎える猫達駆け寄ってくる。
「にゃ~?」
「うにゃ~」
切ない鳴き声を出す二匹猫達はつぐみとみなもに甘えたいのだろう。
それに苦笑しつつも悪い気はしない二人は、笑顔で屈むと。
飛び乗ると襟巻きのようにまきついてすりすりと甘える。
まあ、このまま帰った後で秀久の飼い猫のスズがさらにみなもと秀久にすりすりとされるのはいうまでもないが。
「つぐみ、大丈夫?」
「みなも、大丈夫か?」
猫まみれになりながらも気遣う秋斗と秀久。
まあ、同じように猫にまみれているのはつぐみとみなもも一緒なのだが。
「うん、この子達良いこだから平気だよ?」
「甘えん坊なところも可愛いしね♪」
と、つぐみとみなもは笑顔で猫達の喉を撫でてあげたり、お腹をなでたりしてあげていた。
ここまで気を許す猫は飼い主や人懐っこいでないと難しいのだが。
これも秋斗と秀久の猫好きのなせるわざなのかもしれない。
そんなこんなで遊んであげてご飯を用意するつぐみとみなもと秀久と秋斗。
きちんと猫用の器もあるので順番の用意して猫達の前に置いてあげる。
それまできちんと並んで待っているのだから、えらい猫達だといえよう。
今日はそんな猫まみれの日を楽しんだつぐみ達であった。
ちなみに、秋斗や秀久から逃げる野良猫はほとんどいなかったりする。
まあ、みなもとつぐみも動物に好かれるので気づいたらうもれて大変な目にあうが。




